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新たな仲間と共に

第111話 3人には98層に向かってもらいます

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 この後ひたすら繭を収納かばんに入れ、この階層を後にします。
 蚕の幼虫と成虫も僕達を襲う事なくじっとしていたので無視しました。

 絹を得るのに今必要なのは繭だけなので。
 しかしながら成虫はいるけど、繭の残骸がないのは何故?

 一応使い道はある・・・・はずなので、それも回収したかったけれど、無いものは仕方ありません。

 で・・・・98層。

「デルク、綺麗な何かが落ちている!」
 セシルが何か見つけたようで、それとほぼ同時にロースが、

「レイナウト!あれ宝石じゃないの?」
「あ、なんだいここは?」

 レイナウトはロースに言われロースの指さす方へ向かい、それを拾うと、
「なあこれってさ、エメラルドとかいうのじゃないか?」

 レイナウトが拾った石は濃い緑色をしており、親指ほどの大きさ。

 これは凄いけど、この広い階層に落ちている石を拾うのはなかなか骨が折れそう。時間もかかりそうだし。

 しかし何で落ちているのかな?
 あ、これ3人に回収してもらって、僕は繭を茹でて何とか糸を紡ぎたいからそっちの方をさせてもらおうかな?

 既に拾う気満々のロースとセシル。

 磨いていない宝石・・・・の原石だよねこれ。まだそんなに綺麗じゃないんだけど、それでも宝石の魅力ってあるんだろうね。

 磨いてカットしたらどれほどの価値になるんだろう?
「レイナウト、ここは3人に任せてもいいかい?」

 僕は宝石に夢中になっている女性陣をレイナウトに託そうと声を。
「うん?もしかしてさっきの繭かい?」

 察してくれた様です。
「何とか糸を手に入れたくてね。糸を手に入れられたら布を得る事が出来て、結果的にはそれを元にカバンを作って、より収納量の多い収納かばんを作りたいんだ。既に手持ちのカバンは殆ど収納かばんになっちゃってるからね。」

 こんな事になると知っていればもっと持ってきていたんだけどね。
「わかった。ここは魔物もいないだろうから、デルクは・・・・デルクの方が面倒そうだけど、頑張ってくれたまえ!!」
「いや、レイナウト、君の方こそこの広い敷地をくまなく石拾いとか、それこそ大変じゃない?」

「まああの2人が張り切っているからさ、何とかするさ。」
 ひらひらと手を振って先に進んでいくレイナウト。

 じゃあ僕は此処で土鍋でも作って、水を入れて茹でますか?
 繭を入れる大鍋なんて持ち合わせがないので、土魔法で土鍋を作り中に水魔法で水を入れ、火魔法で沸騰させます。

 その中に繭を放り込みます。

 茹で上がれば繭を取り出し、その後はあまり気乗りしない作業をし、中のお亡くなりになった蚕さんは再び収納かばんに入れて、時間のある時に何とかしたいなあと思いながら、あれを食べるのかなあとか思いつつ、乾燥準備をします。
 ああ、その前に手持ちの素材で糸を紡ぐ道具は作ったんです。

 そして乾燥させるんですが、魔法って便利で、土魔法で囲いを作り火魔法で熱せれば乾燥しちゃうみたいです。さらに付け加えるならば風魔法を組み合わせるといい感じに乾燥します。

 まあこの辺はどうなっているのか知りませんが、実際蚕から糸を紡ぐ工房で教えてもらった事があるので、その通りにしているだけですが。

 そして後で知りましたが、対象物の水分を魔法で抜く事もできるみたいで、それを知っていればもっと手間をかけずに乾燥させられたのかな?

 きっとスキルのせいなんだろうとか思いながら、ひたすら作業を進めていきます。
 そしてふと気が付いた事が。

 別に糸にする必要ってないんじゃない?
 これは持ち帰ってからすればいい?

 今必要なのはなんでもいいのでカバンを手に入れる事。
 極端な話カバンじゃなくて袋でいいんです。

 そして繭。

 少しでも穴が開けばカバン代わりになるんじゃないかと思い、乾燥した繭を手にし、糸を・・・・紡ぐ前に糸をとりださないといけないので、繭をじっくり調べると見つけたので、引っ張っていきます。

 すると少し穴が見えてきたので指で広げます。

 おお?これならいけそう?
 繭自体硬さはさほどないので、一度指が入れば後はゆっくり拡げていけば拡がりました。

 本来なら小さいのでこんな事はしないのでしょうが、この繭はかなり大きいので簡単に拡がります。
 で、一番気乗りのしない蛹さんの回収。
 繭の中から取り出します。

 後で美味しく頂きます。
 蚕さんに感謝です。

 そしてこの繭に付与を施します。
 出来るかどうか試さないとね。

 しかし持ち運びが大変そうな大きさ。手押し車でも作って、それに乗せようか?
 で・・・・できました。

 カバンとしての機能があったという事でいいのかな?
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