642 / 735
日本
第636話 後継
しおりを挟む
「順平様、ユハニ殿からの言伝です。」
アリアネがそう言って教えてくれる。
彼女も僕の妻だけど、領地の運営の一端を担ってくれている。
ティルザもそうだけど、僕と妻達に最初に接してくれた侍女さん方は皆領地の運営に関わりつつ、妻として子を育て、今は成人した男子は領地の一部を任せている。
常山領は発展しすぎて大きな街が複数あり、街の規模も数え切れない・・・・いや、領主が把握していないといけないけれど、村を含め100とかあるからわからない。
結局貴族もそれほどいないので、僕の子供がこういった街などの領主として赴任している。
世界にやってきてから20年以上たちが、未だこう言った事には慣れない。
本当は領主に向いていない。
それは自分自身が一番わかっているけれど・・・・
「旦那さま!」
エレケがやってきて抱き着いてくる。
相変わらず白い毛並みは気持ちいい。
「どうしたんだ?」
「獣人の数が多くなりすぎて、また一つ街が欲しいのよ?」
獣人は成長が早い。そのせいもあって最初に獣人特区としてあり振った場所はあっという間に獣人であふれ返り、当時数百人?千人程だったのが今や10万人以上に。
2つの街では収まりきらず、今や獣人は常山領の至る所にいるが、やはり発情期の事を考えると専用の施設がどうしても必要。
なので必ず獣人が住む場所には例の部屋が設けられている。
「ユープに連絡しておこう。」
ユープというのは僕とエレケとの間に生まれた子供の名前。
10歳ほどで成人するので今や立派な青年になっている・・・・そして獣人の街の管理を任せている。
そしてレクスは今やユープの右腕。
あの腕っぷしだけは・・・・の彼も今や常山領の獣人の中では古参。
最近身体が・・・・と言っていたのでちょうどいい?
ユハニも負担を軽くするために獣人は獣人で管理をするようにしているからだが、彼は優秀だ。
獣人は総じて魔法が苦手だが、彼は人と獣人との間に生まれた奇跡の子。
こう言っては何だが動物の話で、ライオンと虎の間に生まれた子はライガーというらしいけど、その子には繁殖能力がない。
なので僕ろエレケの子にも・・・・と思ったのだけど、そんな事はなく普通に獣人の女性との間に子を成す事もでき、ちょっと安心している。
領地を運営していくというのは人の命を預かる事だ。
だけど僕には向いていない。そんな事は最初から分かっている事だ。
そして・・・・幸か不幸かアーダの息子、ハルムは領主になるべく生まれてきたような、そんな子だ。
王都でみっちり帝王学を学び、今はユハニの元で領地の経営?運営のノウハウを学んでいる。
あと数年も知ればハルムに常山領の全てを任す事もできるだろう・・・・
・・・・
・・・
・・
・
更に年月は過ぎ、
とうとう50歳になってしまった。
子供は皆成人をした。
そして今、僕はハルムに公爵位を譲る準備をしている。
「父上!私にはまだ早すぎます!お考え直し下さい!!」
「ハルム。お前は優秀だ。領主になるべく生まれてきたような男だ。いや、本来なら王、というべきか。アルノルトもお前に王位を譲りたいと言っていたが・・・・本当に国王にはならないのか?」
アルノルトはなりたくて王位についたわけではない。消去法で彼が生き残った中で一番年上の男子だったからだ。
だから姉であるアーダの息子に王位を譲りたかったのだろうが、ハルムは拒絶した。
「だが俺はもう限界なんだよ。」
因みにこの後僕はどうするのか?
最近やたらと冥府の王?ハーデースとその奥さんペルセポネーから冥府へのお誘いがあって・・・・いや、まだ死にたくはないんだけど、ちゃんと生身のままで大丈夫と言って誘ってくるんだ。
本命は娘か?
トーヴェは僕との結婚を機に、こちらで暮らすのかと思ったけれど、結局冥府に戻ったんだ。
そんな彼女の所に来るように、と。
うん、公爵の位をハルムに譲ればそれもいいだろう。
魔大陸にも行きたいし。
「私が先に行ってるわねえ。」
早起はどうやらトーヴェと面識があるようだ。
一体どこで知り合ったんだ?
