385 / 738
召喚から5年が経過
第385話 勇者召喚 その5
しおりを挟む
宰相の身分は侯爵だ。
この国の爵位、身分は国王が最上位、そして王族。
王族の中には公爵の身分の者がいる。
公爵は王族しかなれない。
なので、王族以外での爵位は、事実上侯爵が最高位。
その侯爵の一人が宰相。
しかし彼は自身の領地を持たない、いわゆる法衣貴族。
彼の家系は代々国王の傍に仕えてきた。
そんな宰相だが、ライバルは数多存在していた。
だが彼は運が良かった。
国王と学友だったのだ。
王族、しかも将来国王になる者であろうと、国立アカデミーで学ぶ必要がある。
王族貴族、富裕層の一部のみが学べる王国随一の教育組織。
宰相はそんな中、国王と年も近いという事でもあり、親が侯爵という身分で、自身は長男、将来侯爵を継ぐ存在だった事もあり、国王の側近として常にアカデミーでは国王、当時はまだ王太子と共に過ごした。
そんな王太子は、若くして親が亡くなってしまい、20代の若さで国王に即位する運びに。
そして宰相は国王の相談役として常に傍らに控えていたが、彼の前任の宰相が病没すると、国王の鶴の一声で宰相に抜擢。
以来数十年、親友でもあり学友でもあり、そして国王を心服している宰相。
一方の国王も宰相を腹心と思っており、妻にも言えない事を相談できる唯一の存在であり、唯一国王に忠言してくれる存在であり、諫言をしてくれる数少ない人物なのだ。
因みに数少ない人物の一人は国王の弟。
そんな宰相は、国王が命を、本当に命をかけて成しえた召喚の儀が成功していたのだ、と僅かな期待をもって広間へと駆けていく。
だが年なのでそう速く走れない。
それでも可能な限り早く着いた(と本人は思っている)宰相は、広間の床を見て言葉を失った。
床は綺麗にしたはずだが、染み込んだ血が完全に取り除く事ができず、今現在広間の床は絨毯を全部取り除き石の床。
しかしそれでも血を吸ったはずで、恐らく今目の前で起こっているのは、その血を起因とする魔法陣。
そのどす黒い血の色をした魔法陣が、赤黒くうす気味悪い輝きを放ちながら回転しているのだ。
「こ・・・・これは!」
宰相も貴族として最低限の魔術は学んできたし、魔力を感じる事はできる。
そんな彼もこの魔法陣には驚愕を禁じ得ない。
何せこの魔法陣からは大量の魔力を感じたからだ。
あの杖、粉々に砕けてしまったがとんでもない量の魔力をため込んでいたはずで、その魔力は今思うと何処へ消えてしまったのだと気が付くのだが、もしや消えてはおらずずっとこの部屋に魔力がたまったままだったのでは、と思ってしまう。
本来なら宮廷魔術師が指摘するはずだが、今回の召喚の儀で全員絶命しており、誰も指摘をできなかった。
「召喚者の世話役を全員此処に連れて来い!」
その場にいたのが誰か今更確認しなかったが、居合わせているのだから従ってもらうしかない。宰相は近くに居た誰かに命令をする。
「は!今すぐ連れてまいります!」
誰かはすぐに駆けていき、宰相は待った。
待っているうちに、魔法陣は安定し始め、やがて動きが止まり、輝きが消えた。
うん?と思っている間に、
「宰相閣下、只今侍女候補がここにやってまいります!」
「よし、恐らくだが今から何かが起こる。念のため騎士も控えさせよ!」
「既に展開済みでございます!」
そして宰相は相手が誰かやっとわかる。
騎士団長だった。
そして侍女候補が全員この場にそろう。
この国の爵位、身分は国王が最上位、そして王族。
王族の中には公爵の身分の者がいる。
公爵は王族しかなれない。
なので、王族以外での爵位は、事実上侯爵が最高位。
その侯爵の一人が宰相。
しかし彼は自身の領地を持たない、いわゆる法衣貴族。
彼の家系は代々国王の傍に仕えてきた。
そんな宰相だが、ライバルは数多存在していた。
だが彼は運が良かった。
国王と学友だったのだ。
王族、しかも将来国王になる者であろうと、国立アカデミーで学ぶ必要がある。
王族貴族、富裕層の一部のみが学べる王国随一の教育組織。
宰相はそんな中、国王と年も近いという事でもあり、親が侯爵という身分で、自身は長男、将来侯爵を継ぐ存在だった事もあり、国王の側近として常にアカデミーでは国王、当時はまだ王太子と共に過ごした。
そんな王太子は、若くして親が亡くなってしまい、20代の若さで国王に即位する運びに。
そして宰相は国王の相談役として常に傍らに控えていたが、彼の前任の宰相が病没すると、国王の鶴の一声で宰相に抜擢。
以来数十年、親友でもあり学友でもあり、そして国王を心服している宰相。
一方の国王も宰相を腹心と思っており、妻にも言えない事を相談できる唯一の存在であり、唯一国王に忠言してくれる存在であり、諫言をしてくれる数少ない人物なのだ。
因みに数少ない人物の一人は国王の弟。
そんな宰相は、国王が命を、本当に命をかけて成しえた召喚の儀が成功していたのだ、と僅かな期待をもって広間へと駆けていく。
だが年なのでそう速く走れない。
それでも可能な限り早く着いた(と本人は思っている)宰相は、広間の床を見て言葉を失った。
床は綺麗にしたはずだが、染み込んだ血が完全に取り除く事ができず、今現在広間の床は絨毯を全部取り除き石の床。
しかしそれでも血を吸ったはずで、恐らく今目の前で起こっているのは、その血を起因とする魔法陣。
そのどす黒い血の色をした魔法陣が、赤黒くうす気味悪い輝きを放ちながら回転しているのだ。
「こ・・・・これは!」
宰相も貴族として最低限の魔術は学んできたし、魔力を感じる事はできる。
そんな彼もこの魔法陣には驚愕を禁じ得ない。
何せこの魔法陣からは大量の魔力を感じたからだ。
あの杖、粉々に砕けてしまったがとんでもない量の魔力をため込んでいたはずで、その魔力は今思うと何処へ消えてしまったのだと気が付くのだが、もしや消えてはおらずずっとこの部屋に魔力がたまったままだったのでは、と思ってしまう。
本来なら宮廷魔術師が指摘するはずだが、今回の召喚の儀で全員絶命しており、誰も指摘をできなかった。
「召喚者の世話役を全員此処に連れて来い!」
その場にいたのが誰か今更確認しなかったが、居合わせているのだから従ってもらうしかない。宰相は近くに居た誰かに命令をする。
「は!今すぐ連れてまいります!」
誰かはすぐに駆けていき、宰相は待った。
待っているうちに、魔法陣は安定し始め、やがて動きが止まり、輝きが消えた。
うん?と思っている間に、
「宰相閣下、只今侍女候補がここにやってまいります!」
「よし、恐らくだが今から何かが起こる。念のため騎士も控えさせよ!」
「既に展開済みでございます!」
そして宰相は相手が誰かやっとわかる。
騎士団長だった。
そして侍女候補が全員この場にそろう。
3
お気に入りに追加
4,726
あなたにおすすめの小説

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

毎日スキルが増えるのって最強じゃね?
七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。
テンプレのような転生に驚く。
そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。
※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。
※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!

召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる