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外伝  章努の話 

宿にて

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 バイエンス氏だっけか?俺はそいつに連れられ、ひたすら歩く。
 いやあ、眠いから寝かせてほしい。
 分かるだろう?
 訳の分からんこの状況、俺は少しも落ち着いて休めていないんだよ!
 簀巻きにさせられていた時って、意識を失っていたのであって寝ていた訳じゃない!それにあんな変な体勢で拘束されていたんだ、体中が悲鳴を上げているよ。
 俺はもう限界だったのだろう。
 ボーっとしてたらいつの間にかバイエンス氏がいなくなってた。
 俺は置いていかれたのか?
 俺はどうしたらいいかわからず、ボーっと突っ立てたら、バイエンス氏が慌てて戻ってきたようだ。
「ショー殿、しっかり!もう少しで宿に着きますから、そこで休むのでもう暫く我慢を!」
 あれ?バイエンス氏って店あるんじゃないの?そこで休ませてよ。
 そう思ったのだが、バイエンス氏に手をひかれ暫く歩くと何処かの建物へ。
「さあ、宿ですぞ!」
 俺はこの目の前にそびえ立つ建物へ入る。
 そして朦朧とした意識の中、バイエンス氏が何処かの部屋に俺を連れて行き、ベッドがあったのでそこに俺は倒れた。
 そして、意識が・・・・


 Side バイエンス

 ギルドを出てから暫く、ショー殿が着いてきておらず見失い焦った。
 少し戻るとぼーっと突っ立っているショー殿を見つけた。
 これは限界が近いな。
 疲労がピークに達していそうだ。
 仕方がない、手をひいて歩くか。
 ショー殿は半ば眠ったまま歩いていくが、何とか宿に付く。
 そしてその間に気が付いたのだが、誰か付けている人がいる。
 今すぐどうこうという訳ではなさそうだが、何処に向かっているのか確認しているのだろう。
 ギルドか?それとも教会?
 どちらにしろ厄介な事になった。
 今更ショー殿と別れる訳にはいかないし、ここは暫く様子を見ておかないと。
 そして部屋の前に到着。
 とにかくショー殿を休ませないと。
 部屋へ無事到着しショー殿をベッドに寝かすと、あっという間に寝てしまったようだ。
 さて困ったぞ。
 結局宿を誰か分からぬが尾行していた連中に知られたからには、出る時に何かあるやもしれぬし、万が一部屋に押しかけられ襲われる可能性もある。
 一応あの死体をショー殿と偽り、ショー殿にはあのカードに記載されていた人物の名前で行動をしてもらわねばならないが、どうしたものか。

 バイエンス氏は懐から2枚のカードを取り出し見比べる。
 それにあの死体は、明らかにショー殿だった。
 恐らく教会は直ぐに死体を処分するだろうから、真相はこのまま闇に葬られるはずだが、何があるかまだ分からん。
 もしあの死体にも追っ手がかかっていたとなれば、カードのすり替えはあまり意味を為さないかもしれん。
 まあ今は今後どうすべきか考えると共に、次の準備をせねばなるまい。
 最悪国外へ出る必要がある。
 これは好機と関わったのが裏目に出たか?
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