今日も常山領は平和だ。
「順平さん、準備が終わったわよ。」
「早く済ませましょう。」
「そんなに急がないでくれよ友郁、泉。」
これから僕は自由だ・・・・たぶん。
今日も平和でありますように。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
Fin
● これまでの間、沢山の方に読んでいただき感謝です!そしてありがとうございます。
何とか完結させる事ができました。
これもひとえにここまでお付き合いして下さった沢山の読み手の方々のおかげです。
そして、新作の発表です。
24日~27日、ホットランキング2~4位をキープしています。
酔っぱらった神のせいで美醜が逆転している異世界へ転生させられた!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/568571760/229607677
春休み期間中ですが、、ぜひご一読くださいますよう、よろしくお願いいたします。
アリアネがそう言って教えてくれる。
彼女も僕の妻だけど、領地の運営の一端を担ってくれている。
ティルザもそうだけど、僕と妻達に最初に接してくれた侍女さん方は皆領地の運営に関わりつつ、妻として子を育て、今は成人した男子は領地の一部を任せている。
常山領は発展しすぎて大きな街が複数あり、街の規模も数え切れない・・・・いや、領主が把握していないといけないけれど、村を含め100とかあるからわからない。
結局貴族もそれほどいないので、僕の子供がこういった街などの領主として赴任している。
世界にやってきてから20年以上たちが、未だこう言った事には慣れない。
本当は領主に向いていない。
それは自分自身が一番わかっているけれど・・・・
「旦那さま!」
エレケがやってきて抱き着いてくる。
相変わらず白い毛並みは気持ちいい。
「どうしたんだ?」
「獣人の数が多くなりすぎて、また一つ街が欲しいのよ?」
獣人は成長が早い。そのせいもあって最初に獣人特区としてあり振った場所はあっという間に獣人であふれ返り、当時数百人?千人程だったのが今や10万人以上に。
2つの街では収まりきらず、今や獣人は常山領の至る所にいるが、やはり発情期の事を考えると専用の施設がどうしても必要。
なので必ず獣人が住む場所には例の部屋が設けられている。
「ユープに連絡しておこう。」
ユープというのは僕とエレケとの間に生まれた子供の名前。
10歳ほどで成人するので今や立派な青年になっている・・・・そして獣人の街の管理を任せている。
そしてレクスは今やユープの右腕。
あの腕っぷしだけは・・・・の彼も今や常山領の獣人の中では古参。
最近身体が・・・・と言っていたのでちょうどいい?
ユハニも負担を軽くするために獣人は獣人で管理をするようにしているからだが、彼は優秀だ。
獣人は総じて魔法が苦手だが、彼は人と獣人との間に生まれた奇跡の子。
こう言っては何だが動物の話で、ライオンと虎の間に生まれた子はライガーというらしいけど、その子には繁殖能力がない。
なので僕ろエレケの子にも・・・・と思ったのだけど、そんな事はなく普通に獣人の女性との間に子を成す事もでき、ちょっと安心している。
領地を運営していくというのは人の命を預かる事だ。
だけど僕には向いていない。そんな事は最初から分かっている事だ。
そして・・・・幸か不幸かアーダの息子、ハルムは領主になるべく生まれてきたような、そんな子だ。
王都でみっちり帝王学を学び、今はユハニの元で領地の経営?運営のノウハウを学んでいる。
あと数年も知ればハルムに常山領の全てを任す事もできるだろう・・・・
・・・・
・・・
・・
・
更に年月は過ぎ、
とうとう50歳になってしまった。
子供は皆成人をした。
そして今、僕はハルムに公爵位を譲る準備をしている。
「父上!私にはまだ早すぎます!お考え直し下さい!!」
「ハルム。お前は優秀だ。領主になるべく生まれてきたような男だ。いや、本来なら王、というべきか。アルノルトもお前に王位を譲りたいと言っていたが・・・・本当に国王にはならないのか?」
アルノルトはなりたくて王位についたわけではない。消去法で彼が生き残った中で一番年上の男子だったからだ。
だから姉であるアーダの息子に王位を譲りたかったのだろうが、ハルムは拒絶した。
「だが俺はもう限界なんだよ。」
因みにこの後僕はどうするのか?
最近やたらと冥府の王?ハーデースとその奥さんペルセポネーから冥府へのお誘いがあって・・・・いや、まだ死にたくはないんだけど、ちゃんと生身のままで大丈夫と言って誘ってくるんだ。
本命は娘か?
トーヴェは僕との結婚を機に、こちらで暮らすのかと思ったけれど、結局冥府に戻ったんだ。
そんな彼女の所に来るように、と。
うん、公爵の位をハルムに譲ればそれもいいだろう。
魔大陸にも行きたいし。
「私が先に行ってるわねえ。」
早起はどうやらトーヴェと面識があるようだ。
一体どこで知り合ったんだ?
今日も常山領は平和だ。
「順平さん、準備が終わったわよ。」
「早く済ませましょう。」
「そんなに急がないでくれよ友郁、泉。」
これから僕は自由だ・・・・たぶん。
今日も平和でありますように。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
Fin
● これまでの間、沢山の方に読んでいただき感謝です!そしてありがとうございます。
何とか完結させる事ができました。
これもひとえにここまでお付き合いして下さった沢山の読み手の方々のおかげです。
そして、新作の発表です。
24日~27日、ホットランキング2~4位をキープしています。
酔っぱらった神のせいで美醜が逆転している異世界へ転生させられた!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/568571760/229607677
春休み期間中ですが、、ぜひご一読くださいますよう、よろしくお願いいたします。
1
お気に入りに追加
4,618
あなたにおすすめの小説
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる