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セシル

第142話 一向に現れないセシル

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 お昼を過ぎてもセシルは現れません。何かあったのかな?
 先にセシルが住んでいるはずの修道院へ確認をしに行った方が良かった?

 で、周りを見てもやはりそれらしい人物はいません。ただ、僕がここに到着した時に居た白いワンピースの少女は、僕が最初に見た時のまま身じろぎもせずにずっと座っています。
 何で彼女はそこに座っているのだろう?

 そして更に時間が過ぎ、僕はセシルに何かあったのだなと感じ、ベンチから立ち上がります。
 一瞬そのワンピースの少女が視界の端に入り、身体がぴくっとした気もしましたが、横目でかすかに視認しているだけなので気のせいかなと思いつつ、もしかしてギルドに伝言がないかな、と思いギルドの建物へ入ります。

 中はまだ夕方近くにもかかわらず、冒険者が沢山いました。
 一応中にセシルがいないか見渡しましたが、それらしい姿は見受けられませんでした。

 何やら騒がしいのですが、気にせず空いている受付のお姉さんがいる所へ向かいます。

「ようこそギルドへ。本日はどのような用件でしょうか?」

 流石に僕の見知っている女性ではなさそう・・・・3年も経てば結構人が入れ替わるかな?

「あ、申し訳ありません。実はギルドの建物近くで仲間と待ち合わせをしていたのですが、もしかして何か伝言がないかと思い確認をしたいと思ったのですが、どうやって確認をすればいいでしょうか?」

「待ち合わせですか?掲示板がありますし、私共にカードを提示していただければお調べいたしますよ?」

 どうしよう?でもカード見せるぐらいなら?
「じゃあお願いします。」

 僕はカードを受け付けのお姉さんの指示した場所に置きます。
「ちょっと待って下さいね・・・・デルク・コーネイン?ええと一件御座いますね。トゥーニス・・・・伯爵?え??確かに伯爵様自らの伝言を預かっておりますね。」

 あれ?セシルのではないのか。どうしたのだろう。
僕はこの時連絡手段があった事を失念していました。まだ一度も使った事が無いので仕方がないのですが。

 まあでもトゥーニスさんからの伝言があるという事は、ヴィーベさん達が知らせてくれたのかな?

「では、銀貨1枚頂きますが宜しいですか?」
 高いと思いつつ、了承します。
 そして伝言を受け取ります。
 カードの中に組み込んでいる仕組みで声を再生できるという代物です。後で宿に着いてから確認しよう。

「それと、伝言をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい、10秒ほどの伝言でよろしければ受付いたしますよ?はやり銀貨1枚頂きますが。」

 先程もそうですが、カードから差し引かれます。
 一応今日の日付を確認し、

【セシルへ、デルクです。今日見かけなかったので何かあったのか心配です。明日のお昼にギルド前で待ってます。明日来なければ探します。】

 僕は受付のお姉さんに伝言を託し、ギルドを出ます。
 そしてその時、入れ違いでワンピースを着た少女とすれ違いましたが、その歩き方を見て、何だか見覚えがあるなあと思ったのですが、その時はいやあ彼女は初めて見る人だしなあとか思ってその場を後にしました。
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