虎倉街の天気予報 春のち地震で世界に均衡を

主道 学

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影の王国へ行こう

影斬りの刃の使い方

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 桜の花弁を踏み締めながら道路を歩いていると、真っ黒なバイクに乗った影の集団に遭遇した。真っ暗な空間にライトも点けずに佇むその大きなバイクの群れに、俺の影はいなかった。
 
「し、刺客?」
 我が妹が警戒をする。

 うーん。もうちょっとなのになあ。
 黒い家は後、二、三分で辿り着くのになあ。

「はあ~~」

 俺はため息をついて心影流の構えをした。
 妹の光も構えたが、どこか少しだけ俺の型とは違っていた。

 ブオオオオ――――ンン!!
 ブオオオオーー!!
 ブオオーー!!

 と、辺りの満開の桜が飛び散るほどの爆音を発し、無数のバイクが突進してきた。徐々に迫り来る影のバイクの脅威に……。

 俺と妹は飛んだ!

 バイクに跨る影の顎に正確に飛び膝蹴りを繰り出した。
 そのまま着地をすると、今度は両脇から来る影のバイクに飛翔する。

「ウラ――!」
「トォーーー!」

 我が妹との息は絶妙過ぎる!
 同時に肘打ちで二つの影をぶっ飛ばすと、一目散に黒い家に飛び込んだ。そうだ。元々、逃げ腰だったんだ!
 こうなりゃ、なりふり構ってられない。

「光! 右の部屋の床の階段だ!!」
「ほい! おにいちゃん!」

 そのまま右の部屋へ雪崩れ込むと階下へ降りる。
 道路を埋め尽くす大型バイクの爆音は耳鳴りがするほどだった。

 よし!
 教会の外へ出るぞ!

「あれ? おにいちゃん? 降りたのに上がった?」
「……気にするな。我が妹よ」
「ほい!!」

 教会の扉を開けると、そこには俺の影が大勢の影の仲間を連れて待ち伏せをしていた……。
 
 まただ!!
 この教会がすでに囲まれていた!!

 ……内・通・者?

「ほひ? おにいちゃんが二人!?」
「光よ! お前は教会の中か、俺の後ろで、じっとしてろ!」

 俺は背後から杉崎、恵さん、そして公平の影を出現させた。
 思った通りだった。
 杉崎の影はレスラー風の体格。恵さんは竹刀か刀を構えた影、公平は空手の構えをする影だった。
 
「よっしゃー、このまま邪魔する者は排除して俺の家まで突っ走ってやるーーーぞ!!」
「ほい!」
「……」

 我が妹の上段回し蹴りが迫り来る影にぶち当たった。
 敵の影がぶっ倒れた。

「……あの、妹さん……さっき、後ろに居てって確かに言ったよね……」
「おにいちゃん! 私も戦うよ!」
 
 我が妹は駆け出した。
 その方角だけは言った通りの俺の家。
 次から次へと襲ってくる影を薙ぎ倒していくというのは、言った覚えはない!

「ウラ―――!!」
 
 公平の影と俺の回し蹴りが敵の影の側面を抉った。
 恵さんの影が、それは木刀だった。は、影を一刀両断して昏倒させた。
 杉崎の影が派手なバックドロップを決める。
 
 一通り敵の影を倒すと、俺の影が真っ正面で心影流を構えていた。
 このまま突っ切ろうと思ったのだが、俺の影はなんとしても俺たちの邪魔をしたいのだろう。
 
 心影流は最強の守りの技だ。
 このまま近づくのは危ない。

 そうだ!
 影斬りの刃!
 でも、どうやって使うんだ??
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