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心影流
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「俺の影―――! どこ行ったーーーー!!」
あ、そういえば、おじいちゃんとおばあちゃんはどうしたのだろう?
うぎっ! まさかこの影の世界では隠居生活するために田舎に行ったのではなくて、影に殺されてしまったっていうのか?
ますます、影を追う俺の足に力がみなぎる。
「待て―――!!」
それに、実家が消えたのは?
わからないところが多いな?
誰か頼むから教えてくれ!
いや!
「教えて下さい女神さま! 今、俺は混乱しています!!」
その途端、目の前に女神が現れた。
その神々しい光は、住宅街の全ての暗闇を退けた。女神はこちらに寄って来ると俺の右手をそっと握った。
「あなたは今、混乱していますね。具合もわるそうです。でも、次第に治りますよ。私が保証します。影はあそこです。さあ、行って!! 戦いの時です!!」
「あざます!! 女神さま!!」
俺は全速力で影を追い詰めた。
ここは丁度、住宅街のT字路の左方向の行き止まりだ。
影の後ろには空き巣が並ぶ。
もともと、そこは表の世界でも空き巣だったんだ。
「ふん!」
俺の影は鼻で笑うと、構えた。
武術で勝負しようとしているんだ。
「はん!!」
勿論、俺も構えた。今まで誰にも使ってはいけないといわれている武術。おばあちゃんから直伝された。その名も心影流だ。
「ほら! 来い!」
影が吼えた。
武術の型は、……心影流?
俺と同じだった……。
「そらっ!」
影が左腕を少し後ろに引くと、すぐさま素早い貫き手が俺の腹から少し上で胸の下。その中央を正確に狙ってきた。そう、みぞうちだ。そこも人体で鍛えられない弱点だ。俺と影が使う心影流は、超接近戦用の相手に致命傷だけを残す技だった。
声も俺と同じ。
型も同じ。
俺は戸惑ったが、寸でのところで躱した。
次は俺の番だ!
貫き手を躱された影の出足を左足で払って、前のめりになった影の頭部に側頭頭突きをお見舞いした。
決まった!!
心影流は、守りの技だ!
最初に仕掛けた方が分が悪いんだ。
影は頭を片手で抑えて派手によろけた。
よっしゃーー!!
うぎっ?!
影はダメージがないのか一目散に後ろを向いて走り出した。
「な、何故……?」
「おにいちゃーーん! 大丈夫?」
妹がここ住宅街のT字路まで走って来た。
「うーん、……ノーダメージ? 脳震盪《のうしんとう》もない……の」
「何が?」
その時、俺の頭に何かが直撃した。
「痛て?!」
上を向くと、案の定……無数の傘が空から降って来ていた。
「光。ヘルメットだ!」
「ほい!」
俺と光はヘルメットを被って、元来たところの会館へと慌てて引き返す。
妹の身体に当たりそうな傘を素手や体当たりで弾いて走っていると、傘が大振りになりだした……。
「痛ってーーーーー!! なんだってんだーーー!!」
素手、頭突き、足蹴りなどで傘を打ちながら叫ぶ。
町民は皆、ヘルメットを被って会館の屋根のある場所へ避難していた。
「おーい! 早くこっちへ!」
見ると、最初この影の世界で地震があった時に、俺たちが避難を勧めた。住宅街のおじさんと裕子というおばさんがこっちへ来いと手を振っていた。
「ありがとうございます! 痛ってーーー!!」
「ありがとうございます! おにいちゃーーん! 大丈夫ーーーー!!」
俺と光は傘の降る広場を全速力で突っ走った。
ようやく会館の屋根の下へと入ると、バサバサと傘が空から降っている音がした。この影の世界って? ああー痛かった! 常識が変だぞ? いや、あ! そうか! 多分、表の世界と常識が逆なのかも知れない。だけど……これじゃあ……。
明日、何が表の世界と逆になっているのか調べてみよう!
