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外伝 リュークとエリザヴェータ
まだ知る必要はない
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「今までペアで戦ってきたが、今日からは全員で戦う。」
尤もな話ですが、何故今なのでしょう。
聖女さまとビーチェさんは最初の頃に比べればダンジョンに慣れ、それなりに戦えるようになってきています。
ここまでは勇者さまが聖女さまと、イディオさんがビーチェさんと、そして僕はレーツェルさんとペアになって戦闘をこなしていました。
そしていよいよと言っていいのでしょうか、聖女さまとビーチェさんがどうやら勇者さまが求めていた所まで実力が備わった、という事なのでしょう。
「どうなのだ勇者。」
イディオさんが勇者さまに確認しています。
「そうだなあ、あと3という所か。」
「ではそろそろ?」
「後はタイミングだな。だからこそ、だ。」
休憩中、時々よくわからない事を2人で話しているのが聞こえてきます。
僕がどういう意味か聞いても、
「まだ知る必要はない。」
だとか、
「それに関してはだなあ、アルフォンシーナとビーチェがどこまで戦えるかの、俺とイディオだけが分かる昔からの内容だ。」
何の事かさっぱりわからない返答が返ってくる事もあります。
イディオさんは分かっているのか、
「ほう、3か。ではもう少し余裕を見て5でどうだ?」
「そうだなあ。5では動けなくなるだろうからしっかりと見定める必要があるな。」
「あの2人はどうなのだ?」
「ああ、それは心配いらん。ちゃんと考えてある。」
僕とレーツェルさんの事なのでしょうが、何の事でしょう。
休憩が終わると今までと違い陣列が見直され、
「イディオとビーチェが前衛、俺とアルフォンシーナは中衛、リュークとレーツェルが後衛だ。」
「あの、何故僕が後衛なのですか?」
僕は前衛か中衛と思ったんです。
「いいかリューク。もし背後から敵が襲ってきたらどうすんだ?」
成程そう言う事ですか。
うーん、だけどそれなら勇者さまが後ろでもよかったのでは?
しかしながら勇者さまってこういう時可成り弁が立つんです。
流石勇者さまと言うべきでしょうか、商人になりたての僕では到底できないです。
「リュークよ安心しろ。上手くいかねえ時は勇者がちゃんと隊列を見直すからな。それに後ろを任されるというのはそれだけ信頼されている証だ。」
イディオさんが僕にそう言って、励ましのような感じで僕の肩を叩きつつ勇者さまの意見を肯定します。
「ビーチェ、大丈夫?」
「大丈夫です聖女様。元々前衛で戦う職業ですし。」
「何かあったら教えてね。直ぐに回復させるわ。」
しかし意外な事に、勇者さまが聖女さまのビーチェさんに対する声掛けに待ったを掛けました。
「アルフォンシーナ、余程酷い怪我の時以外勝手に回復魔法を使うな。今後はより強力な敵が俺達の前に立ち塞がるだろう。必要な時に魔力切れで魔法が使えない!なんて事になるのは困るし、状況次第ではビーチェではなくイディオを優先させる必要があるかもしれん。」
この時勇者さまはイディオさんの方に振り返っていたので気が付きませんでしたが、2人だけに分かる何かの合図をしていたようです。
うまく連携できればいいのですが。
尤もな話ですが、何故今なのでしょう。
聖女さまとビーチェさんは最初の頃に比べればダンジョンに慣れ、それなりに戦えるようになってきています。
ここまでは勇者さまが聖女さまと、イディオさんがビーチェさんと、そして僕はレーツェルさんとペアになって戦闘をこなしていました。
そしていよいよと言っていいのでしょうか、聖女さまとビーチェさんがどうやら勇者さまが求めていた所まで実力が備わった、という事なのでしょう。
「どうなのだ勇者。」
イディオさんが勇者さまに確認しています。
「そうだなあ、あと3という所か。」
「ではそろそろ?」
「後はタイミングだな。だからこそ、だ。」
休憩中、時々よくわからない事を2人で話しているのが聞こえてきます。
僕がどういう意味か聞いても、
「まだ知る必要はない。」
だとか、
「それに関してはだなあ、アルフォンシーナとビーチェがどこまで戦えるかの、俺とイディオだけが分かる昔からの内容だ。」
何の事かさっぱりわからない返答が返ってくる事もあります。
イディオさんは分かっているのか、
「ほう、3か。ではもう少し余裕を見て5でどうだ?」
「そうだなあ。5では動けなくなるだろうからしっかりと見定める必要があるな。」
「あの2人はどうなのだ?」
「ああ、それは心配いらん。ちゃんと考えてある。」
僕とレーツェルさんの事なのでしょうが、何の事でしょう。
休憩が終わると今までと違い陣列が見直され、
「イディオとビーチェが前衛、俺とアルフォンシーナは中衛、リュークとレーツェルが後衛だ。」
「あの、何故僕が後衛なのですか?」
僕は前衛か中衛と思ったんです。
「いいかリューク。もし背後から敵が襲ってきたらどうすんだ?」
成程そう言う事ですか。
うーん、だけどそれなら勇者さまが後ろでもよかったのでは?
しかしながら勇者さまってこういう時可成り弁が立つんです。
流石勇者さまと言うべきでしょうか、商人になりたての僕では到底できないです。
「リュークよ安心しろ。上手くいかねえ時は勇者がちゃんと隊列を見直すからな。それに後ろを任されるというのはそれだけ信頼されている証だ。」
イディオさんが僕にそう言って、励ましのような感じで僕の肩を叩きつつ勇者さまの意見を肯定します。
「ビーチェ、大丈夫?」
「大丈夫です聖女様。元々前衛で戦う職業ですし。」
「何かあったら教えてね。直ぐに回復させるわ。」
しかし意外な事に、勇者さまが聖女さまのビーチェさんに対する声掛けに待ったを掛けました。
「アルフォンシーナ、余程酷い怪我の時以外勝手に回復魔法を使うな。今後はより強力な敵が俺達の前に立ち塞がるだろう。必要な時に魔力切れで魔法が使えない!なんて事になるのは困るし、状況次第ではビーチェではなくイディオを優先させる必要があるかもしれん。」
この時勇者さまはイディオさんの方に振り返っていたので気が付きませんでしたが、2人だけに分かる何かの合図をしていたようです。
うまく連携できればいいのですが。
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