魔法が使えないはずのダンジョンで俺だけ魔法を使えるようになったんだが

よっしぃ

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第50話 ティモの両親は葛藤する

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 ティモの魔力経路が閉じている症状を治すべく、2人は各地で魔道具及び薬を探し回ったが、見つからなかった。
 各地にあるダンジョンにも出向いたが、自分達が到達できる階層では見つける事が出来ず、無駄に月日だけが流れていった。

 時折様子を見に自宅へ戻るが、ティモを見て毎回驚愕してしまう。
 やはり月日と共に肥えてしまっている。
 今はまだ太っている、と言うレベルだが、このまま行けば日常生活に致命的な不都合が生じるのは目に見えて明らか。
 不都合で済めばいいが・・・・
「あのまま行けば身体が魔力を蓄えられなくなり、外へ飛び出てしまうと聞いた。」
「外へ飛び出すの?じゃあもう太らなくていいのね?」
「いや、そうじゃない。過去の例からすると、やがて体に蓄えられなくなった脂肪が身体を更に膨らませ、やがて・・・・破裂するそうだ。」
「は、破裂って・・・・」
「まだ時間はある。何とか探そう。」

 まだティモは成人したばかりだ。15年ある・・・・そう思っていたが、月日は容赦なく流れ、ティモが27歳になった時2人は深刻な事態に気が付いた。

「もって後2~3年だそうだ。」
「そ、そんな・・・・私のせいで、ティモが、ティモが・・・・」
「まだ探していない地域がある。駄目だったら、もう一度ここのダンジョンへ挑もう。」
「ここのダンジョンは、私達2人では到底無理よ?」
「なんとかダンジョン内で魔法が使える魔道具を手に入れさえすれば、深層へ向かう事もできよう。」
「とてもではないけれど、高すぎて手が出ないわよ?」
「宝部屋を何とか攻略するしかない。」
「それこそ無理よ?私達は他のダンジョンで40階層がやっとなのよ。宝部屋は50層を攻略できるだけの実力がないと無理って知っている?」
「そうなんだが・・・・」
「じゃあまだ行った事の無い場所へ向かい、駄目だったらまた考えましょう。」

 こうして2人はまた遠方へ・・・・そしてティモが28歳になって、ダンジョンで色々あって、別人となって戻ってから暫く後、戻ってきた。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

【冒険者ギルド】

「や、やめてくれえ・・・・あんた達の子供って知らなかったんだよう・・・・いてえ・・・・助けてくれよ・・・・折角治ったばかりなのに・・・・いてえ・・・・」
 ティモにちょっかいを出していた件の愚か者である。
 2人はティモが一部の冒険者に危害を加えられていた事を知らなかったため、今初めて知って直ぐに当事者を拘束、尋問中だったりする。

「あんたはやめてって言われてやめてあげたのかい?」
 マティルデは聞いた・・・・ティモの母親である。
「と、当然やめるさ・・・・あたり・・・・いてえ!何で殴るんだよ!」
「これ以上嘘を重ねるようなら、ダンジョンでお前が息子にやったのと同じ事をしてあげようか?」
 シーウェルトも容赦がない・・・・ティモの父親である。

 そんな時、誰かが仲間に喋っているであろう会話が2人に聞こえ、思わず手が止まった。
「すんごい装備の2人組がダンジョンに入ったってさ!」
「ああそれな。何だっけ?ダンジョンで獲得した装備に身を纏っているって噂の奴だろう?エレベーターを使っていたって言うから、深層まで行ってんじゃね?」
 ティモの両親は詳しい話を聞こうと思ったが、若い女性が凄い勢いでやってきて話を中断させた。
「おい、それは本当か?昨日ここに来ていた冒険者の事ではないか?」

 レナーテである。
 たった今ティモの行方を確認しに冒険者ギルドに入ってきた所である。
「あ、そ、そうだよ。」

「行きましょう。」
「そうしよう・・・・もしかして魔力回路を何とか出来る魔道具を所持しているかもしれないからな。」

 だがここでレナーテは2人の行く手を遮った。
「失礼ながら、魔力回路を何とかする魔道具を所望しておられるのだろうか?」
「え?持っているの?」
「いえ、もし魔道具を求めダンジョンへ向かうのであれば、是非私共と一所に行って頂きたい。」
 マティルデとシーウェルトはアイコンタクトを取った。
「それは願ったりだが・・・・今すぐ行けるか?」
「問題ありません。これから仲間の所へ向かいますので、1時間後にダンジョン入り口で如何でしょう?」
「ああ、わかった・・・・」

 急遽合同でダンジョンへ向かう事になり、周囲は大騒ぎとなった。

 ●  作者からのお詫びとお知らせ  ●

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
 ティモの両親を少し登場させるつもりが、当初予定していたよりかなり長くなりそうです。申し訳ありません。
 なので次の話もティモの両親が中心となります。
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