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召喚から5年が経過
第375話 国王をなだめるのも公爵の務め?
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若くして国王になったアルノルト。
しかもそう言った教育はほぼ受けていない。
そして父や兄を一瞬にして失ってしまい、そういう時に頼りになる叔父やそれ以外の王族も、2人の姉以外は皆年下。
アーダは年長なので補佐をしてはくれるが、今は常山公爵の妻として、領地の発展と子育てに重きを置くので、アルノルトはアーダを頼りにはできない。
ザーラに関してはもっと前に出産をして、子育てに忙しく、弟の面倒は一切見ていない。
で、ここで頼れる存在が常山順平・義理の兄。
そうは言っても異界よりやってきた彼は国の統治は今まで関わっておらず、知識もない。
だが彼も今や立派な王族。
そしてアルノルトにとっては義理とはいえ、年上の兄になる。
もっとも彼も領地の発展に忙しく、そう頻繁に相談に乗ってあげられないのだが、そこはアルノルトが何かと理由をつけて常山領にやってくるのだ。
これはゲートのおかげであって、普通はそんな事はできない。
一国の王が、義理の兄弟に会いに王都を不在にはできないからだ。
そして義理の兄である常山順平はある意味参っていた。
実はアルノルトが城を抜け出してここに来るのは今回が初めてではないからだ。
「今度は何があったんだい?」
思わず順平はそうアルノルトに聞いてしまいます。
「法衣貴族共が言う事を聞かないんだ!余の前では頭を下げるくせに、実際には全く動こうとしないんだ!」
必ずと言っていいほどこの愚痴を言ってくるアルノルトに、いい加減うんざりしているのだが、本人は何故家臣が言う事を聞いてくれないのかわかっていない。
因みに法衣貴族とは、貴族でありながら領地を持たない爵位持ちの事を指す。
通常の貴族と同じで爵位は子に引き継げるが、王都で国政に携わる事になるので、基本的に領地を持つ事はない。
順平はこの法衣貴族からも相談を受けていたりするのだ。
「常山公爵殿、我らが臣下一同の悩みを聞いて下され!」
どうやらアルノルトは、事あるごとに順平を引き合いに出し、
「異界より転移させられた義兄でさえあのように領地を発展させているのだ。前から国の統治に関わっている貴様らならもっと上手く出来よう!さあ、早く国をもっと発展させよ!それにダンジョンだ!いい加減踏破して見せよ!」
どうやらアルノルトは僕ですら新領地をあそこまで発展させているのだから、お前らはもっとやれよ、と言っている様子。
それにダンジョンを踏破せよとは。
冒険者に言う案件じゃない?
まあそんなアルノルトの無茶ぶりに臣下一同困り果てているのだとか。
僕あまり関係ないよ?と思うのですが、いかんせん僕を引き合いに出されてしまっては、無関係でいられない?
そういう訳で僕はアルノルトにもっと長期的な視野で物事を判断するようにと、どう切り出すべきか悩みつつ考えていて、
「今グビッシュ王国は僕の領地を中心に大いに発展していると思うんだ。魔王に滅ぼされた国の民がどんどん領地にやってきているから。そんな折、国の中心人物たる国王がどっしり構えていないと、民はみんな不安になるからね。だからアルノルトはもっと長い目で臣下に接するべきだと思うんだよ。」
はあ、アルノルトもあと5年ぐらいすれば、もう少し落ち着き余裕も出るのに。
焦っちゃだめだよアルノルト。
しかもそう言った教育はほぼ受けていない。
そして父や兄を一瞬にして失ってしまい、そういう時に頼りになる叔父やそれ以外の王族も、2人の姉以外は皆年下。
アーダは年長なので補佐をしてはくれるが、今は常山公爵の妻として、領地の発展と子育てに重きを置くので、アルノルトはアーダを頼りにはできない。
ザーラに関してはもっと前に出産をして、子育てに忙しく、弟の面倒は一切見ていない。
で、ここで頼れる存在が常山順平・義理の兄。
そうは言っても異界よりやってきた彼は国の統治は今まで関わっておらず、知識もない。
だが彼も今や立派な王族。
そしてアルノルトにとっては義理とはいえ、年上の兄になる。
もっとも彼も領地の発展に忙しく、そう頻繁に相談に乗ってあげられないのだが、そこはアルノルトが何かと理由をつけて常山領にやってくるのだ。
これはゲートのおかげであって、普通はそんな事はできない。
一国の王が、義理の兄弟に会いに王都を不在にはできないからだ。
そして義理の兄である常山順平はある意味参っていた。
実はアルノルトが城を抜け出してここに来るのは今回が初めてではないからだ。
「今度は何があったんだい?」
思わず順平はそうアルノルトに聞いてしまいます。
「法衣貴族共が言う事を聞かないんだ!余の前では頭を下げるくせに、実際には全く動こうとしないんだ!」
必ずと言っていいほどこの愚痴を言ってくるアルノルトに、いい加減うんざりしているのだが、本人は何故家臣が言う事を聞いてくれないのかわかっていない。
因みに法衣貴族とは、貴族でありながら領地を持たない爵位持ちの事を指す。
通常の貴族と同じで爵位は子に引き継げるが、王都で国政に携わる事になるので、基本的に領地を持つ事はない。
順平はこの法衣貴族からも相談を受けていたりするのだ。
「常山公爵殿、我らが臣下一同の悩みを聞いて下され!」
どうやらアルノルトは、事あるごとに順平を引き合いに出し、
「異界より転移させられた義兄でさえあのように領地を発展させているのだ。前から国の統治に関わっている貴様らならもっと上手く出来よう!さあ、早く国をもっと発展させよ!それにダンジョンだ!いい加減踏破して見せよ!」
どうやらアルノルトは僕ですら新領地をあそこまで発展させているのだから、お前らはもっとやれよ、と言っている様子。
それにダンジョンを踏破せよとは。
冒険者に言う案件じゃない?
まあそんなアルノルトの無茶ぶりに臣下一同困り果てているのだとか。
僕あまり関係ないよ?と思うのですが、いかんせん僕を引き合いに出されてしまっては、無関係でいられない?
そういう訳で僕はアルノルトにもっと長期的な視野で物事を判断するようにと、どう切り出すべきか悩みつつ考えていて、
「今グビッシュ王国は僕の領地を中心に大いに発展していると思うんだ。魔王に滅ぼされた国の民がどんどん領地にやってきているから。そんな折、国の中心人物たる国王がどっしり構えていないと、民はみんな不安になるからね。だからアルノルトはもっと長い目で臣下に接するべきだと思うんだよ。」
はあ、アルノルトもあと5年ぐらいすれば、もう少し落ち着き余裕も出るのに。
焦っちゃだめだよアルノルト。
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