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第1章 

夜の散歩

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まだ真っ暗な時間ではないし、少しぐらいなら一人歩きしても大丈夫だと思う。それに昼間に頂いたご飯が美味しかったから、場所をちゃんと把握しときたいなって。ふらふら歩いててなんとなーく見つけただけだし、広場に行くとに迷子になって方向感覚が上手くはたからず、はっきりと場所を覚えていない。明日になったらもっと場所がわからなくなるから、今のうちに探しておきたい。

毎日いかにぐーたらして過ごすかに重点を置いて生きているけど、食に関しては積極的に生きていきたいと思ってる。だから私は今から夜の王都を歩く、夜道は危険とかそんなことは言っていられない。あの良い匂いが忘れられない。

でもおかしい・・・すぐに見つけられると思ったけど・・・だいぶ時間が経ってる・・・これはもしかしてもしかすると迷子ってやつ?

あっれぇー?なんだか昼間のデジャヴを感じるなぁ?もしかして今日はたどり着けないのかなぁ、完全に暗くなってしまったから一人歩きは危なさそう。

テイムしたハトを護衛代わりに呼んでみたんだけど、暗いからダメって言われちゃった。昼間一生懸命働いてくれたしね、足元に一杯虫置いてくれたし、夜は目が見えないだろからね。

夜目の利く護衛をテイムすることを少し考えてみよう、強盗は少ないんだけど、変態は多いからね。

急ぎ足で部屋に戻ろうとしていたら、目の前に立ちはだかる大きな影、その影がだんだんと近づいてくる・・・あーやっちゃったかーそりゃもう暗いもんねぇ・・・大丈夫だよねたぶん絡まれないよね?という思いもむなしく声をかけられる。

「こんな時間に一人歩きとは度胸があるのか馬鹿なのか」

「う・・・うるさいですよ!」

「変な人じゃなくてよかったでしょう?」

「そりゃぁ安心したけども、説教はされたくないです」

「これは説教ではないです、心配してるだけなので」

「と、とにかく!もう部屋に帰りますから!大丈夫ですので!」

「部屋にまで送りましょう」

「ありがとうございます・・・」

知り合いで良かったと思いつつも、この人変な人なんだよなー危害があるわけでもなし、夜道は少し安心できるうけど、違う意味で気が抜けない人なんだよね。

「ところで?今日はなぜこの時間に出歩いてるんですか?仕事は見つかったんですか?住む部屋は見つかったんですか?まだ見つからないようでしたら私の家に来ませんか?」

お母さんみたいに色々聞いてくる、この場合お父さんか?それにさらっと家に連れ込もうとしている危険だ。

「今日は、昼間に美味しそうな匂いがするご飯屋さんを見つけたんですけど、場所がいまいちわかってなかったので、探しに来たんだけど見つからなかったのと、住む部屋も仕事も見つかっても居ませんし、ましてやレオ様のお家に引っ越すなんてもってのほかです」

突然ふらーっと現れた人物は、私の容姿が好きみたいで、モデルになってくれと、王都に来てから何度も頼まれてて、仕事が無くなってからお金も必要だし、1回だけモデルをしたら、同じポーズでものすごく疲れたのと、レオ様ずーーーっと見てるだけで一切手を動かしてなかったから、気持ち悪いなと思ってそれ以来モデルを頼まれてもお断りしている。

「ふ~~~ん?そんなにいい匂いがしたんですか?」

「そうなんです、そこで働ければ賄いが食べられると思ったんですけど、だめでした」

住んでる部屋だって教えてないのにいつの間にか当たり前のように知ってるし、何もかも怪しい。身なりや所作を見てる限り貴族様なんだろうけど、詳しいことは解ってないし聞いても無い。聞かない方が幸せだよと、直感的なものが囁いている。

「ふ~~~ん、そうですか、私もその食堂に行って見たいですね」

相変わらず何考えてるかわからない、得体のしれない人だなというのが私の感想。

レオ様からすると私はミューズらしく、初対面で跪かれて手の甲に口づけをされてしまった、これは貴族の間では崇拝・尊敬・敬拝などいろいろな意味が含まれているらしく、それを受けてしまうと、私は貴方の想いを受け入れますって意味になってしまうらしい。

もちろん、そんなことを知らない平民の私は、するっと手を取られて手の甲にあっというまに口づけをされて、受けてしまったわけなんだけども・・・貴族じゃないからそんなことわかるわけもない。

レオ様のおそばにいた人が、憐憫を含んだ顔をして教えてくれたんだけど、レオ様がやらかす前に行動を止めてほしかった。

手の甲口づけ以来こうやってフラーっとレオ様は現れて私の側に居たりいなかったりする。不思議な変態だ。

というかこの人ただのストーカーだね?
こっちの世界にはストーカーと言う言葉は無いけど、私のこと全部解ってるところからして気持ちわるい・・・監視されてるのかな?お貴族様なら影が居たりして監視させることもできそうだよね。前世でそのような本を読んだことあるけど、現実と物語は違うし、その辺この世界はどうなってるんだろう?

沢山お話をするわけでもなく、モデルになってほしい、嫌ですという会話ばかりを繰り返して、あっというまに部屋にたどり着いた。

あー家欲しいなぁ、部屋じゃなくて一軒家欲しい。ちょっとしたガーデニングなんかもできてさ、1年中お花が咲き乱れてるような庭で、昼は優雅にティータイムでクッキーつまんで、あとはゴロゴ・・・優雅に1日中過ごして、好きな動物眺めたり、お庭に来る鳥さんにご飯あげたりしする、スローライフを送りたい。前世からの夢なんだよね、そんな生活が。ぐーたらな性格もきっと魂に刻み込まれているんだろう。

「庭つき一軒家に住みたいと思って居るなら家を用意できますよ、少し郊外がよさそうですね、ここまで歩いてこれる距離で、小さな小川が近くに通っててもいいですね、水辺があれば鳥や動物たちが寄ってくるでしょうし、その代わりに私は好きなようにあなたの家に出入り出来て、モデルになってくれれば申し分ないのですが、もちろん指一本ふれませんとお約束します。」

え!?気持ち悪い!?私の心を勝手に覗かないで欲しい!

「私は心は読めませんよ」

それを読んで無いと言わずになんと言う!?この世の中に人の心を読むスキルってあったっけ?

「人の心を読むスキルは無いです、ただ私はサラさんのことを観察しすぎて、すべて思考が解ってしまうんですよね」

少しハニカミながら耳を赤くしてうつむくレオ様

こ・・・怖すぎる・・・観察って・・・見られてる?何もかも!?この人千里眼スキル持ってそう、ずーっと私の事見てるんじゃないの?怖いわ!怖すぎる!ずーっと監視されてる?

部屋に入ってからすぐカーテンをシャっと閉め、少しでもレオ様から遠い都市に引っ越そうと決心をした。


とりあえず寝よう 
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