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外伝 女神のチョンボで大変な事に 口田 士門

商館

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 王都は人が多い。
 そして、ギルドは常に冒険者で溢れている。
 素材の売却に来た者、依頼の達成を報告に来た者、一攫千金を狙って王都に来たばかりの者、依頼を探しに来た者・・・・

 それらの対応で常にギルドは忙しく、冒険者の相手で手一杯、とてもではないが商人相手の話が出来ない状態。
 そこで提案されたのが、大都市などの人口の多い場所ではギルド以外に商館を設ける、というもの。

 常に商売の事で時間に追われる商人。
 ”時は金なり”という程、時間は貴重。
 そこで商人専用の場を設ける事に。

 これが好評で世界各地にこの流れが広がり、今や人口10万人規模の都市では商館の設置が当たり前のように行われる事になった。
 そして王都でも・・・・

「ようこそ商館へ。どのような要件でしょうか・・・・って、お姉ちゃん?」
「あらパメラ、久しぶりね。」
「聞いたわ。婚約したんですってね?しかも相当な大物を釣り上げたって聞いたけれど、この人がそう?」
「ふふ。そうよ。あんな地方に配属になったから半ば諦めていたけれど、10年越しでやっと、これは!と思う男性と巡り会えたの。」

 ・・・・何を言っているんだイベッテは、この受付はイベッテの妹?

「あ・・・・えっと・・・・今日は何か用があるの?」
「ええ、此処で建物を購入したいと思って良い物件が無いか聞きに来たのよ?」
「良い物件ねえ・・・あるけど、高いよ?」
「お金は・・・・たぶん大丈夫。」
「あ・・・・オークキングの睾丸でしょ?」
「知っているの?」
「商人は情報が命よ?それに・・・・兄の奥さんがおめでたなんだから、そりゃあもうお祭りモードで好景気なんだから。」

 ・・・・よく分からないけれど、そんなに話が広まっているのか?まあおめでただから良い事なんだけれど・・・・確か睾丸の入手は秘密裏に行われたんだよな?何でこの女性知っているんだ?
 機密駄々洩れって怖い・・・・

 注: 王太子が妹達に言いふらした結果です。

「で、具体的な希望は何かな?小さいお店から郊外の大きな店、一等地の貴族向け物件、金さえあれば何でもござれよ?」
「条件は厳しいけれど、あるかなあ?そうねえ、商売がしたいのと、鍛冶がしたいのね。そして・・・・クランの王都での活動拠点としたいから、それなりに大きな建物及び、土地が必要かな?」

「・・・・そんなのある訳ないじゃない!贅沢言いすぎ・・・・とあれ?あるわね・・・・」
「一つ、ちょっと希望と違うかもだけれど、商店として使っていた表側と、裏側は倉庫だった場所があるのよ。大通りに面しているから、商店としても申し分ない物件で、実際大通りから外れると土地代は安いのだけれど、この物件は倉庫が奥にあるのね。更に奥は材木の資材置き場だったから、広い土地がそのまま残っているわね。」
「え?そこって確か・・・・?」
「調子に乗って事業を拡大しすぎて、最近倒産したのよ。しかも夜逃げ・・・・」
「わあ、借金抱えて逃げちゃったの?」
「ええ、今は冒険者が依頼を受けて追っているわ。」

 何処の世界も世知辛いな。
 しかも夜逃げを冒険者が追いかけるとか。
 そうはなりたくないね?
 俺達は早速その物件を見る事になった。
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