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召喚から5年が経過

第386話 勇者召喚 その6

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じっと床を見る宰相。そしてその視線を追ってやはり床を見る居合わせた全員。

すると今度はまばゆいばかりに床が輝きだし、杖があったと思われる場所を中心にその光はどんどん広がる。

「皆この光の外へ!」

慌てて全員がこの光の影響のある範囲から遠ざかる。

その光は高さを増していき、ついには床から天井付近まで光り輝きだし、一体どれだけ時間が経ったのかわからないが、宰相などは相当長い時間に感じたのだが、恐らくは数分ほどでその光は消えた。

そして、床には見慣れない衣服を身にまとった老若男女が数十人倒れていた。

「閣下、これは?」

宰相はまじまじと見る。だが人数が多すぎて誰が勇者か・・・・いや、中心にいる人物こそがそうだろう。まだ若いが、そこから魔力を感じる。それにほんの少しの輝きがある。やがて消えたが。

「勇者召喚は成功していたのだ!騎士団長、見えたか今のを?中心にいる人物だが。」

「何やら輝いておりましたが、彼が勇者でしょうか?」

「恐らくそうであろう。」


そんな中、勇者と思われる人物が真っ先に動き出し、

「な、何だこれは!」

流石勇者だ。誰よりも先に気が付くとは。

「ようこそ勇者殿、言葉はわかりますでしょうか?」

心底驚いている勇者。

「な、何だお前は!そしてここは何処だ?それに・・・・今俺の事を勇者と呼んだのか?」

「はい、恐らくあなたが勇者でしょう。」

暫く固まってしまった勇者ですが、

「え?えええ!何々?こ、これって勇者召喚?俺は選ばれたのか?」

「左様でございます、勇者様。」

「まじかよ!あるんだ勇者召喚って!」

「ただ、こちらの準備不足がありまして、勇者様の近くに居ました人々を巻き込んでしまいました。もし勇者様と親しい間柄の人物がこの場に居合わせておりますようでございましたら、こちらで別に説明をさせていただきたいのですが。」

この頃には勇者様の周りの数人も気が付き始めたようで、勇者様が何やら語っています。

「そうだな、こっちの2人とこの女、それと俺はあまり知らないがこの女の友人2人の5人だな。」

どうやら勇者様を含め男性3人、女性3人のパーティのようです。
「ではその方々とこちらへお願いできますか?あちらに控えております侍女に説明をさせますので。」

「あん?あの女か?ええ?なんだよあれ、反則じゃねえか!みんなして美女じゃねえかよ!」

確かに見目重視での選考でしたから、美女なのですが。

この間に召喚でやってきた人物を数え終え、侍女の割り振りを決めておく。

ギリギリ足りる。

勇者様には何とか数人お付けできる。

そしてその侍女に誰が勇者なのか説明をしておき、宰相は他の人々に向き合う。

やがて倒れていた人々が、一人二人と気が付きはじめ、やがて起きだした。
そして周りを見始め、ぼーっとしている。そして騒ぎ出す。

そしていよいよ全員に声をかける。

「ようこそ勇者様御一行様方。こちらの一方的な都合で召喚してしまい、申し訳ございません。」
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