魔法が使えないはずのダンジョンで俺だけ魔法を使えるようになったんだが

よっしぃ

文字の大きさ
上 下
49 / 55

第49話 とある冒険者のお話

しおりを挟む
「マスターのとーちゃんとかーちゃんは家を留守にして一体何をしているヴァ・・・・じゃない何しているの?」
桜、今更言い直しても手遅れだよ。

「あー、何か俺が産まれる前は両親共に冒険者だったらしくってさ、同じパーティーに居たらしいけれど、2人はどうやら付き合うようになって、やがて俺が生まれ冒険者を引退したらしいんだよな。」
「よくある事ヴァ!一緒に居ていちゃついてデキちゃったから引退ヴァ!」
「まあよくある事なんだろうけどさ・・・・で、俺が確か10歳ぐらいの時になって、俺が1人でもやっていけるからなのか、2人してまた冒険するようになっちゃってさ・・・・結局殆んど家に帰る事なくあちこち旅をしているよ。」
「成人前の子を放ったからしにして無責任ヴァ!」
「あー、でも金はそれなりに置いていってくれていたからさ、成人までは何とかなったんだよ。」
「で、いい年したおっさんとおばさんが一体何を求めて・・・・まさか若返りの薬を求めているんじゃ?」
「あー、魔法である程度老いないようにはしているみたいだから、見た目は30代じゃないかな?」

因みにティモの母親は10代でティモを出産しており、現在ティモは28歳、つまりまだ40前半なのである。

・・・・
・・・
・・


「これは私達が求める薬ではないわね。」
「なんてこった!いくらなんでもこれを使えばどっちみち死んでしまうじゃないか!」
「仕方がないわね。元の素材がダンジョンにあると言っていたから、探しに行きましょうか。」
「そうだな、時間もないし、急いで探しに行こう・・・・因みに何層にあるんだ?」
「何だっけ?ええとそうね・・・・38層らしいわ。」
「・・・・一ヶ月近くかかるじゃないか。食料を確保しておかないと・・・・急ごう。」

もう若くない男女の冒険者。
ティモの母親、マティルデ・フローレクと父親のシーウェルト・フローレクである。
2人は現役の冒険者。

一時はティモが産まれた事により冒険者業を引退、冒険者時代の経験を活かし街周辺の魔物を間引く仕事に従事していた。

・・・・
・・・
・・


●時は2人が若い頃に戻ります。●

やがて時が経ち、ティモが産まれて10年が経った頃、ティモに問題がある事に今更ながら気が付いた。

注:魔力経路の問題である。
ティモは母親であるマティルデが自身の妊娠に気が付かず、知らずダンジョンへ向かってしまい、その時お腹の子への対策をしていなかったために魔力を遮断しないままダンジョンの壁に激突、お腹の子に後遺症が残ってしまった。

●注:第1話参照

その後後遺症に気が付かないまま幼年期を過ごしていたティモだが、ティモが10歳になるかならないかになってようやく両親は異変に気が付いた。
通常の子供より明らかに太っていたからである。
単に飽食のせいで太ったのであれば直ぐにわかるが、ティモの場合そうではなかった。
調べた結果魔力経路が殆ど閉じており、体内に魔力がたまってしまい、それが脂肪として蓄積されてしまっているという結論となった。

しかも、このままだと満足に魔法を使えない上に、脂肪がたまっていく一方。
やがて成長し、大人になっても何もしなければ改善する見込みがないという。
で、魔力経路を開けるには特殊な魔道具か薬が必要。
ダンジョンで手に入れるか、所持者を探すか、薬を求めるか。
「なんてこった!今まで気が付いてやれなかったとは・・・・」
「だって魔力経路が閉じていると言っても、普通の人はここまで脂肪がたまる事はないのよ!気が付かなくっても仕方がないじゃない!」
「今更そんな事を言っても宣無き事だ。これからどうするかを考えねば。」
「考えるって?」
「幸いな事に蓄えはそれなりにある。ティモが成人までは何とかなるだろう・・・・つまり俺とお前で再び旅に出る、って言う選択肢だ。」
「選択肢ってもうそれしかないわよね?あーゴメンねティモ!お母さん頭悪いからさあ、気が付けなかったんだよ。」
「そう言う訳だが、ティモには言わない方がいいだろう。」
「そうね、ティモが動けなくなる前に見つければいいだけの事だものね。」
「ああそうさ、まだ20年ある。」
ティモ10歳、このまま行けば寿命はあと20年と言われている。

●  作者からのお詫び?  ●
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ティモの両親は何者?と言う事で投稿しましたが、思ったより長くなりそうで、2話に分けたいと思います。
本篇と密接にかかわりますので、是非とも読んで下さるよう、お願いいたします。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界転生騒動記

高見 梁川
ファンタジー
とある貴族の少年は前世の記憶を取り戻した。 しかしその前世はひとつだけではなく、もうひとつ存在した。 3つの記憶を持つ少年がファンタジー世界に変革をもたらすとき、風変わりな一人の英雄は現れる!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...