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職業選定

第1話 10歳になったので、教会へ職業の選定を受けに行く

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 この世界は10歳を過ぎると、今後の自身の職業を決められる。
 決められるというのは少々おかしな話で、実際は教会で選定を受けるのだ。

 だが、日頃の行いから大まかながら何になれそうなのかは皆分っており、実際はただの通過儀礼みたいなものなのだが、いざ選定を行うと本人が思ってもいなかった職業になってしまう者も少なからずいる。

 ここにそんな思ってもみなかった職業を選定してしまう、1人の少年がやって来た。
 名はデルク・コーネイン

 どこにでもいる平凡な少年。

 彼は幼い頃に両親が死に、親戚に育てられた。
 しかし持ち前の明るい性格で何事にも楽しみを見出し、どんな事も楽しんで手伝っていた。
 例え家の周りで雑草抜きだったとしても、下水が詰まった時の下水の掃除でも。
 そして街では色々な事を率先してやってきた。
 そんなデルクを街の人々はよく見ており、鍜治場に行けば、親方はデルクを見ると鍛冶を教えてくれたり、街の外へ行けば木こりが色んな草の採取方法を教えてくれたり。
 皆彼の人懐っこさに、いつの間にか色々な事を教えてくれるのだが・・・・

 今日を限りに、それが無くなるとはこの時デルクは思いもよらなかった。
 そして、友達と思っていた同年代の連中にも馬鹿にされ、疎遠になってしまうなどどいう事は今まで考えた事もなかったが、それが現実に起ころうとしていようとは。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

「おお皆来たか!いよいよ君達も10歳か!今日は年に1度の選定の日じゃ!しかも5年に一度の【赤の日】!皆良い職業が出るといいがな!はっはっはっ!」

 そんな事を言ってるのはこの教会の責任者?
 この教会の中心人物。もう50半ばのお腹の出ているいい歳したおじさんだね。

「それはいい。君達も知っていると思うが、一応説明はしないといけないのでな。其方らのここ数年の行動で、ある程度職業は決まっておるのだが、正式な職業はこの選定板に手をかざす事で決まるのだ。最大3つまでの職業をここで選択できるが、それはよほど最初の職業がありえないものだった場合にもう一度選ぶ事になるのだ。まあないと思うが可能性のある職業はやはり遊び人になってしまった場合だな。もう一度チャンスがある!だが2つの職業を持つと、成長速度が半減してしまうからお勧めはしない。もし剣聖になりたいとかふざけた希望をしておる者がおっても、戦士や剣士に選ばれても、そのまま出た職業になる事を推奨しておく。まあ剣聖なんぞなれぬと思うが、剣士が成長すれば稀に剣聖に進む事もある!何事も職業を極める事じゃな!はっはっはっ!」

 この世界は基本職業が何になったかでほぼ決まる。そして職業が決まればその内スキルが発現するようになる。頑張れば10個も20個もスキルが手に入るとされているようですが、基本一つの職業で得られるスキルは最大3つほど。
 で、15歳になるまで職業ごとの経験を積めば、ある程度スキルが増えるようです。

 例えば戦士や剣士は最初から剣術のスキルを持っている。これを頑張って成長させれば、頑強や場合によっては盾術など、関連するスキルが増えたりする。剣を持って戦う時は、盾を併用すれば攻防一体の戦いができるし、頑強があれば多少の無茶も何とかなる。


 それに職業は冒険者向けだけではありません。
 まあ半数の人は冒険者向けの職業になるのですが。

 中には生産向け、鍛冶や採取、裁縫などのスキルを発現させる事が出来る職業を選定する者もいます。
 鍛冶の場合は鍛冶職人、採取は色々な職業で取得ができます。木こりもそうですし、薬剤師なんかも採取は必要なので需要はかなりあります。
 人気のスキルみたいです。

 女性は家事の職業だったり、針子の職業になる場合もあるようです。
 家事ならメイドになったり貴族の館で雇ってもらえたり、針子なら裁縫スキルがあるので、布を扱う工房で働けたり。
 なので僕も広く色んな職業をやってみたんだけど。
 戦闘向けの職業を選定しても、生産向けの職業を選定しても困らないようにと、時間の許す限り学んでました。

 まさかそれがこんな結果になるなんて、この時は思ってもみませんでした。
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