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第2章 

ブラッシングは永遠に?

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翌朝起きたら、アウローラさんが笑顔で櫛を持っている。うん・・・とうとう私が背中に不動明王を背負う時が来たようだ。オートで櫛を梳かしてくれる魔法無いかな?誰か魔法開発してくれないかな?

「あんらぁ~ブラッシングはね、ちゃんと手でやらないとだめだよ」

今日も顔にすべてが出ているようで、心をさっそく読まれている

「あんらぁ~朝のブラッシングをしたらお昼ご飯だよ」

何を隠そうもう昼ちょっと前だ!とっても沢山寝れて元気です!ありがとうございます!

お庭に出るとフローラがのんびりとくつろいでいる。

「フローラおはよう、今からブラッシングするよ」

うなずくフローラでもちょっと待てよ?

あれ?これから私がずーっとブラッシングするの?え?もうちょっと刺繍に対して抵抗したいんだけど、もう無意味なの?人生諦めも肝心だけど、諦めていいの?どうする?逃げるなら今かな?うーん、フローラのすべてを教えてもらってから、逃げるか考えよう。

もやもやした気持ちでブラッシングをする私。嫌そうな顔をしているフローラ。そうだ背中に不動明王を背負う勢いでブラッシングしなきゃいけないんだった。心に迷いがあったまま中途半端にブラッシングしてごめんね、こんな気持ちじゃフローラにも伝わっちゃうよね、その前に全部心読まれてる気もするんだけど。

ずいっと身体を寄せてくるフローラ。これは、遠慮なくやれ、ちゃんとやれ、という思いを寄せてくれたのだろう。ありがとう、おもいっきりブラッシングして最高にきれいにするね!

気合を入れなおして、ブラッシングを一心不乱にやり始めた。ブラッシングをすればするほど、毛の通りが良くなり、つっかえることも無くなってくる。一通りさらさらになったから今日はこれで終了。こころなしか、毛がくりくりからくるんくるんになってる気がする、これがブラッシングの効果か。

今世の私の髪の毛はくるくるな感じのカーリーヘアーで、毎日髪の毛を洗うことは辞めている、1週間に1回だけ髪の毛は洗ってる、そうじゃないと美しいカールを毎日出すのに、ものすごい時間と手間がかかるからだ。

前世のようにカーリーヘアーにつけるスタイリング剤などこの世界には無いので、なおさらだ。カーリーヘアーのお悩み。こちらの世界はシャワーがメインでお風呂につかるということはあまりしない、むしろお風呂は洗濯するための大きな桶みたいな感じ、だから私のように桶につかると信じられないと言う顔をされる。

母親には泣かれたし、父親はなんとか私を説得して桶にお湯を貯めて身体を洗わない様にと何度も言われたけど、私は桶に入ることを止めなかった。

親はそのうち諦めて、外では絶対に見られるなときつく言われている。なので、宿にお風呂があると言ったのは嘘というか、あれは洗濯を洗うための大きな桶と言う感じになる。

もちろん入る前にはとってもきれいに掃除したよ?

アウローラさんに終わったことを告げ、お昼を頂く。本日のお昼は
やさいたっぷり豆スープにふっくらパンだ

アウローラさんが毎日1つだけ質問に答えてあげるって言ってくれたので、何を聞こうか迷う。この質問はいつまで続けられるのかも気になるけど、とりあえず昨日知りたいなと思ったことから、今日は聞いてみよう。何を聴くかまよったけど、まずはこれでしょ?

「アウローラさん、今日の質問は 『今何歳なんですか?』」

「却下」

えぇ・・・・・なんでも答えてくれるって言ったのにいきなりダメって・・・

「・・・・・・・・・え?」

「あんらぁ~今日の質問はこれで終わりだねぇ~」

「え!?待って下さい!質問に答えてもらって無いので、もう一つ質問しちゃだめですか?」

「あんらぁ~この世にはね、質問していいことと悪いことがあるんだよ、サラさんはねその禁忌をやぶったの、わかる?」

すっごい笑顔だけど、目が笑ってない。怖いよ!

「すすすすす、すみません!申し訳ございません!」

「あんらぁ~わかればいいのよ、午後にもう1回フローラの毛をブラッシングしときなさいね、それ以外は自由にしてていいよ」

「アウローラさん、この近くに町などあるんですか?」

「あると言えばあるし、無いと言えば無いよ」

なぞなぞかな?

「どおゆう意味ですか?」

「あんらぁ~最後の方に町の場所は教えてあげるよ、だから今は知ることをやめなさいね」

知ろうとしたら殺られるかもしれない・・・という鋭いまなざしが飛んできたので、私は黙る。もうちょっとこの世界を満喫してから死にたいので・・・

どうしよっかなー、この辺を散歩して何か探索してみようかな?

「フローラ一緒に散歩しよ」

「めぇ!」

フローラに乗りたいけど、せっかくのブラッシングが無に帰すので歩かなくてはいけない、ものぐさな私にはゆっくり歩くぐらいがちょうどいい。

フローラがこっちこっちと、後ろを歩いている私のことをチラチラみながら前の方を歩く、それについて行く私。

テイマーだというだけで、動物たちと仲良くやってるつもりでいたし、私がマスターだと思って居たけど、こうやって過ごしてみると、フローラとの出会いも、ここに連れてこられたのも、フローラの背中に乗ってるスライムも、ぜーーーんぶ動物たちに仕組まれた出来事なきがしてくる。

それはつまり、私の方が使われてるってことなのでは?私の方が利用されてるってことなのでは?と、歩きながらぼえぇーっと考えていたら、突如目の前にとてもきれいな湖が見えた。

うおおおおおおお水だ!湖だ!海じゃないけど!これは泳げるのでは!ひゃほぉぉぉーーーーーーー!と何も考えずにさっそく飛び込もうとするとフローラに襟首くわえられてぽーーーいと吹っ飛ばされる。

ごろごろごろごろと転がって行ってようやく止まった・・・痛いよ・・・身体が凄く痛いし、何よりも心が痛いよ・・・

「フローラ酷い!なんで飛ばすの!湖だよ!そこに湖があったら入るでしょ!水浴びするでしょ!わーーーいってやるでしょ!しかも今は夏だよ!夏なんだから水遊び全力でしないと!もったいないよ!私は湖に入りたい!!!」

物凄い勢いで引いているフローラ、そして呆れた風のスライム。みんなして!私の夏の楽しみを理解してくれない!こうなったら無理やりにでも湖にはいる!せめて足先だけでもポチャって入りたい!絶対はいるからね!

戦いだ!今後の主従関係も含めて、わからせないといけない!

鼻息も荒く、もう一度入ろうとすると、おもむろにフローラが石を咥えて湖に投げ入れる。

なるほど?まずは石をどっちが遠くに飛ばせるかという遊びをしたいってことかな?それなら早くいってよーやるよ!やるやる。石が水面のうえをてーんてーんてーんっていく奴、やれたこと無いけど凄いよね。フローラにお披露目してびっくりさせよう、そしてこんなすごいことが出来るのか!私のマスターは!と尊敬してもらいたい。

よし、どっちが遠くまで飛ばせるかやるぞ!と石を集め、フローラの前に置く。なんとも言えない顔をしているフローラ。ん?何か違うの?

スライムはのりのりで石を掴んで?取り込んで?消化することなく、みょいーんと手のような物を伸ばして、石を投げ入れる。

お?スライムもやる?そうかそうか、夏を楽しまないとね!

水面にはスライムが投げた石の波紋が広がっている、でも変だな?ずーっと波紋が発生しているよ?なんでかな?
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