精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない

よっしぃ

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第37話

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 漸く80層を突破した。
 66層以降は一日1層しか進めなくなった。
 ダンジョンの広さもそうだが魔物との遭遇も多くなり、尚且つ数が多くなったのも影響している。

 ただ日に1層の攻略なので、安全地帯で休む時間はそれなりに多い。
 そうなると俺の出番が多くなる。
 俺、というより主に土の精霊であるじいちゃんが、なんだよなあ。

『気にする事はないぞい。儂にしかできんじゃろうし、余分に魔力を得られるからむしろ望む所じゃぞい。』
 じいちゃんはそう言って嬉々として作業をしてくれる。
『そう?俺には魔力ぐらいしか提供できないし、それも自前のじゃないから悪いなあ。』

 そう思ったんだけど、
『それを含めての実力じゃぞい。気にしたら負けじゃ。』

 じいちゃんはそんな事を言いつつ、安全地帯に建造物を造ってもらっている。
 今までだと持ち込んだ(これもじいちゃんから出し入れをしてもらっている)テントやトイレ、竈等を設置していたんだが、件のパーティーメンバーからの要求がエスカレートしていき、遂にはシャワーでは満足できないと言い出す始末。
 俺が色々持ち込んでいる事を絶対知っているのに、それに俺には造成や建造なんかのスキルがない事も知っているはずなのに、何故このように横暴な要求が来るんだ?
 それを許したボプさんもボプさんだ。
「いや、すまんねヘイマンス殿。いかんせん此処までのストレスが凄すぎるようでね、出来るのであればもっと疲れを癒せるようなのを用意してもらいたい。」
 アンタ絶対落として上げるを実践してるだろ!
 俺が否定的な事を言われた後に懇願されて、その気になれるとでも思っているのだろうか。

 ここまでの付き合いで、おれはボプさんの評価を見誤っていた事を痛感した。
 どうやら仲間には対象者を貶めたりする発言をさせ、自身はそれを諫めたり対象者を護る体を装っている。
 なので初見では良い人だなあ、とか人格者だとか勘違いしてしまう。
 俺も最初はそう思ったぐらいだから、エレンの依頼が無ければ間違いなく騙されていただろう。
「敵も強くなっているからストレスを感じるのは仕方がないとして、何処まで出来るかは分かりませんよ?」
 何せ精霊次第なのだ、だから責任はもてませんよ、と暗に伝えたのだが、
「そんな事はない。俺はヘイマンス殿をずっと見ていたが、確かに戦闘ではあまり期待はできないが、それ以外のサポートは今回のアタック隊では飛びぬけていると理解しているつもりだ。誰しも己のスキルを仲間にさえ伝えられないというのは認識している。ヘイマンス殿もその類だとは思うが、どうかそれを考慮してもあいつ等が望むものを用意してやって欲しいのだ。」

 こいつ絶対人誑しだろう。
 俺はいつかこいつの化けの皮が剥がれる時が来るのを感じつつ、
「食事をしながら待っていて下さいよ。何とかしてみます。」
「それは助かる。では頼んだぞ。」
 まあこの間にもじいちゃんが色々作ってくれているんだが、それは言わないでおこう・・・・精霊の事は伝えているはずなんだがなあ。
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