上 下
389 / 735
召喚から5年が経過

第389話 オイヴィとの会話

しおりを挟む
僕は悩みました。

このロンパースが意味する所、つまりは僕達とは別にこの地にやってきた転移者、もしくは召喚者がいるという事。
そしてオイヴィが調べたいと思っている。
つまりオイヴィは、このロンパースを持ち込んだ人物が、神聖帝国ロンドロッグのピートロネラ皇女が召喚した勇者だと考えているのだろう。

そしてこの人物が、現在行方不明の皇女の居場所を知っているかもしれないと。

「順平殿、今更虫の良い話だと思うだろうが、調査をさせてはくれぬか。」

オイヴィは自分の国が滅んだ後、僕のうわさを聞きこの地にやってきたと、確かそう言っていたと思うけれど彼女はいつも多くを語らない。

もしかして、いやもしかしなくても僕が皇女が召喚した人物と同じような召喚でこの地にやってきたので、何かかかわりがあるかも、と思って確認するという考えもあったのだろうと。

「オイヴィ、幾つかいいかい?」
僕は確認したい事があったので、オイヴィに確認します。

「うむ。今更順平殿に隠し事はせぬ。何でも聞いてくれ。」

僕はオイヴィの目をじっと見つめます。

オイヴィも僕の目を見ています。

オイヴィには何の迷いもないように感じます。
それにどう説明すればいいのか難しいですが、オイヴィからは誠実、信頼、愛情といったオイヴィの心情とでもいうのか、そのような感情が伝わってきます。

そしてオイヴィは、この地にやってきて僕と出会い、そして僕の妻となってからは常に僕の近くで僕を見守ってくれていた。

「皇女を見つけたら、オイヴィはどうするつもりだい?」

もしかしたら国を再興させたいとか、皇女と行動を共にするとか、僕から離れる選択をするかもしれないと思い、思わず聞いてしまった。

「会ってみぬ事にはわからぬ。現在皇女様がどのような環境で過ごされておられるのか、それ以前に生死も分からぬしな。だが言える事は、皇女様を無事発見したとしてそして皇女様が国を再興したいとのお考えであろうと、我は順平殿からは離れぬ。」

オイヴィがそう言うなら、きっとそうするだろう。

ああ、それにこの勇者として召喚された人物、僕は名前や年来等々、全く知らないんだよね。
この辺りはどうなのかな。

「召喚された人物ってどういう人か知ってる?」
これに関してオイヴィの返事は素早かった。

「いや全く知らぬ。勇者召喚が行われていた時我々神聖騎士は基本城から少し離れた場所にいたうえに、召喚が行われた後すぐに勇者は行方不明になったのだ。詳しい事を聞こうにも、召喚を行った皇女様には召喚後は一度も会っておらぬのだ。そもそも皇女様と我は親しかったわけではない故、皇女様が我の事を知っておるとは思えん。そして勇者に関しては召喚直後、何か間違いがあったのか城から追放されてしまったのだ。それと前後し皇女様は意識を失い、数日寝たきりだったのだ。その後勇者召喚でやってきた人物を、兵士が追っていったようだが、結局この人物は国外へ脱出をした、と聞いてはいるが、そこまでしか知らぬ。それに皇女様だが、意識が戻られたすぐに、わずかな供を従え、この召喚者を追って国を出た、とまでしか聞いてはおらぬ。何せ皇女様が国外へ向かった直後に魔王の襲撃があったのでな。」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

W職業持ちの異世界スローライフ

Nowel
ファンタジー
仕事の帰り道、トラックに轢かれた鈴木健一。 目が覚めるとそこは魂の世界だった。 橋の神様に異世界に転生か転移することを選ばせてもらい、転移することに。 転移先は森の中、神様に貰った力を使いこの森の中でスローライフを目指す。

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...