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学校へ行こう
一体? 誰の影だ……。
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玄関を開けたのは、……向井さんだった。
おばさんじゃなくて、当のおじさんの方の…?!
「やあ、影洋くん。学校どうしたんだい?」
「うぎっ…??」
「あれ? そんなに汗を掻いて大丈夫かい? 家で麦茶でも飲む? それと、光ちゃんが駅の方へ急いで走って行ったよ。学校で何かあったのかい?」
「いえ……俺、今から学校行かないと! それでは! 失礼しました!」
自分でもマヌケなのはわかっている。
けど、決して、バカじゃない。
けれども、もっとマヌケな目にあっている。
俺のカンが正しければ……。
内通者が確実にいて、そいつは……。
内通者は、この街だ。
そう、ここ虎倉街だ……。
多分、街中の防犯カメラで俺たちの行動を全て監視していたんだ。
ここ最近の出来事で誰にも知られずに、ここぞとばかりに邪魔が入っているんだし。なんとなくの感だけど、この街の防犯カメラを観ている奴か奴らが犯人だ。
俺は自分の感を信じて、光を探した。
俺をここまでおびきよせて、一体?
妹とバラけさせるため?
いや、違うな。
俺の家から妹が走った方角は、駅だ。
そして、わざわざ向井さんが俺に知らせてくれることも、当然そいつは知っているはずだ。
駅はここから西の心影山の方角の逆だ。
杉崎がバイトしていたホームセンターの脇辺りにある。
家から東の方へ行くと、家屋の間に挟まっているようなこじんまりとしたホームセンターが現れ、そこを通り過ぎると、脇に人気のない駅がある。虎倉駅だ。
いずれは妹に追いつけられるはずなんだ……。
雨が強くなった気がした。走るのを止めて駅に向かって歩いていると……駅前のパン屋の外で雨に濡れながらパンを頬張っている我が妹がいた……。
「ほひいちゃん!? あれ? なんで?」
「良かったー! 我が妹よ!!」
「??? ほひいちゃん? なんで駅構外にいるの? ほひいちゃんの影が、駅構内のどこかにほひいちゃんを攫ったから絶対一人で来いって……」
「うぎっ??」
俺の影は確かに、さっき影斬りの刃で地面に落としたんだ。なのに…何故?!
ていうか、誰だ!
そいつ!
多分、俺の影じゃない!
カンがそう叫んでいる!
一体、誰の……影なんだ?!
虎倉駅の改札口から一人の影が歩いて来た。
まったく隙のない動きだった。影は俺の傍まで歩いてくると、スッと構えた。
その構えはまぎれもない心影流だった。
だが、誰の影かわからない!
そこで、俺は様子をうかがうことにした。
「あんた誰だ?! 何故、ここに俺たちを呼んだ……?!」
「……」
影は無言だった。
が……?!
影がそのまま上段回し蹴りを素早く打ってきた。
俺は間一髪で躱した。
「心影流は二つといらない……俺だけでいいんだ……」
影が一言漏らした。
一度も聞いたことがない声だった……。
おばさんじゃなくて、当のおじさんの方の…?!
「やあ、影洋くん。学校どうしたんだい?」
「うぎっ…??」
「あれ? そんなに汗を掻いて大丈夫かい? 家で麦茶でも飲む? それと、光ちゃんが駅の方へ急いで走って行ったよ。学校で何かあったのかい?」
「いえ……俺、今から学校行かないと! それでは! 失礼しました!」
自分でもマヌケなのはわかっている。
けど、決して、バカじゃない。
けれども、もっとマヌケな目にあっている。
俺のカンが正しければ……。
内通者が確実にいて、そいつは……。
内通者は、この街だ。
そう、ここ虎倉街だ……。
多分、街中の防犯カメラで俺たちの行動を全て監視していたんだ。
ここ最近の出来事で誰にも知られずに、ここぞとばかりに邪魔が入っているんだし。なんとなくの感だけど、この街の防犯カメラを観ている奴か奴らが犯人だ。
俺は自分の感を信じて、光を探した。
俺をここまでおびきよせて、一体?
妹とバラけさせるため?
いや、違うな。
俺の家から妹が走った方角は、駅だ。
そして、わざわざ向井さんが俺に知らせてくれることも、当然そいつは知っているはずだ。
駅はここから西の心影山の方角の逆だ。
杉崎がバイトしていたホームセンターの脇辺りにある。
家から東の方へ行くと、家屋の間に挟まっているようなこじんまりとしたホームセンターが現れ、そこを通り過ぎると、脇に人気のない駅がある。虎倉駅だ。
いずれは妹に追いつけられるはずなんだ……。
雨が強くなった気がした。走るのを止めて駅に向かって歩いていると……駅前のパン屋の外で雨に濡れながらパンを頬張っている我が妹がいた……。
「ほひいちゃん!? あれ? なんで?」
「良かったー! 我が妹よ!!」
「??? ほひいちゃん? なんで駅構外にいるの? ほひいちゃんの影が、駅構内のどこかにほひいちゃんを攫ったから絶対一人で来いって……」
「うぎっ??」
俺の影は確かに、さっき影斬りの刃で地面に落としたんだ。なのに…何故?!
ていうか、誰だ!
そいつ!
多分、俺の影じゃない!
カンがそう叫んでいる!
一体、誰の……影なんだ?!
虎倉駅の改札口から一人の影が歩いて来た。
まったく隙のない動きだった。影は俺の傍まで歩いてくると、スッと構えた。
その構えはまぎれもない心影流だった。
だが、誰の影かわからない!
そこで、俺は様子をうかがうことにした。
「あんた誰だ?! 何故、ここに俺たちを呼んだ……?!」
「……」
影は無言だった。
が……?!
影がそのまま上段回し蹴りを素早く打ってきた。
俺は間一髪で躱した。
「心影流は二つといらない……俺だけでいいんだ……」
影が一言漏らした。
一度も聞いたことがない声だった……。
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