魔法が使えないはずのダンジョンで俺だけ魔法を使えるようになったんだが

よっしぃ

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第39話 メビウスのブレスレット

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 なんか凄いアイテムだ。
 アイテムと言うか魔道具なんだろうなあ。

 で、気になったのは、
【《そのアイテムの名は【メビウスのブレスレット】、常に変化させる事が出来ます。こちらを装着する事で別人になれます。》】

 と椿が教えてくれた内容だ。

 うっかり聞き流してしまったが、何を変化させるのだろう?
「椿、常に変化ってどういう事だ?」
《メビウスのブレスレットは望めば常に変化させてくれます。勿論希望の姿になれば固定もできます。効果と致しましては先ず見た目の変化で御座います。肌の色、目の色、毛の色、身長体重。骨格も変化させられますのでこれだけで先ず見破られる事はないかと思われます。次に体臭や気配。見た目が変化しても内面が変わらなければ聡い人に気付かれてしまいます。そしてカード等の情報です。カードに記載されているステータスの改ざん。これらを高次元で変化させられますので、別人として振る舞う事が可能です。それとメビウスのブレスレットですが、対となるブレスレットがストレージに仕舞ってありますね。》

 つまり別人として行動できるって事か。
 何それ凄い。
 そして最後の言葉を俺は重要視していなかった。
 街に到着してから重要視していなかった事に気が付いたのだが、これは後の話。

「そんな凄いアイテム、装着したはいいが何かデメリットはないのか?」
 魔力をごっそり持っていかれたら困るぞ。
《デメリットで御座いますか。マスターの魔力であれば心配ないと思われますが、魔力は変化させた時に総魔力量の1割程消費致しますが、固定中は日に1割程度と思われます。》

 計2割か。
 尤も魔法を使う事は殆どないし、問題ない?

「マスター早くするヴァ!飽きたヴァ!」
 おっとここで桜が。
「おー桜すまんな。桜はこれからどうするべきだと思う?」
 思わず桜に聞いてみた。
「何?私に聞くのそれ?男は黙って素早く決めないとモテないヴァ!どうでもいいからとっとと温泉のある場所へ向かうヴァ!」
 ・・・・桜にとっては温泉が大事なのか。
「分かったが分からないんだよなあ。このまま街へ向かうか、別人となって街へ向かうか、若しくは違う街へ向かうべきか。できれば勝手知ったる環境が望ましい・・・・だがそうなると悪さをして来る連中にまた絡まれるとかあるから面倒だなあ。」
 俺が決めかねていると、
「マスター早く決めるヴァ!と言うか面倒だからさっさとそれを装着して街へ向かうヴァ!」
「お・・・・おう?」
 よくわからんが桜の我慢は限界のようだ。
 仕方がない、様子を見るにも一度別人となって元居た街へ向かうか。
「分かったよ桜と椿、俺は今からメビウスのブレスレットを装着してから街へ向かう事にするよ。」

 俺は早速ブレスレッドを装着した。
 それに今は全身カッコイイ鎧を身に纏っている。
《では最後に武器を。》
 宝箱から得たアイテムの中には魔剣もあったが、今の俺には特に必要性を感じず、まともに調べもせずにストレージへ入れっぱなしにしていたっけ。

 俺は見た目重視で魔剣を選び、鞘を腰に取り付け帯剣した。

 こうして俺は全くの別人として街へ戻った。
 そして、街に入る直前になって気が付いた。
 桜がいると、バレバレじゃないか・・・・と。
 尤もダークネスを唱えていたので、誰にも見られていないと思うが。
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