精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる！が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない

第29話

　慌ただしいながらもパーティーは合流、その後明日ダンジョン前に待ち合わせとなり、メンバーはその場でいったん解散した・・・・エレンは俺と行動を共にするようだ。

　そして受付のお姉さんに捕まった俺は、何故かそのまま屋敷を購入すべく、現物を確認するよう言われ、現在3人で向かっている所だ・・・・行動が早過ぎる！

　で、流石に屋敷というだけあって、俺達庶民が暮らす地域とは違い、富裕層が暮らすエリアにあるようだ。
　庶民が暮らすエリアと富裕層が暮らすエリアの間には、商売目的のエリアが立ち並んでいる。
　そして更に奥には貴族が暮らすエリアがある。
　王都は中心に城があり、王族が暮らしているらしい。

　で、今回俺が買わされる事になっているのは、富裕層と貴族のエリアに近い場所。
　というより貴族でもあまり位が高くない・・・・それでも俺達庶民にとっては手の届かない存在なのだが・・・・準貴族や騎士の称号を受けている層が暮らすエリアが存在しており、これは何となくそう言った境界があるというだけで、厳密には境界線はないそうだが、俺はそう言ったエリアに案内されている。

　おいおい、庶民が来ていい場所じゃないぞ！
　そう思ったが、何を勘違いしたのか受付のお姉さん、
「大丈夫ですヘイマンス様。エレン様が伴侶なのですから、こちらの物件は相応しいと思われますわ。もう少し時が経てばさらに奥のエリアでも問題ないでしょう。」
　エレンが伴侶？数日前に初めて口をきいたばかりなんだが。
　いや、10日程経ったか？
　エレンもエレンだ、そこは否定してほしいが、
「そういう事であれば、先ずはこの物件で良しとしよう。」
　中を見ないで判断するとか、大丈夫なのだろうか。
「ありがとうございます！ただし、問題があります。管理者をどうするか、です。エレン様もヘイマンス様同様冒険者として未だ現役です。不在期間が多くなると思われるので、屋敷を管理する人員が必須です。執事はこちらで伝手がありますが、メイドや庭師も必要でしょう。」

　ここは富裕層と貴族が住むエリアの境目付近。
　建物に庭はそれなりに広い。
　管理できるのか？

「ヘイマンス殿は修道院へ多額の寄付をしている。要請を掛ければシスターの1人や2人、工面できると思うがどうだろう。庭師もシスター経由で。」
「あら、よくご存じですね、流石はエレン様です。もし修道院で無理なようでしたら、こちらで紹介しますわ。」

　相変わらず俺が購入する物件なのだが、俺抜きで話が進んでいる。
「よろしく頼む。で、貴女が管理を？」
「ええ、お任せ下さい！こう見えて執事の資格は持っていますので。」
　へ？いつも俺の対応をしてくれている受付のお姉さんが執事？
　冒険者ギルドは大丈夫なのか？

　この後も俺抜きで話は進み、あっという間に契約書へサインが終わり、屋敷は俺の所有物となった。
　尤も明日にはダンジョンへ向かうので、ここで住むのはもう少し先になりそうだ。
　だが受付のお姉さん、俺に一つ注文をしてきた！
「ヘイマンス様、今後ダンジョンでドロップアイテムを沢山得るのであれば、一度屋敷へ納めるよう精霊に伝えて下さいね。」
　俺は現物を見ていなかったが、ダンジョンのドロップアイテムを直接持ち込ませるのは駄目なようだ。
　後でじいちゃんに確認しておこう。