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外伝  章努の話 

怪しげな人物に声を掛けられ

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 まずは腹ごしらえだ!

 そう思い周りを見るが、それらしき店はなさそうだ。
 俺がわからない、というだけでもしかしたらすぐ目の前がそう言う店なのかもしれない。

 いや、確かに店はある。
 門からずっと伸びている大通りみたいな道、その両脇は建物ばかりだ。
 人も出入りしているが、モノを売っている店のようだ。
 後は乗り物を停めておく駐車場みたいな。

 そんな時俺は嫌なのを見てしまった。
 鎖で繋がっている、しかも首輪をしている人だ。
 しかもその先は身なりのいい人が引っ張っている。

 なんだあれは?

 そう思ってよくよく見ると、このあたりはそう言った人が沢山出入りしている。
 首輪をしている人も多い。
 ただ鎖で引っ張られている人は最初に見た人だけで、後はいない。
 いないが、明らかに人の後をついて歩いて首輪をしている人がいる。
 なにこれ?

 俺が呆然と見ていると、何かを勘違いしたのか明らかにその建物の関係者が寄ってきて、
「お客様、何かご入用でしょうか?」

 俺がどの店に入ろうか悩んでいると勘違いしたのか、そう声をかけてきたのだろう。

「ああすまないな。この街は初めてで、どうしようか悩んでいたんだ。」

「左様でございますか。もし宜しければ、当店の奴隷を一度見ていかれますか?この街が初めてで御座いましたら、いくつか店を見ておくのも悪くはないと思いますが如何でございましょう?」

 俺は否定をするのも怖かったので、
「そうだな、迷っていても仕方がない。説明がてら頼めるかい?」
「かしこまりました!ではこちらへ!」

 俺は案内をされた訳だが、もしかしなくてもここで扱うのは奴隷なのか?
 それに、だ。
 俺はおそらくこの街へ送られようとしていたんだろう。
 つまりは俺は奴隷にされるべく連れられてきていた、という事か?

 まさかの召喚で拘束、そして連行。
 で、奴隷落ちってか。
 ひでえ!最初からそれが目的だったのか?

 そして少し奥まったた所へ連れられ、

「我が商会が扱っております奴隷は全て借金奴隷でございます。犯罪奴隷はおりませんので安心してお使いいただけますよ!」

 借金奴隷だと?それに犯罪奴隷?奴隷にも種類があるのか?
「ほう、借金奴隷だけなのか。何処かで狩ってきた珍しいのとかいないのかい?」

「め、滅相もございません!我が商会はクリーンな奴隷商でございますから、人狩りは関与いたしておりません!」

 何だか慌てて否定してくる奴隷商、でいいのか?うん、胡散臭い。
 だが俺には見極められないな。
「まあそりゃあそうか!まあそんな出物があっても流石にそこまで高価な奴隷を買う金の持ち合わせもないしな!」
「そうでしょうそうでしょう!まあこの街にはオークションがございますからな!ひょっとしたら最後に珍しい奴隷の出物があるかもしれませんが、それも時の運でございますから、地道に通うしか御座いませんけれども、例えばでございますが何分美女で処女となれば、その落札価格はうなぎ上りになりますからな!そんな出物があっても我々は見ているしかありませんのですよ。」

「ああ、やっぱりオークションってそういうの出るんだ?」
 美女で処女?何言ってんのこの人。

「ええ。あ、お客様はどちらから来られたのでしょう?差支えがなければ教え願いたいのですが?」
「ああ、王都だよ王都。ひどい目にあってさ。途中乗り物がレッドボアに襲われていてな。助けたはいいが既に人は皆死んでいて、何とかレッドボアの群れを仕留め、その乗り物を回収してきたところだよ。」

 俺は何故かそんな事を言ってしまった。
「それはまた。街道にレッドボアが出たのですか?それに、お客様は収納持ちですか!なんと運のいい!」
「それは知らん。俺は用を足すのに少し奥に入ったんだが、そこでたまたま魔物の気配があったから、様子を見に行ったら乗り物が横倒しになっていてな。今思えば街道にそう言った跡があったから、もっと警戒しておけばよかったんだがな。それと、収納って珍しいのか?」
 そうなのか?普通にもらったからこの世界では一般的なのと思ってたんだがな。

「ではまだ収納されているのですか?」
「ああ、人の死体も丸ごと入れてきた。こういうのってどこで引き渡せばいいんだ?流石に人の死体を入れたのは初めてでな。」

「それはそうでしょうな!ではこの近くに冒険者ギルドがございますから、そちらへ行かれると宜しいでしょう。宜しければご案内いたしますよ?その後回収した物を売却したお金で我が商会の奴隷を一体いかがですか?」

 ええ?いきなり奴隷を所有?いやいやそれはないでしょ?でもまあ案内はお願いしとくか?

「ああ、じゃあちょっと頼むかな。この街は初めてで勝手がわからないからな。」
「かしこまりました!ではこちらへどうぞ!」

 俺はこの胡散臭い奴の後ろを付いていった。
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