上 下
649 / 735
外伝  章努の話 

追放処分

しおりを挟む
 何だか妙に揺れるので、何事かと思ったら俺は簀巻きにされているようだ。
 全く身動きが取れねえ。
 しかもご丁寧に何処かへ運ばれている途中らしい。

 当然ながら簀巻きにされているので、もう一度確認してみるが起き上がる事はできない。
 全くもって身動きが取れないぞ。

 そして、物凄い揺れなんだが。
 幸か不幸か、簀巻きになっているので揺れる度にあっちゴロゴロ、こっちゴロゴロと転がる俺。だが、簀巻き状態だからなのか何か知らんが、それがクッションになっているようで、どっかにぶつかっても俺に痛みはない。

 うーん、確か殴られて、気を失っていたんだよな。そして気が付けば俺は何かに積載させられ、どっかに輸送中らしい。
 はあ、マジで追放とか勘弁願いたい。
 あの金髪美女、いや美少女か?俺を呼び出したんだから何とかしろよ!
 だがあれから一度も会わずにこの状態。

 そして気が付けば揺れがどんどん激しくなる。

 転がっていただけなのが、今ではバウンドしている。
 いかんな、舌をかまないよう気をつけねば!

 そんな事を思っていると、なんだか変な衝撃がやってくる。
 それに音もだ。
 衝撃とともに、ドカンドカンとすごい音が聞こえる。

 そして俺の身体は明らかに跳ね上がったり落下したり、ちょっと考えられない動きを感じる。
 おいこれやばくね?明らかに何かあったよな?

 そう思っていると、今度は明らかに俺の体は跳ね上がり宙を舞い、今移動しているこの乗り物か?その壁にぶつかっている感覚がある。

 そして、今までで一番の衝撃と共にそれはやってきた。

 ドン!
 俺は何かにぶつかったのはわかったがその後、床にすごい勢いでたたきつけられた感覚があり、いや落下というべきか?

 その後暫く転がっていく。

 で、完全に収まった。
 何がって、俺の揺れがだ。
 俺は身動きができないからわからないが、あれ?俺落下したんじゃね?
 しかも暫くそのままでいると、周りは何の反応もなく、徐々に静かになっていく。

 激しい揺れと衝撃、そしてたたきつけられたりで、どうやら簀巻きの拘束は解けかかっていたらしく、俺は身体に力を入れ腕を広げると、あっさりと簀巻きがほどけた。
 あれ?簡単に解けたぞ?気が付いた時に藻掻いた時はびくともしなかったのだが。

 で、何度かもぞもぞすると、足元を含め完全にほどけ、俺は簀巻きから解放された。
 やれやれ、だ。
 だが、体の節々が痛み、暫く立ち上がる事が出来なかった。
 じっと痛みが引くのを待ち、何とか立ち上がる。

 どうやら草むらの中に俺はいたようで、周りは草だらけ。少し先には道らしき何かが見えるみたいで、動くものは見えないな。

 どうやら俺は移動中に落下したようだ。
 しかもそれに気が付かず、俺を積載していた何かはそのまま去ったみたいだ。
 去ったと言うか、逃げていた?
 全く状況がわからんが、まあ助かったみたいだ。
 しかし、此処は何処だよ?人の住む場所から近いのか?
 見渡す限り何もなさそうだが、どっちに行けばより近いんだ?
 俺は困ってしまった。
 どうすりゃいい?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ
ファンタジー
不慮の事故(死神の手違い)で命を落としてしまった日本人・御厨 蓮(みくりや れん)は、間違えて死んでしまったお詫びにチートスキルを与えられ、ロートス・アルバレスとして異世界に転生する。 「目立つとろくなことがない。絶対に目立たず生きていくぞ」 生前、目立っていたことで死神に間違えられ死ぬことになってしまった経験から、異世界では決して目立たないことを決意するロートス。 十三歳の誕生日に行われた「鑑定の儀」で、クソスキルを与えられたロートスは、最弱劣等職「無職」となる。 そうなると、両親に将来を心配され、半ば強制的に魔法学園へ入学させられてしまう。 魔法学園のある王都ブランドンに向かう途中で、捨て売りされていた奴隷少女サラを購入したロートスは、とにかく目立たない平穏な学園生活を願うのだった……。 ※『小説家になろう』でも掲載しています。

処理中です...