45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ

文字の大きさ
上 下
797 / 1,175
外伝 リュークとエリザヴェータ

まだ知る必要はない

しおりを挟む
「今までペアで戦ってきたが、今日からは全員で戦う。」

 尤もな話ですが、何故今なのでしょう。
 聖女さまとビーチェさんは最初の頃に比べればダンジョンに慣れ、それなりに戦えるようになってきています。
 ここまでは勇者さまが聖女さまと、イディオさんがビーチェさんと、そして僕はレーツェルさんとペアになって戦闘をこなしていました。
 そしていよいよと言っていいのでしょうか、聖女さまとビーチェさんがどうやら勇者さまが求めていた所まで実力が備わった、という事なのでしょう。
「どうなのだ勇者。」
 イディオさんが勇者さまに確認しています。
「そうだなあ、あと3という所か。」
「ではそろそろ?」
「後はタイミングだな。だからこそ、だ。」

 休憩中、時々よくわからない事を2人で話しているのが聞こえてきます。
 僕がどういう意味か聞いても、
「まだ知る必要はない。」
 だとか、
「それに関してはだなあ、アルフォンシーナとビーチェがどこまで戦えるかの、俺とイディオだけが分かる昔からの内容だ。」
 何の事かさっぱりわからない返答が返ってくる事もあります。
 イディオさんは分かっているのか、
「ほう、3か。ではもう少し余裕を見て5でどうだ?」
「そうだなあ。5では動けなくなるだろうからしっかりと見定める必要があるな。」
「あの2人はどうなのだ?」
「ああ、それは心配いらん。ちゃんと考えてある。」
 僕とレーツェルさんの事なのでしょうが、何の事でしょう。

 休憩が終わると今までと違い陣列が見直され、
「イディオとビーチェが前衛、俺とアルフォンシーナは中衛、リュークとレーツェルが後衛だ。」
「あの、何故僕が後衛なのですか?」
 僕は前衛か中衛と思ったんです。

「いいかリューク。もし背後から敵が襲ってきたらどうすんだ?」
 成程そう言う事ですか。
 うーん、だけどそれなら勇者さまが後ろでもよかったのでは?
 しかしながら勇者さまってこういう時可成り弁が立つんです。
 流石勇者さまと言うべきでしょうか、商人になりたての僕では到底できないです。

「リュークよ安心しろ。上手くいかねえ時は勇者がちゃんと隊列を見直すからな。それに後ろを任されるというのはそれだけ信頼されている証だ。」
 イディオさんが僕にそう言って、励ましのような感じで僕の肩を叩きつつ勇者さまの意見を肯定します。

「ビーチェ、大丈夫?」
「大丈夫です聖女様。元々前衛で戦う職業ですし。」
「何かあったら教えてね。直ぐに回復させるわ。」
 しかし意外な事に、勇者さまが聖女さまのビーチェさんに対する声掛けに待ったを掛けました。
「アルフォンシーナ、余程酷い怪我の時以外勝手に回復魔法を使うな。今後はより強力な敵が俺達の前に立ち塞がるだろう。必要な時に魔力切れで魔法が使えない!なんて事になるのは困るし、状況次第ではビーチェではなくイディオを優先させる必要があるかもしれん。」
 この時勇者さまはイディオさんの方に振り返っていたので気が付きませんでしたが、2人だけに分かる何かの合図をしていたようです。
 うまく連携できればいいのですが。
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。

もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです! そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、 精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です! 更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります! 主人公の種族が変わったもしります。 他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。 面白さや文章の良さに等について気になる方は 第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...