上 下
15 / 30
心影山へ行こう

地震や大傘の逆って??

しおりを挟む
 ふう、杉崎を背負っているからかかなり疲れたぜ!

「おかえりなさいませー」
「おかえりなさいませ!」
「恵お嬢様は二階にいらしております。影洋さまと光さま。ご夕食は8時になります。公平さまはいつもの物置でよろしいでしょうか?」

 出迎えの使用人たちが一斉に頭を下げる。
 いつも思うんだけど、どこら辺から俺たちに気が付くんだろう?

「ああー、疲れたーーー!!」 
「おにいちゃん! 杉崎さんが起き出しそう! 早く二階へ!」
「ありがとなー! 物置の整理頼んだ!」

 公平が地下へと向かうと、俺は骨董品が多く飾られた二階の踊り場まで杉崎を背負って階段を上がる。すると、杉崎が急に目覚めたようだ。

「あれ? 私の家? ここって?」
「うんにゃ! ここは恵さんの屋敷だ。お前、気を失ったからここまで背負ってきたんだぜ。なにせ、お前ん家がわからなかったからなあ。さすがに少し疲れたぜー」
「おにいちゃんー。二階へ早く行こうよー。登山道具一式が重いよー」
「了解! 光は登山道具一式をそこへ置いて先に行っていてくれ! 後で持ってってやる!」
「え、ちょっと!? 私を負ぶったまま!?」

 俺は杉崎を背負ったまま登山道具一式を片手に持ち、二階の貸してもらっている自分たちの部屋へと向かった。
 そういえば、おじいちゃんとおばあちゃんの部屋って? 一体? どこ?

 うぎっ! 扉を開けると、案の定。おじいちゃんとおばあちゃんが湯飲み片手にテレビを観ていた……。

 虎倉街はいつの間にか夜だが朝になっていたようで、テレビには、あの時の小春という気象予報士がでている天気予報だった。

「今日はここ比水公園にいますよー。うーん、空模様からして時々、大傘ですねー。最低気温は5℃で最高気温は10℃です。湿度は……。皆さんそういうことで頭上に注意してヘルメットを忘れずにしてくださいねー。後は……最近……影との……バランスが、時々崩れかかっていま……ので、世界に均衡を心がけましょう……」

 今度は小春という気象予報士は、比水公園の噴水のところで一人で喋っている。
 うぎっ!
 大傘だって!?
 そして、なんだか不気味だぞ!?
 
「今週は天気は不安定な地面に覆われていますね。ということで、換気を良くすると過ごしやすくなりますねー。以上、天気予報でした。では、また!」

「小春さん。ありがとうございました。それでは皆さん今日は大傘と影の活動に注意しましょう。次は経済です」

 ニュースキャスターの人も大真面目に話している。

 はあ?
 不安定な地面!?
 おかしいだろ?

「ふーん。今日は地震と影の活動が活発ねー。大変そうねー」

 なん??
 杉崎も普通に言ってるし。

「おにいちゃん。今日はヘルメットを被っていようよ」

 うぎっ!
 わ、我が妹までーーー!! 

 今日はヘルメットを恵さんから借りよう……。
 
 徹夜明けなので、杉崎は恵さんの屋敷で泊まることになった。俺も一眠りすることしにした。
 
 おじいちゃんもおばあちゃんもこれが影の世界では普通の事だと言っていた。
 でも、やっぱりおかしいだろ?
 そういえば、表の世界では、いや、影の王国ではどうなってるんだ?
 
 地震や大傘の逆って? 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

感染した世界で~Second of Life's~

霧雨羽加賀
ホラー
世界は半ば終わりをつげ、希望という言葉がこの世からなくなりつつある世界で、いまだ希望を持ち続け戦っている人間たちがいた。 物資は底をつき、感染者のはびこる世の中、しかし抵抗はやめない。 それの彼、彼女らによる、感染した世界で~終わりの始まり~から一年がたった物語......

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

これ友達から聞いた話なんだけど──

家紋武範
ホラー
 オムニバスホラー短編集です。ゾッとする話、意味怖、人怖などの詰め合わせ。  読みやすいように千文字以下を目指しておりますが、たまに長いのがあるかもしれません。  (*^^*)  タイトルは雰囲気です。誰かから聞いた話ではありません。私の作ったフィクションとなってます。たまにファンタジーものや、中世ものもあります。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

処理中です...