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来訪者
クサーヴァーと聖女アルフォンシーナ
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クサーヴァーの説教が落ち着いたのち、聖女アルフォンシーナは、密かにクサーヴァーを呼び出していた。
「何ですか聖女様?」
本当は正式な礼節をもって相まみえたいのだが、そんな事をすれば自身の出自や目的がばれる可能性があるので、ワザとそっけない対応をしている。
アルフォンシーナの娘、アメリータは母に代わり、ライナスとヨーリスにつきっきり。
本当はアルフォンシーナがクサーヴァーから遠ざけたのだが。
「初めましてクサーヴァー殿。聖女アルフォンシーナでございます。」
クサーヴァーは戸惑った。どこまで知っている?
何せ自分に接する態度と、ヨーリスとライナスに接する態度が明らかに違ったからだ。
「・・・・呼び捨てでいいですよ。」
敢えて素っ気なく言い放つ。
「少々お待ち下さい・・・・今結界を張りましたので、ここでの会話は外に漏れる事はございませんので、ご安心を。」
クサーヴァーはこの美人の聖女・・・・しかも温和そうな優しそうな顔つきのこの女性に恐怖を覚えた。
どこまで感づいている?
「なんでそんな大げさな事をするんですか?」
「・・・・確か先々代の勇者の名が、ミロスラーフ・クプリヤーノヴィチ・ウサーチェフと名乗る方でした。」
クサーヴァーは心底驚いた。
父の名を、聖女の口から語られる事があるとは思ってもみなかったからだ。
「それが何ですか?」
「彼は難なく魔王を討伐いたしましたが・・・・残念ながら魔王は復活いたします。」
「はあ?そんなの誰でも知ってる事じゃないか!」
父も知っていて、どうしたら魔王の復活を阻止できるか、それを追い求めているんだけれどと思いながら・・・・しかも父が魔王を討伐したのは偶然。本来はきちんと調べ上げて復活を阻止する仕掛けを講じるつもりだったようだが、魔王が自ら打って出てきたので、仕方なく仕留めたらしい・・・・
「今もその元勇者は、魔王の復活を阻止する手立てを追い求めていると聞き及んでいます。」
何が言いたい?
「さようですか・・・・僕にそれが関係していると?」
「その元勇者には、子が2人いたと聞き及んでおります。一人は女性・・・・予知ができるとか・・・・もう一人は魔術にたけた秀才とか。」
クサーヴァーはどう対応するか悩んだ。相手は聖女。
魔法で口を封じようにも、防御魔法のエキスパートだろう・・・・
「心配する事はありません。今後私は、貴方の事をクサーヴァーと呼び捨てにいたしましょう。それに目下扱いにいたしますが・・・・」
何が言いたい?やはり知っている?
「私の口から漏れる事はありません。娘にも伝えません。今後結婚したとして・・・・伴侶にも漏らしません。」
何たる事だ・・・・この聖女・・・・
「ですので、行き詰ったり、道を見失うような時は、どうか私に一言相談して下さいね。」
「言ってる事がわからない・・・・俺はただの孤児だ。」
「・・・・父上もおつらい立場ですね・・・・」
クサーヴァーは返答しない事にした。
なまじ返答をすれば肯定した事になるし、嘘を見抜かれそうな気がしたからだ。
「・・・・」
「何ですか聖女様?」
本当は正式な礼節をもって相まみえたいのだが、そんな事をすれば自身の出自や目的がばれる可能性があるので、ワザとそっけない対応をしている。
アルフォンシーナの娘、アメリータは母に代わり、ライナスとヨーリスにつきっきり。
本当はアルフォンシーナがクサーヴァーから遠ざけたのだが。
「初めましてクサーヴァー殿。聖女アルフォンシーナでございます。」
クサーヴァーは戸惑った。どこまで知っている?
何せ自分に接する態度と、ヨーリスとライナスに接する態度が明らかに違ったからだ。
「・・・・呼び捨てでいいですよ。」
敢えて素っ気なく言い放つ。
「少々お待ち下さい・・・・今結界を張りましたので、ここでの会話は外に漏れる事はございませんので、ご安心を。」
クサーヴァーはこの美人の聖女・・・・しかも温和そうな優しそうな顔つきのこの女性に恐怖を覚えた。
どこまで感づいている?
「なんでそんな大げさな事をするんですか?」
「・・・・確か先々代の勇者の名が、ミロスラーフ・クプリヤーノヴィチ・ウサーチェフと名乗る方でした。」
クサーヴァーは心底驚いた。
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「それが何ですか?」
「彼は難なく魔王を討伐いたしましたが・・・・残念ながら魔王は復活いたします。」
「はあ?そんなの誰でも知ってる事じゃないか!」
父も知っていて、どうしたら魔王の復活を阻止できるか、それを追い求めているんだけれどと思いながら・・・・しかも父が魔王を討伐したのは偶然。本来はきちんと調べ上げて復活を阻止する仕掛けを講じるつもりだったようだが、魔王が自ら打って出てきたので、仕方なく仕留めたらしい・・・・
「今もその元勇者は、魔王の復活を阻止する手立てを追い求めていると聞き及んでいます。」
何が言いたい?
「さようですか・・・・僕にそれが関係していると?」
「その元勇者には、子が2人いたと聞き及んでおります。一人は女性・・・・予知ができるとか・・・・もう一人は魔術にたけた秀才とか。」
クサーヴァーはどう対応するか悩んだ。相手は聖女。
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「心配する事はありません。今後私は、貴方の事をクサーヴァーと呼び捨てにいたしましょう。それに目下扱いにいたしますが・・・・」
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何たる事だ・・・・この聖女・・・・
「ですので、行き詰ったり、道を見失うような時は、どうか私に一言相談して下さいね。」
「言ってる事がわからない・・・・俺はただの孤児だ。」
「・・・・父上もおつらい立場ですね・・・・」
クサーヴァーは返答しない事にした。
なまじ返答をすれば肯定した事になるし、嘘を見抜かれそうな気がしたからだ。
「・・・・」
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