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魔王の天敵・勇者と聖騎士

320話 僕はどうやら魔王の罠に引っかかっていたらしいです

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オイヴィさん曰く、僕は魔王の罠にはまっていた・・・・らしいです。
いえ、正確には【僕は】ではなく、【僕達は】、らしいですが。

つまり、魔王との戦闘になった時魔王と対峙していた、若しくはあの付近に居合わせた、さらには魔王が去った後にあの戦闘のあった、最後に魔王が撤退したあの場所付近に近づいた面々がことごとく魔王の置き土産に引っかかっていたらしいです。

オイヴィさんは解呪のスキル持ちのようで、そして聖騎士の能力の一つにこう言った解呪があるようです。
それに色んな回復魔法の使い手らしいです。

そして、衝撃的だったのは、
「常山公爵殿の奥方様は全員、魔王の呪いを受けていた。全て解呪は終わったのだが、ただ問題があるのだ。」

ええと何が問題なのでしょうか?
「あの、オイヴィさん、何が問題なのでしょうか?」
「言いにくいのだが、公爵殿を含めどうした訳か呪いを受けた全員、公爵殿が複数の女性を娶る事を容認していたと思うが、今は恐らくそれはない状態だ。」

え?それはどういう事?
「つまり、皆自分だけを愛してほしいと思っている。それに、公爵殿は元の状態に落ち着くのにあと数日かかるだろうが・・・・完全に元に戻れば・・・・我が聞いた話を鑑みるに、公爵殿は複数の女性と関係を持つのを嫌っていた様子。それが元に戻る。しかし既に10人以上を妻としている。」
「うん、確かに16人妻がいる・・・・っておかしいよねそんなの。」
僕はオイヴィさんの言わんとしている事は概ね理解しましたが、まだ何かありそう。
「今はいいだろうが、その後良心の呵責に苛まれる事間違いなし、だ。」
「その、つまりどういう事?」

「はっきりとわからぬが魔王の呪いで、公爵殿の脳は、無理やり複数の女性と関係を持つ事に今まで罪悪感、嫌悪感があったのが、それらがなくなった状態になってしまった。しかし今は呪いが解けたので、徐々に元に戻るだろう。そうすると、今までの行いに対し強烈な自責の念が恐らく起こるだろう。それに耐える事ができるか、また乗り切る事ができるか心配だ。」

この時はまだ僕は、そういった感情が元通りになっていなかったので、大丈夫だろうと思っていました。そう、オイヴィさんは何を大げさな事を言っているんだ、そんな風に軽く考えていました。

ここからさらに時間が経過し、1週間が経過した頃。

僕の頭はほぼ転移の前の状態に戻ったようです。

猛烈な嫌悪感、そして後悔。何故複数の女性とあんなことを同時にしてしまったんだ!と。

こういった感情で僕は押しつぶされそうになりました。
さらには妻になった女性達の、それぞれの状態があまり思わしくないと言いますか。
あ、こちらの世界の女性は元々こういうものだ、むしろもっと妻を!という思想があるようで問題がないようで、そちらは放置していても大丈夫みたいです。
ですが転移させられた女性の方はそういう訳にはいかず、

「うう・・・・どうして・・・・順平さん・・・・私だけを見てほしい。」
「何て事をしてしまったのでしょう。順平さんの気持ちは知っていたのに。」
「私だけを見れないのか?順平!」
「これは困っちゃったな?だけど、略奪愛?」
「修羅場?」
「どうしてこうなっちゃったのかな?」

転移者の妻6人もまた、知らないうちに魔王に振り回されていたのだ。

転移した僕の妻となっている女性達をオイヴィさんと、こちらの住人・アーダさんやヘルトラウダさん達に説得、もしくは治療?してもらいます。主に精神的な心のケアでしょうか。

何とかさらに1か月が経過しました。
僕を含め、転移者の妻は辛うじて事態を受け止める事ができるようになりました、たぶん。

「このままでは魔王の思うつぼだ。恐らく今この事態も計算された事だと思うのだ。」

オイヴィさんがそう言っているのですが、もしそうならとんでもない策士ですね。そして手段を択ばない恐ろしさ。

この間オイヴィさんはずっと僕達の事を一生懸命、辛抱強く対応してくれてました。
そして気が付けば、妻の全員の心を勝ち取っていたようです。


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