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近所を見に行こう
変化!?
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「おにいちゃん……学校は? 家は? ご飯はーーー!」
「わかった! 光よ! 今日は学校へ泊ろう! さあ、今から登校だ!」
「今から行っても、完全に遅刻よーー! おにいちゃん! それにお風呂はーーー!!」
俺と光は書統高校まで走ろうとする……が?
その時、近所の窓が幾つか割れる音が木霊した。
なんだか不吉な感じはするけれど、
「うん? まあ、今は学校へ行こう。今日の宿探しを優先しないと」
音だけで、近所はすぐにシンと静まり返った。
町民もやはり家の外へと一歩も出てこない。
俺たちの書統高校は、あったはずの自宅から走ると約30分。学校がどうなっているのか、かなり不安だった。
真っ暗な外灯もない夜道を通り、校門まで林道の登り坂を走っていると、クラスメイトの喜多野 公平が俺たちと同じく校門目指して突っ走っていた。ラッキー! こいつは、いつも遅刻ぎりぎりなんだよな!
って、ことはまだ間に合うじゃないか!
学校!
これで、先生に怒られなくて済む!
無人の昇降口をそそくさと通り、教室まで廊下を全速力で走っていると、光は高校二年生だから二階で別れた。
俺は三年C組の教室のドアを勢いよく開けた。
「ただいま!」
…………
俺たちよりも足の速い公平がポツンと教室の中央に立っていた。ポカンとしている顔だったが、次第に呆れ顔に変化した。
学校の先生は、教壇にいるにはいるんだが……席に着いているクラスのみんなは欠席が目立った。
さすがに、みんな遅刻というわけじゃないな。
うん。そうだろう。
いつも遅刻ギリギリ当番は公平だけと決まっていた。
先生も周りの生徒たちも夜中だというのに、普通に授業が始まった。みんなはどう思っているんだろう。この夜を……。友達の公平や鈴木、橋本も……。普通に授業を受けていた。
昼休みに公平に聞いていみることにした。
「はあ! なあ、お前。今日に始まったことじゃないだろ?!」
「え……?!」
「ほら、お前。いつも夜景が観える都会が好きなんだって、この前言ってだだろ。それと、屋台も大好きだから、夜のしんみりした祭りは最高だーーーって……今度、一緒に遊びに行こうって、言ってたじゃんか」
「ほえ?!」
「まあ、寝ぼけているのは、わかってるんだ。何たって、お前のおじいちゃんとおばあちゃんが……特にお前たちには良い人だったしな……あまり寝ていないんだろ?」
「うん?!」
おじいちゃんとおばあちゃんが……一体?
「そ、それも大事だが! お、お前! 話し言葉が変だぞ!」
「へ? お、俺? 変か?」
「ああ、その昨日までは不良のような話し言葉使って、俺はいつも怖くて少し引いていた! だが、今日は変だ!」
「そうか? いつもこんな感じだぞ」
「うんにゃ、なんていうか。丁寧な言葉を使っているんだよ。チーッスとかオラーとかも言わないし!」
そういえば、こいつは不良だった。
ただ、不良なくせに物知りだったから親しかったんだ。
けれど、今のこいつは丁寧なところがあって……あれ? 性格が真逆だぞ?!
「ふーん。まあ、後で明日のテストの傾向を教えてくれよ」
「うぎっ! それはお前の役だったろ!」
「え? お前の方こそ。今日はなんか話がかみ合わないな。……まあ、仕方がない。とりあえずは、テストの傾向な」
「……あ、ああ」
もしやと思って、他の知り合いの性格を調べるため色々と聞いて回ったが……皆、性格が真逆だった……。
こ・こ・が・影の世界だからか?
一番、ショックを受けたのは、同じクラスの学校一のマドンナの獅子野《ししや》 恵さんが、憧れていたおしとやかな性格ではなくて、品のない黒ギャルになっていたことだった……。
…… 放課後
「はあ~~。やってられない」
「どうした? さっきからため息ばかりついて?」
公平が心配してくれている。
俺は唯一の妹。光の帰りを待つために昇降口にいた。隣には真面目に変化した公平が「最近はここら辺も物騒だからさ」と気さくに一緒に待ってくれていた。
ため息の原因は二つある。
一つは学校での楽しみだった。恵さんの姿をもう見れなくなったこと、ちなみに俺は黒ギャル変化した恵さんは好きではない。
もう一つは、学校が泊めてくれない。
先生が困るからと追い出されてしまった。
「わかった! 光よ! 今日は学校へ泊ろう! さあ、今から登校だ!」
「今から行っても、完全に遅刻よーー! おにいちゃん! それにお風呂はーーー!!」
俺と光は書統高校まで走ろうとする……が?
