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魔王の天敵・勇者と聖騎士
331話 僕付きの侍女さんの場合
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僕がこの世界にやってきてから、ずっとそばにいてもらっている侍女さん。今は侍女であり、妻なのですが。
彼女の実家はどうやら子爵家で、彼女は末っ子なんだとか。
彼女の名は
ティルザ・アマンダ・トーンデル
僕と結婚したので、この後に常山と付くようです。
長い・・・・
トーンデル家の5女らしいです。5女って・・・・
そして妻になっても相変わらず僕を常山様とか、公爵様とか呼びます。
「侍女さん、そろそろ順平って呼んでもいいと思うんだけど?」
そう言ってみますが彼女の口からは、
「そういう訳にはまいりません。」
相変わらず僕に付き従う姿勢を崩さず、何故か頑なに呼び方を変えようとはしてくれません。
「ええと、じゃあ僕が名前で呼べば、僕の事を名前で呼んでくれる?」
「とんでもございません!公爵様を、下の名で呼ぶなど言語道断。」
うーん、どうしたらいいのこれ。
「ねえティルザ、僕とティルザって、夫婦だよね?」
「それ以前に主従の関係でございます。」
「最初はそうだけど、今は夫婦でもあるよね?」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
仕方ありません。多少強引ですがここは駆け引きで何とかしましょうか。
「今、ユハニが新たな貴族の子息、子女の採用に動いてるの知ってるよね?」
「はい、存じております。私の実家のトーンデル子爵家でも、数人を推薦いたしました。未婚の姉と、兄3人でございます。」
「お兄さんは優秀なの?」
「私は身内でございますので、どうしても贔屓目で見てしまいます。姉に関しましては、まじめでございます。そして、見た目もよいかと存じます。」
まあ侍女さん別嬪さんだからね。侍女さんって全員が別嬪さんで、スタイル良いんだけどね。
「今、ティルザのお兄さんもここにきてるんだよね?」
「何故か父上も来られたようでございますが。アポなしで、たかが子爵が公爵と面談しようなど、烏滸がましい事でございますね。」
侍女さんこういった時はドライな感じになるんだよね。それが実の親兄弟でも。
「ティルザは、父親や兄弟が嫌いなのかい?」
「いえ、皆愛する家族でございます。」
「実家は結構困窮しているとか?」
「左様でございます。そうでなければ私共はこの場に来ませんでした。」
確か召喚の時に連れてこられた女性って、貴族の娘さんだけど、実家は経済的に中々困っている場合が多かったと聞いてた気がしたので、そう訊ねるとまあ、予想した通りの返事が。
本当はもっと早くにご両親にご挨拶をしないといけないんだけど、侍女さん方の実家ってなかなか遠くて、そうそう行き来できないんです。
「ティルザが、僕を順平って呼んでくれたら、ティルザのご両親と会ってもいいよ。」
「え?いけません。公私混同でございます。」
「いいんですよ。それに、これは今後の領地に関わる重大な事柄ですし。ひょっとしたら人材を見落としているかもしれません。」
「そうかもしれません・・・・」
「さあ、どうするの?」
悩んでる?でも、悩む事?
「うう・・・・ですが・・・・恥ずかしいです・・・・」
あれ?恥ずかしいの?
