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第一章
なんで僕!?
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ええと、これは一体何がどうなっているんだろう?
あの爆発に巻き込まれた後、気がつけば僕は機兵団の自室のベッドの上で目を覚ましていた。ゆっくりと上半身だけを置き上がらせると、いとも簡単に体は起き上がってくれる。痛みなどは一切なく自分の体を見てみたけれど怪我などもなければ包帯を巻いたりもしていなかったから、僕の頭の中は?マークでいっぱいになってしまう。あの時僕は確かに機体を爆破させ、爆発に巻き込まれて死んだはずなのだから。それなのに全くの無傷で生きているのだ。あの爆発から助かるはずもなく、助かったのだとしても無傷なわけは絶対にないと確信できた。
とりあえず、誰かに話を聞いた方がよさそうだとベッドから降りれば、やはり足もしっかりと動いてくれ傷などは見当たらない。そのまま僕は自分の机の上に置いてあった機兵団員だけが持つことを許される腕時計型のタブレットを嵌めて起動させる。これはいろいろと便利な機能が揃っていて、通信機の役割も持っているし、身分証代わりでもある事以外にも機兵団の施設の地図を見たり、日付や時間を確認したり、仲間通しで通話や文字での連絡を送り合ったりも出来るものとなっている。とりあえず今の時間を確認しておこうと僕は時計とカレンダーがセットになった機能を作動させると時計型のタブレットから宙に映像が浮かび上がって時間と日付が表示される。
『2785年4月3日 11時30分』
ん?ちょっと待ってくれ。
2785年の4月3日ってどういうことだ?
今は2788年の10月のはずだろう?
まさかタブレットの機能が損傷したのかと、何度も再起動させたけれど何度やっても表示される日付も時間も同じで。試しに他の機能を起動してみてもどこも以上は見られなかった。最後の手段として通話機能を使って、兄のラクロに連絡し日付を確認したところ、不思議そうな顔で今が2785年の4月であることを認められてしまった。本当に一体なにが起こっているのかが分からない。兄さんの様子も僕を見ても平然としていたため、あの戦いで僕が死んだという事実はなくなっているようだし。本当に今が2785年だというのであれば。
三年前に時間が巻き戻っている!?
それにこの日って確か、彼が、レディオ・ローエンが機兵団に特例で入って来る時じゃないか!
それを思い出すと僕はハッとして改めて時間を確認する。彼がやって来るのは確か正午丁度だったことを思い出して、慌てて転移機能を作動させ、正門の前へと移動する。本当に人生が巻き戻っているのなら。そう考えて僕の胸は大きく高鳴っていた。全てをやり直せるチャンスかもしれないと。彼と出会う前に戻れたのなら、今度はもっと素直になって、嫌な態度などとらず友好的に接しようと。そうすれば、今度は嫌われモブの位置じゃなくて、モブはモブでも彼の友人の一人のモブぐらいまでの位置でならいられるかもしれないから。もしかしたら、これは神様が僕の願いを叶えて機会を与えてくれたのかもしれないなんて、神を信じているわけでもないのにそんなことを考えつつ正門の前へと移動すれば、もう既に何人かの機兵団の団員達が門の前に集まっていた。やはり間違いなくもうすぐ彼がここに来るのだと思えば、らしくもなく心臓の高鳴りを感じる。
人だかりを押しのけてなんとか最前列へと移動した僕は、その直後に団長の運転する車が正門の前にとまるのを目にする。それと同時に車の扉が自動で開き、漆黒の髪に赤い瞳を持つ青年が鞄一つだけを手に降りてくる姿を確認して、思わず泣きそうになる。もう二度と会えることなんてないと思っていたのに、また会えたから。彼、レディオ・ローエンに。この後何が起きるのかを僕はもちろん知っている。この後辺りをきょろきょろと見まわした彼は同じく最前列にいた彼の幼馴染であるリヒト・アンネルの姿を見つけて笑顔で駆け寄っていき『会いたかったぜ、リヒト!』と公衆全面で抱きしめて再会の抱擁を交わすんだ。前回はその時の僕はアンネル君に密かに好意を抱いていたから、思わず声を上げて突っかかって行ったんだけれどね。初対面は最悪の印象だったな。けど、今回は違う。僕の想う人は、愛している人はレディオの方だから。今回は同じことが起こっても微笑ましく見守ろう。そして後から時間を見つけて友好的に挨拶し、二人の仲の良さを褒めてみたりするんだ。
ああ、それにしてもやっぱり本当に格好いいな。
物語の主人公だけあって、見た目そのものが他の団員達の軍を抜いて整ってる。
以前は気に入らなかった妙に自信に満ちた振る舞いも、とても様になっていて格好良く見えるのだから恋心というのは不思議なものだ。
アンネル君も天使のように可愛らしい青年だから、美男子同士でお似合いなんだよな。
なんて考えていれば、僕の予想通り車を降りた彼は団員達の好奇の視線を気にすることなくきょろきょろと誰かを探すように辺りを見回し、最前列にいるアンネル君の姿を見つけて嬉しそうに笑みを浮かべ。
……ってあれ?今僕と目が合った?
僕がそう思った瞬間、僕と目が合ったように思えた彼はハッと驚いたように大きく目を見開いて一瞬固まったように動かなくなったかと思えば、すぐに泣き笑いのような笑みを浮かべた後、次の瞬間には持っていた鞄を放り出して僕の方へと全速力で駆け寄ってきた。そして。
「やっと会えた……!!ずっと、ずっと会いたかったんだ……リオネル!!」
叫ぶようにそう言って、僕の体をぎゅううっと強く抱きしめていた。
……え?
