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外伝 リュークとエリザヴェータ

これはこれはレーツェル先生

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「今からダンジョンだが、ここで隊列を決める必要がある。馬車の中で俺様が熟慮した結果、こうなった!」

 いざダンジョンへ入ろうとすると、勇者さまが声高らかに隊列の事を発言しました。

「それについては俺から語ろう。勇者が熟慮した末に導かれた結果、それぞれの経験と戦闘力を鑑み、それに職業よる相性を考慮した結果、聖女アルフォンシーナは勇者と組み、俺はビーチェと組む。リュークは魔法使いであるレーツェルと組むように。」

 イディオさんが勇者さまに代り全員に伝えました。
 しかしレーツェルさんはその意見に反対なのか、
「その組み合わせは戦力が偏り過ぎている。何故魔法が殆ど使えない戦士と格闘術の使い手が一緒に組むのか理解できない。私とリュークもそうだ。双方魔法を用いての戦闘を得意としている。」
 当然なんだけど、どうしてこうなったのかな。
「これはこれはレーツェル先生。仰る事は分かりますがね、これは双方の経験も考慮しているのですよ。俺と勇者は歴戦の猛者だが、レーツェル先生はそうではない。そして年齢の事も考慮し、勇者は経験のない聖女と組む事にしたが、これは職業の相性が最大限発揮できる組み合わせだ。そして先生の指摘があったビーチェと俺だが、前衛同士通じる所があってだな、先ずはビーチェの経験を優先したいが故の組み合わせだ。そして先生はどうやらリュークと相性がよさそうだ。リュークはまだ魔法を使いこなせていないらしいから、先生が魔法を導いてやって欲しい。そしてリュークは先生が魔物と戦う時に補佐してやって欲しい。」

 イディオさんが真剣だ、そうリュークは感じた。

 だが実際はそうではない。
 勇者とイディオは2人して最初からこの組み合わせしか考えておらず、こうした説得を試みる時に限り妙にイディオは頭が回るので、こうしてイディオが尤もらしい事を語りつつ全員を丸め込んでしまったのだ。

 イディオは侯爵家の跡取り。
 そうした人心掌握術や弁の立つ教育を受けており、普段は脳筋なのだがこうした悪知恵に関してはすこぶる頭が働く、そんな偏った性格なのだがこの時に関しては皆それらしく思えたので従ってしまった。

 後で考えれば別に男女で分ける必要はなく、実際イディオはリュークと、ビーチェはレーツェルと組めばよかったのだが、気付いた時には既にダンジョンの中。

 更に言えば別に聖女と勇者が組む必要はなく、それこそ勇者は今まで通りイディオと、聖女はリュークと組めばよかったのだが・・・・

 この組み合わせで6名はダンジョンに挑む事となった。
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