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ダンジョンに取り残される

第70話 落下してきたのは、まさかの・・・・

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 しかし、一向に魔物の気配がありません。

 あれ?それよりも何かうめき声のような声?が聞こえます。
 魔物を警戒していたので囲いに意識が向いていませんでしたが、よく見ると囲いの上にはまだ何か、今回ぶつかった何かが乗っているままです。

 今回囲いに施した改良の一つ、囲いの上にクッションを、というのと共にクッションには少し粘着性のある加工を施しました。

 もし人間が囲いにぶつかってきても、ぶつかった後にはじけて落ちないように、と考えたからです。

 まあ取り敢えず思い付きでやってみたので、実際に試行錯誤を何度も繰り返していこうと、そう思って真っ先に思いついた事を実行してみただけなんです。
 ですがその、実際に効果の程を目の当たりにして、驚いてしまいました。
「デ、デルク!人がいる!生きている!」
 囲いの上には、落下をして囲いの天井部分に衝突した人間が2人、呻きながら辛うじて生きていたんです。

「本当だ!セシル、周囲に魔物の気配は?」

 助けるにも魔物がいれば難しいです。
 場合によっては壊れた囲いにもう一度入り込み、安全な場所に移動するしかありません。

「デルク!今の所周辺に魔物の気配はない!」
「わかった!ではマットを用意してくれないかい。」
「わかった。」

 セシルは僕がどうするのか理解したようで、マットを床にひてくれています。
 僕は自分にフライの魔法をかけ、囲いの上に向かいます。

 まず目についたのは血だらけで、手足が明後日の方向に曲がった人の姿。
「うぐ・・・・」

 そしてもう1人もやはり血だらけで手足が変な向きになっています。

「う・・・・」

 2人とも半ば意識がないようですが、何とか息をしています。
 僕は2人を下に降ろすべく持ち上げようと考えましたが、このまま持ち上げるのは色々な意味で無理があります。

 僕は2人にフライの魔法をかけますが、あれ?既にかかっている?
 僕は手前にいる人の体を確認し、手を下に入れ持ち上げてみます。

 するとあれれ?やっぱりフライがかかっている?
 簡単に持ち上がりました。
 ただこの人は意識が殆どないので、自身でフライの制御ができません。
 どうすれば?僕は一瞬考えましたが、この人を抱きかかえ僕のフライで僕と共に下へ降りる事にしました。

「セシル、回復魔法は使えるよね?」

「うん。」
「この人、骨が折れているから、まずは止血だけできない?止血したら後で手足を真っ直ぐにしてから回復魔法を使いたい。」

 この頃のセシルは、恐らくかなり高位に分類された回復魔法を使えると思われます。

 もしかしたら【死】以外、例えば四肢が欠損した状態でも復活させる事が出来るのでは、と僕は考えています。

 今まで僕とセシルは幸いにしてそのような大怪我を負った事がないので、効果の程を試した事がないんです。

 僕はこの人をセシルに任せ、もう1人も降ろしていきます。
 2人とも床へひいてあるマットに寝かせ、セシルは早速魔法を使用しています。

 僕が2人目を下ろした終えた時、既にセシルは止血を終えてくれていました。
 僕は取り敢えず手足をまっすぐにしていきます。

 変に曲がったまま回復魔法を使って、曲がったまま回復しちゃったらどうなるか分かったものではないので、一応こうした措置を行います。
 もし曲がったまま回復してしまえば、今後不自由ですし。

 意識を失っていたのが幸いしたのか、変に暴れる事もなく処置が終わります。
 もう1人も手足をまっすぐにし、セシルが順番に回復魔法を使ってくれます。

 流石のセシルもこれだけ立て続けに高位の魔法を唱えたので、魔力が枯渇したようでぐったりしています。

「セシル、無理させたね。暫く横になっていて。」

「ん。」

 僕はセシルにもマットを用意し、寝かせます。

 暫くして何とか治療が終わり、今度は浄化の魔法を唱えます。
 因みに僕も回復魔法と浄化を使えます。
 セシルほどではありませんけど。

 で、まだ顔色が悪いようですが、何とか一命はとりとめたようです。
 よかった。

 どうやら男性と女性の冒険者です。年の頃は僕と同じぐらいかな?

 そう思ってよく見ると、あれ?何だか見覚えがあるような?
 何処で見たんだっけ?

 そう言えば僕が遊び人の所へ訪ねてから、つまりトゥーニスさんの所にやってきてからは、基本的にトゥーニスさんとその弟子、僕にとっては兄弟子というべきなのでしょうか、そう言った人ぐらいしかまともに会っていなかったので、なかなか思い出せません。

 じっと見ると・・・・あ!
 そうだ!思い出した!何で思い出せなかったのだろう。
 僕が遊び人になった時、泣く泣く分かれた友人。
 幼馴染のレイナウト・モレナール
 確か魔法戦士になってたはず。

 もう一人の幼馴染、ロース・ランブレヘツ
 彼女は精霊使いだったかな?

 こんな所で、しかもこのよう形で再会しようとは夢にも思っていませんでした。
 直感を信じて良かった!
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