あ、そういえば、おじいちゃんとおばあちゃんはどうしたのだろう?
うぎっ! まさかこの影の世界では隠居生活するために田舎に行ったのではなくて、影に殺されてしまったっていうのか?
ますます、影を追う俺の足に力がみなぎる。
「待て―――!!」
それに、実家が消えたのは?
わからないところが多いな?
誰か頼むから教えてくれ!
いや!
「教えて下さい女神さま! 今、俺は混乱しています!!」
その途端、目の前に女神が現れた。
その神々しい光は、住宅街の全ての暗闇を退けた。女神はこちらに寄って来ると俺の右手をそっと握った。
「あなたは今、混乱していますね。具合もわるそうです。でも、次第に治りますよ。私が保証します。影はあそこです。さあ、行って!! 戦いの時です!!」
「あざます!! 女神さま!!」
俺は全速力で影を追い詰めた。
ここは丁度、住宅街のT字路の左方向の行き止まりだ。
影の後ろには空き巣が並ぶ。
もともと、そこは表の世界でも空き巣だったんだ。
「ふん!」
俺の影は鼻で笑うと、構えた。
武術で勝負しようとしているんだ。
「はん!!」
勿論、俺も構えた。今まで誰にも使ってはいけないといわれている武術。おばあちゃんから直伝された。その名も心影流だ。
「ほら! 来い!」
影が吼えた。
武術の型は、……心影流?
俺と同じだった……。
「そらっ!」
影が左腕を少し後ろに引くと、すぐさま素早い貫き手が俺の腹から少し上で胸の下。その中央を正確に狙ってきた。そう、みぞうちだ。そこも人体で鍛えられない弱点だ。俺と影が使う心影流は、超接近戦用の相手に致命傷だけを残す技だった。
声も俺と同じ。
型も同じ。
俺は戸惑ったが、寸でのところで躱した。
次は俺の番だ!
貫き手を躱された影の出足を左足で払って、前のめりになった影の頭部に側頭頭突きをお見舞いした。
決まった!!
心影流は、守りの技だ!
最初に仕掛けた方が分が悪いんだ。
影は頭を片手で抑えて派手によろけた。
よっしゃーー!!
うぎっ?!
影はダメージがないのか一目散に後ろを向いて走り出した。
「な、何故……?」
「おにいちゃーーん! 大丈夫?」
妹がここ住宅街のT字路まで走って来た。
「うーん、……ノーダメージ? 脳震盪《のうしんとう》もない……の」
「何が?」
その時、俺の頭に何かが直撃した。
「痛て?!」
上を向くと、案の定……無数の傘が空から降って来ていた。
「光。ヘルメットだ!」
「ほい!」
俺と光はヘルメットを被って、元来たところの会館へと慌てて引き返す。
妹の身体に当たりそうな傘を素手や体当たりで弾いて走っていると、傘が大振りになりだした……。
「痛ってーーーーー!! なんだってんだーーー!!」
素手、頭突き、足蹴りなどで傘を打ちながら叫ぶ。
町民は皆、ヘルメットを被って会館の屋根のある場所へ避難していた。
「おーい! 早くこっちへ!」
見ると、最初この影の世界で地震があった時に、俺たちが避難を勧めた。住宅街のおじさんと裕子というおばさんがこっちへ来いと手を振っていた。
「ありがとうございます! 痛ってーーー!!」
「ありがとうございます! おにいちゃーーん! 大丈夫ーーーー!!」
俺と光は傘の降る広場を全速力で突っ走った。
ようやく会館の屋根の下へと入ると、バサバサと傘が空から降っている音がした。この影の世界って? ああー痛かった! 常識が変だぞ? いや、あ! そうか! 多分、表の世界と常識が逆なのかも知れない。だけど……これじゃあ……。
明日、何が表の世界と逆になっているのか調べてみよう!
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