勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず！

異世界にやってきてから１０年

第４６５話 召喚に巻き込まれてから１０年

召喚に巻き込まれてから１０年が経過した。

常山領は更なる発展を遂げ、今やグビッシュ王国の首都をはるかに超え、グビッシュ王国最大の都市を抱えるほどになった。

現在順平が居を構えている場所がそうで、普段領主が執務をこなす【館】と、召喚者を中心とした妻達と暮らす【家】。

順平はずっと二重生活を送っていたが、それも本日で終わる。

並行世界での妻達の出産、子育てに関してある程度落ち着きを見せたので、今後はより快適な館に住居を一本化する事になる。

しかし順平は心配事がある。

召喚者を中心とした並行世界を体験し、家でずっと隔離状態だった妻達と、アーダ達館に住む妻達とはもう５年親交がない。

何せ並行世界ではアーダ達はいなかったので、アーダ達と関わってしまうと、並行世界で産み育てた子供と巡り合えなくなる可能性があったので、会わないようにしていたのだ。

「順平さん、やっと快適な所で過ごせるのでうれしい！」
そう言って僕の腕を取るのは友郁。
子供は館からやってきた日本で例えるなら保育士に会わせています。
今後子育ての一部はこの保育士たちに任せる事になるので、早い段階で子供になれてもらおうと。

「子供たち、大騒ぎだったでしょ？」

「ええ、見慣れない人が沢山やってきたものだから、皆泣いちゃった。」

今友郁達は家から館へ持ち込む道具を指示しているんです。

まあ館にも色々あるのですが、日本人に便利な道具をいくつか各自で使っていたので、それを複製してるんです。

え？何で複製？

家の中の家具や道具は全て新品で保管しています。
しかし家具って良くも悪くも経年変化が起こります。
単なる劣化の場合もありますが、テーブル等のように、色味にいい意味での変化が起こる場合もあります。

ウォールナットのテーブルがいい例です。

最初は少しあか抜けた色味ですが、年を得るごとに色味が落ち着き、落ち着いた色に仕上がります。
そうした家具を自分の住む場所に置きたいわけなのですが、この家にも愛着があり、恐らくたまにここにも来て過ごしたいのでしょう。

なので一度家具を運んで設置し、使えそうかどうか、場の雰囲気とあっているかとか確認をしたいんです。

「順平さん、終わりましたわ。全てかばんに収納終わりましたわ。」

泉がやってきます。

「もう終わったのかい。早いね。」

「予め準備はしてましたもの。」

流石は泉。

「子供の服とか数があるから仕分けが大変だったわ！」

そう言って・・・・大量の服を抱えてやってくる柚奈。
いやなんで？かばんに仕舞えばいいのに。

「そんな抱え方してると前が見えないよ、柚奈。」

「そう思うなら順平も選びなさいよ！」

そう言って僕の目の前に差し出してきます。
そんなのいきなり受け取っても困るんだけど。

「順平さんが困ってますわあ。サイズごとに仕分ければいいのに、なんでここに持ってきちゃうかなあ。」

瑞華がそう言って柚奈の抱えている服をどんどん手に取り、かばんに仕舞っていきます。
「いいじゃないそれぐらい！」

相変わらず仲がいいです。