45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ

文字の大きさ
上 下
789 / 1,178
外伝 リュークとエリザヴェータ

それは流石に

しおりを挟む
  人の荷物をあれこれ詮索するつもりはないので特に聞きませんが、どうやらまだある様子。

「流石に重すぎて持てねえ。一緒に来てくれ。」
 何故かイディオさんにそう言われ、僕は付いて行きます。
 然程距離はありませんでしたが、案内された先で収納してほしいのは樽のようです。
「これを仕舞ってくれ。それと横にある瓶も入れといてくれ。」
 水でしょうか?
「イディオさん、水であれば沢山用意していますし、魔法で飲み水は確保できますよ。」
「何で俺が水の心配をしないといけないんだ!いいか、これは命の飲料だ!特に勇者はこれがないと始まらねえ!いいか、これが切れたら旅は終わりだ。直ぐに帰還する。」
 命の飲料・・・・特別な飲料なのでしょうか?
 リュークはまだ15歳になったばかりで酒を飲んだ事が無い上に、孤児院では酒そのものに接する機会が無かったので、分かっていなかったりする。
 尤も冒険者になってからは酒場などで飲んでいる人々を沢山見ているので、酒の知識がない訳ではない。
 そしてリュークが知る限り、いかに冒険者であろうと危険な旅の道中に酒を持っていく事はない。
 そもそもかなりの荷物になる上に、酒を持っていくのであれば通常は水を持っていくからだ。

 そして普通の冒険者はよほどの事が無い限り所謂収納かばん、つまり空間を拡げ重量を軽減するようなかばんは持っていない。
 運良くダンジョンで獲得できればいいが、そんなかばんを手に入れれば普通は売ってしまう。
 何せあまりもの高額で取引されるので、一般の冒険者であれば質素に暮らせば一生暮らす事も可能な金額で取引される事があるからだ。

 リュークは樽の置いてある店の前で、イディオに言われるがまま収納していった。
「一寸待っていろ。」
 イディオさんは奥へ行き、何やらお店の人と話している様子。
「先に帰る。後は任せた!」
 ・・・・後は任せたって何の事?
 すると、店の人が僕に、
「イディオ様よりあなた様からお代金を頂戴するよう仰せつかっております。」
 え?これお金払っていなかったの?僕は驚くと共に何故僕が?と思いましたが既に収納に入れてしまっています。
 まあ出せばいいのでしょうが、それだと勇者さまが困るのかな?

「イディオさんお金払っていなかったのですね。えっとカードに入っていますが、引き落とせますか?」
「勿論できます。」

 結局安くない金額を支払い僕は急造パーティーに合流すべく、急いで戻りました。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

「戻ったか。ちゃんと持って来たんだろうな?」
「はい、持ち帰りました。」
「それならいい・・・・って勇者痛い!待て待て何事?」
 僕とイディオさんの近くにいたせいで、会話が聞こえたらしい勇者さま。
 すると何故かイディオさんを何処かへ引きずっていきます。

『全額払わせたのか?』
『当然だろう勇者。散々散財したせいで俺達一文無しじゃねえか。』
『あいつたんまり金持っていやがったのか・・・・そんな事なら娼館しょうかんへ・・・・』
『いやそれは流石に・・・・』

 商館しょうかんがどうかしたのでしょうか?

 分かっていないリュークだった。
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...