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召喚から5年が経過
第396話 ヨランデ・ピーテルス
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僕はザーラの姿を見て、違和感を感じます。
子供は走って先に向かっていきます。
そんな子供を追いかけるでもなく、ゆっくり進むザーラ。
そんな僕を見てオイヴィも何かを感じたのか、僕との距離を取り始めます。
目の前には確かにザーラがいます。
ですが何かおかしい。
僕は自分の能力を封じているアイテムを取り外します。
スキルの自動発動を避ける目的で取り付けています。
正確には封じているのではなく、制御しています。
完全に封じるのでなく、並行世界の時の自分の状態とほぼ同じようにするためです。
ザーラが止まります。
僕は腰に下げた剣を抜きます。
「君は誰だい?」
「私?私はザーラよ?どうしたの、剣なんか抜いちゃって。」
この頃にはオイヴィも剣を抜いて、目の前のザーラを警戒しています。
「もう一度聞く。君は何者かな?」
すると目の前の女性が、
「よくわかりましたね?完璧だと思ったのですが、どうしてわかったのかしら?」
あっさり認めたようです。
「それは言えないけれど、違和感を感じたからね。」
「まあ、流石ですね。ザーラ殿が公爵様をほめちぎっていたのがよくわかります。あ、ザーラ殿は無事ですからね。ちょうど今こちらに来るようですし。」
そう言う女性の言うとおり、ザーラがやってきます。
「言ったとおりでしょ?」
「確かに。完璧だと思いましたのに、流石ですね!」
そう言いつつ、何か腕から取り外しています。
すると、目の前の女性違う姿となり、そこには全く知らない女性の姿があります。
「初めまして常山公爵様、私ヨランデ・ピーテルスと申します。オイヴィ、久しぶりですね。」
「ヨランデ殿、ご無沙汰しております。」
「ええと、貴女は神聖騎士ですか?」
オイヴィが知っているようなので、しかもオイヴィが剣を下げたので、僕も剣を下げます。
「ええ、そうですわ。そして騙すような事をしてしまい、誠に申し訳なく思います。兄はこんな試すような事は止めておけと申しましたが、あの魔王を退けるほどの実力の持ち主、興味があるじゃないですか。」
一体何の興味がとか突っ込みたくなりますが、目の前のこの女性の事が全く分かりません。
もう少し詮索したかったのですが、本物のザーラが、
「もういいでしょ、さ、客間に会談の場を設けてるから、向かいましょ?」
あれは確かに本物のザーラだ。
そしてオイヴィは何か言いたげな表情ですが、こらえている様です。
知り合いに数年ぶりに会ったはずで、しかも同姓。色々話もしたいでしょうが、まあそれは後回しにしてもらいましょう。
「さっきのは詰めが甘かったわ。私、あのように子供と接する事はないのよ。」
この国の王族は、自分の子供が小さいうちは、殆ど子供と顔を合わせないらしいです。
このあたりの感覚、僕には理解できません。
子供は走って先に向かっていきます。
そんな子供を追いかけるでもなく、ゆっくり進むザーラ。
そんな僕を見てオイヴィも何かを感じたのか、僕との距離を取り始めます。
目の前には確かにザーラがいます。
ですが何かおかしい。
僕は自分の能力を封じているアイテムを取り外します。
スキルの自動発動を避ける目的で取り付けています。
正確には封じているのではなく、制御しています。
完全に封じるのでなく、並行世界の時の自分の状態とほぼ同じようにするためです。
ザーラが止まります。
僕は腰に下げた剣を抜きます。
「君は誰だい?」
「私?私はザーラよ?どうしたの、剣なんか抜いちゃって。」
この頃にはオイヴィも剣を抜いて、目の前のザーラを警戒しています。
「もう一度聞く。君は何者かな?」
すると目の前の女性が、
「よくわかりましたね?完璧だと思ったのですが、どうしてわかったのかしら?」
あっさり認めたようです。
「それは言えないけれど、違和感を感じたからね。」
「まあ、流石ですね。ザーラ殿が公爵様をほめちぎっていたのがよくわかります。あ、ザーラ殿は無事ですからね。ちょうど今こちらに来るようですし。」
そう言う女性の言うとおり、ザーラがやってきます。
「言ったとおりでしょ?」
「確かに。完璧だと思いましたのに、流石ですね!」
そう言いつつ、何か腕から取り外しています。
すると、目の前の女性違う姿となり、そこには全く知らない女性の姿があります。
「初めまして常山公爵様、私ヨランデ・ピーテルスと申します。オイヴィ、久しぶりですね。」
「ヨランデ殿、ご無沙汰しております。」
「ええと、貴女は神聖騎士ですか?」
オイヴィが知っているようなので、しかもオイヴィが剣を下げたので、僕も剣を下げます。
「ええ、そうですわ。そして騙すような事をしてしまい、誠に申し訳なく思います。兄はこんな試すような事は止めておけと申しましたが、あの魔王を退けるほどの実力の持ち主、興味があるじゃないですか。」
一体何の興味がとか突っ込みたくなりますが、目の前のこの女性の事が全く分かりません。
もう少し詮索したかったのですが、本物のザーラが、
「もういいでしょ、さ、客間に会談の場を設けてるから、向かいましょ?」
あれは確かに本物のザーラだ。
そしてオイヴィは何か言いたげな表情ですが、こらえている様です。
知り合いに数年ぶりに会ったはずで、しかも同姓。色々話もしたいでしょうが、まあそれは後回しにしてもらいましょう。
「さっきのは詰めが甘かったわ。私、あのように子供と接する事はないのよ。」
この国の王族は、自分の子供が小さいうちは、殆ど子供と顔を合わせないらしいです。
このあたりの感覚、僕には理解できません。
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