「「「「「「「ええええええええええええっ!!?」」」」」」」
僕を含むその場にいた団員達が驚きの声をあげるのは無理もないことだった。
あの爆発に巻き込まれた後、気がつけば僕は機兵団の自室のベッドの上で目を覚ましていた。ゆっくりと上半身だけを置き上がらせると、いとも簡単に体は起き上がってくれる。痛みなどは一切なく自分の体を見てみたけれど怪我などもなければ包帯を巻いたりもしていなかったから、僕の頭の中は?マークでいっぱいになってしまう。あの時僕は確かに機体を爆破させ、爆発に巻き込まれて死んだはずなのだから。それなのに全くの無傷で生きているのだ。あの爆発から助かるはずもなく、助かったのだとしても無傷なわけは絶対にないと確信できた。
とりあえず、誰かに話を聞いた方がよさそうだとベッドから降りれば、やはり足もしっかりと動いてくれ傷などは見当たらない。そのまま僕は自分の机の上に置いてあった機兵団員だけが持つことを許される腕時計型のタブレットを嵌めて起動させる。これはいろいろと便利な機能が揃っていて、通信機の役割も持っているし、身分証代わりでもある事以外にも機兵団の施設の地図を見たり、日付や時間を確認したり、仲間通しで通話や文字での連絡を送り合ったりも出来るものとなっている。とりあえず今の時間を確認しておこうと僕は時計とカレンダーがセットになった機能を作動させると時計型のタブレットから宙に映像が浮かび上がって時間と日付が表示される。
『2785年4月3日 11時30分』
ん?ちょっと待ってくれ。
2785年の4月3日ってどういうことだ?
今は2788年の10月のはずだろう?
まさかタブレットの機能が損傷したのかと、何度も再起動させたけれど何度やっても表示される日付も時間も同じで。試しに他の機能を起動してみてもどこも以上は見られなかった。最後の手段として通話機能を使って、兄のラクロに連絡し日付を確認したところ、不思議そうな顔で今が2785年の4月であることを認められてしまった。本当に一体なにが起こっているのかが分からない。兄さんの様子も僕を見ても平然としていたため、あの戦いで僕が死んだという事実はなくなっているようだし。本当に今が2785年だというのであれば。
三年前に時間が巻き戻っている!?
それにこの日って確か、彼が、レディオ・ローエンが機兵団に特例で入って来る時じゃないか!
それを思い出すと僕はハッとして改めて時間を確認する。彼がやって来るのは確か正午丁度だったことを思い出して、慌てて転移機能を作動させ、正門の前へと移動する。本当に人生が巻き戻っているのなら。そう考えて僕の胸は大きく高鳴っていた。全てをやり直せるチャンスかもしれないと。彼と出会う前に戻れたのなら、今度はもっと素直になって、嫌な態度などとらず友好的に接しようと。そうすれば、今度は嫌われモブの位置じゃなくて、モブはモブでも彼の友人の一人のモブぐらいまでの位置でならいられるかもしれないから。もしかしたら、これは神様が僕の願いを叶えて機会を与えてくれたのかもしれないなんて、神を信じているわけでもないのにそんなことを考えつつ正門の前へと移動すれば、もう既に何人かの機兵団の団員達が門の前に集まっていた。やはり間違いなくもうすぐ彼がここに来るのだと思えば、らしくもなく心臓の高鳴りを感じる。
人だかりを押しのけてなんとか最前列へと移動した僕は、その直後に団長の運転する車が正門の前にとまるのを目にする。それと同時に車の扉が自動で開き、漆黒の髪に赤い瞳を持つ青年が鞄一つだけを手に降りてくる姿を確認して、思わず泣きそうになる。もう二度と会えることなんてないと思っていたのに、また会えたから。彼、レディオ・ローエンに。この後何が起きるのかを僕はもちろん知っている。この後辺りをきょろきょろと見まわした彼は同じく最前列にいた彼の幼馴染であるリヒト・アンネルの姿を見つけて笑顔で駆け寄っていき『会いたかったぜ、リヒト!』と公衆全面で抱きしめて再会の抱擁を交わすんだ。前回はその時の僕はアンネル君に密かに好意を抱いていたから、思わず声を上げて突っかかって行ったんだけれどね。初対面は最悪の印象だったな。けど、今回は違う。僕の想う人は、愛している人はレディオの方だから。今回は同じことが起こっても微笑ましく見守ろう。そして後から時間を見つけて友好的に挨拶し、二人の仲の良さを褒めてみたりするんだ。
ああ、それにしてもやっぱり本当に格好いいな。
物語の主人公だけあって、見た目そのものが他の団員達の軍を抜いて整ってる。
以前は気に入らなかった妙に自信に満ちた振る舞いも、とても様になっていて格好良く見えるのだから恋心というのは不思議なものだ。
アンネル君も天使のように可愛らしい青年だから、美男子同士でお似合いなんだよな。
なんて考えていれば、僕の予想通り車を降りた彼は団員達の好奇の視線を気にすることなくきょろきょろと誰かを探すように辺りを見回し、最前列にいるアンネル君の姿を見つけて嬉しそうに笑みを浮かべ。
……ってあれ?今僕と目が合った?
僕がそう思った瞬間、僕と目が合ったように思えた彼はハッと驚いたように大きく目を見開いて一瞬固まったように動かなくなったかと思えば、すぐに泣き笑いのような笑みを浮かべた後、次の瞬間には持っていた鞄を放り出して僕の方へと全速力で駆け寄ってきた。そして。
「やっと会えた……!!ずっと、ずっと会いたかったんだ……リオネル!!」
叫ぶようにそう言って、僕の体をぎゅううっと強く抱きしめていた。
……え?
「「「「「「「ええええええええええええっ!!?」」」」」」」
僕を含むその場にいた団員達が驚きの声をあげるのは無理もないことだった。
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