「今は僕とティルザしかいないんだから。」
「は・・・・はい・・・・その・・・・じゅ・・・・順平様・・・・」
「さま?」
「それはご勘弁を・・・・」
「もっと親しみを込めて?」
「じゅ・・・・順平さん・・・・」
長い事かかりましたが、やっと侍女さんから名前を言わせる事ができました。
そして僕は、呼び鈴を鳴らします。
外にはオイヴィさんが護衛を兼ねて待機してくれています。
「呼んだか?」
「ええ。お連れして下さい。」
「わかった。ちょっと待て。」
オイヴィさんは音もなく消えていきます。
そしてすぐにノックが。
「どうぞ。」
すると、そこには、一人の壮年と連れ添うようにしている一人のご婦人の姿が。
「ティルザ・・・・」
「あ・・・・父上、母上、どうしてここへ?」
「常山公爵様が、是非にと。よかったわね、ティルザ。」
「ええ・・・・その、常山様「順平で」・・・・順平様・・・・わたくし、どう感謝すればよいのか。」
あ、泣き出しました。
まあ、この後が本番なんですけどね。
彼女の実家はどうやら子爵家で、彼女は末っ子なんだとか。
彼女の名は
ティルザ・アマンダ・トーンデル
僕と結婚したので、この後に常山と付くようです。
長い・・・・
トーンデル家の5女らしいです。5女って・・・・
そして妻になっても相変わらず僕を常山様とか、公爵様とか呼びます。
「侍女さん、そろそろ順平って呼んでもいいと思うんだけど?」
そう言ってみますが彼女の口からは、
「そういう訳にはまいりません。」
相変わらず僕に付き従う姿勢を崩さず、何故か頑なに呼び方を変えようとはしてくれません。
「ええと、じゃあ僕が名前で呼べば、僕の事を名前で呼んでくれる?」
「とんでもございません!公爵様を、下の名で呼ぶなど言語道断。」
うーん、どうしたらいいのこれ。
「ねえティルザ、僕とティルザって、夫婦だよね?」
「それ以前に主従の関係でございます。」
「最初はそうだけど、今は夫婦でもあるよね?」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
仕方ありません。多少強引ですがここは駆け引きで何とかしましょうか。
「今、ユハニが新たな貴族の子息、子女の採用に動いてるの知ってるよね?」
「はい、存じております。私の実家のトーンデル子爵家でも、数人を推薦いたしました。未婚の姉と、兄3人でございます。」
「お兄さんは優秀なの?」
「私は身内でございますので、どうしても贔屓目で見てしまいます。姉に関しましては、まじめでございます。そして、見た目もよいかと存じます。」
まあ侍女さん別嬪さんだからね。侍女さんって全員が別嬪さんで、スタイル良いんだけどね。
「今、ティルザのお兄さんもここにきてるんだよね?」
「何故か父上も来られたようでございますが。アポなしで、たかが子爵が公爵と面談しようなど、烏滸がましい事でございますね。」
侍女さんこういった時はドライな感じになるんだよね。それが実の親兄弟でも。
「ティルザは、父親や兄弟が嫌いなのかい?」
「いえ、皆愛する家族でございます。」
「実家は結構困窮しているとか?」
「左様でございます。そうでなければ私共はこの場に来ませんでした。」
確か召喚の時に連れてこられた女性って、貴族の娘さんだけど、実家は経済的に中々困っている場合が多かったと聞いてた気がしたので、そう訊ねるとまあ、予想した通りの返事が。
本当はもっと早くにご両親にご挨拶をしないといけないんだけど、侍女さん方の実家ってなかなか遠くて、そうそう行き来できないんです。
「ティルザが、僕を順平って呼んでくれたら、ティルザのご両親と会ってもいいよ。」
「え?いけません。公私混同でございます。」
「いいんですよ。それに、これは今後の領地に関わる重大な事柄ですし。ひょっとしたら人材を見落としているかもしれません。」
「そうかもしれません・・・・」
「さあ、どうするの?」
悩んでる?でも、悩む事?
「うう・・・・ですが・・・・恥ずかしいです・・・・」
あれ?恥ずかしいの?
「今は僕とティルザしかいないんだから。」
「は・・・・はい・・・・その・・・・じゅ・・・・順平様・・・・」
「さま?」
「それはご勘弁を・・・・」
「もっと親しみを込めて?」
「じゅ・・・・順平さん・・・・」
長い事かかりましたが、やっと侍女さんから名前を言わせる事ができました。
そして僕は、呼び鈴を鳴らします。
外にはオイヴィさんが護衛を兼ねて待機してくれています。
「呼んだか?」
「ええ。お連れして下さい。」
「わかった。ちょっと待て。」
オイヴィさんは音もなく消えていきます。
そしてすぐにノックが。
「どうぞ。」
すると、そこには、一人の壮年と連れ添うようにしている一人のご婦人の姿が。
「ティルザ・・・・」
「あ・・・・父上、母上、どうしてここへ?」
「常山公爵様が、是非にと。よかったわね、ティルザ。」
「ええ・・・・その、常山様「順平で」・・・・順平様・・・・わたくし、どう感謝すればよいのか。」
あ、泣き出しました。
まあ、この後が本番なんですけどね。
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