その時、近所の窓が幾つか割れる音が木霊した。
なんだか不吉な感じはするけれど、
「うん? まあ、今は学校へ行こう。今日の宿探しを優先しないと」
音だけで、近所はすぐにシンと静まり返った。
町民もやはり家の外へと一歩も出てこない。
俺たちの書統高校は、あったはずの自宅から走ると約30分。学校がどうなっているのか、かなり不安だった。
真っ暗な外灯もない夜道を通り、校門まで林道の登り坂を走っていると、クラスメイトの喜多野 公平が俺たちと同じく校門目指して突っ走っていた。ラッキー! こいつは、いつも遅刻ぎりぎりなんだよな!
って、ことはまだ間に合うじゃないか!
学校!
これで、先生に怒られなくて済む!
無人の昇降口をそそくさと通り、教室まで廊下を全速力で走っていると、光は高校二年生だから二階で別れた。
俺は三年C組の教室のドアを勢いよく開けた。
「ただいま!」
…………
俺たちよりも足の速い公平がポツンと教室の中央に立っていた。ポカンとしている顔だったが、次第に呆れ顔に変化した。
学校の先生は、教壇にいるにはいるんだが……席に着いているクラスのみんなは欠席が目立った。
さすがに、みんな遅刻というわけじゃないな。
うん。そうだろう。
いつも遅刻ギリギリ当番は公平だけと決まっていた。
先生も周りの生徒たちも夜中だというのに、普通に授業が始まった。みんなはどう思っているんだろう。この夜を……。友達の公平や鈴木、橋本も……。普通に授業を受けていた。
昼休みに公平に聞いていみることにした。
「はあ! なあ、お前。今日に始まったことじゃないだろ?!」
「え……?!」
「ほら、お前。いつも夜景が観える都会が好きなんだって、この前言ってだだろ。それと、屋台も大好きだから、夜のしんみりした祭りは最高だーーーって……今度、一緒に遊びに行こうって、言ってたじゃんか」
「ほえ?!」
「まあ、寝ぼけているのは、わかってるんだ。何たって、お前のおじいちゃんとおばあちゃんが……特にお前たちには良い人だったしな……あまり寝ていないんだろ?」
「うん?!」
おじいちゃんとおばあちゃんが……一体?
「そ、それも大事だが! お、お前! 話し言葉が変だぞ!」
「へ? お、俺? 変か?」
「ああ、その昨日までは不良のような話し言葉使って、俺はいつも怖くて少し引いていた! だが、今日は変だ!」
「そうか? いつもこんな感じだぞ」
「うんにゃ、なんていうか。丁寧な言葉を使っているんだよ。チーッスとかオラーとかも言わないし!」
そういえば、こいつは不良だった。
ただ、不良なくせに物知りだったから親しかったんだ。
けれど、今のこいつは丁寧なところがあって……あれ? 性格が真逆だぞ?!
「ふーん。まあ、後で明日のテストの傾向を教えてくれよ」
「うぎっ! それはお前の役だったろ!」
「え? お前の方こそ。今日はなんか話がかみ合わないな。……まあ、仕方がない。とりあえずは、テストの傾向な」
「……あ、ああ」
もしやと思って、他の知り合いの性格を調べるため色々と聞いて回ったが……皆、性格が真逆だった……。
こ・こ・が・影の世界だからか?
一番、ショックを受けたのは、同じクラスの学校一のマドンナの獅子野《ししや》 恵さんが、憧れていたおしとやかな性格ではなくて、品のない黒ギャルになっていたことだった……。
…… 放課後
「はあ~~。やってられない」
「どうした? さっきからため息ばかりついて?」
公平が心配してくれている。
俺は唯一の妹。光の帰りを待つために昇降口にいた。隣には真面目に変化した公平が「最近はここら辺も物騒だからさ」と気さくに一緒に待ってくれていた。
ため息の原因は二つある。
一つは学校での楽しみだった。恵さんの姿をもう見れなくなったこと、ちなみに俺は黒ギャル変化した恵さんは好きではない。
もう一つは、学校が泊めてくれない。
先生が困るからと追い出されてしまった。
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