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天使の扉
28話
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ハリーおじさんのドアまで、さあ出発だ。途中、ロッテを誘って青いドアのグッテンを連れていかないと。
「ヨルダン。いや、リスヘル。さっきのこと考えろ。この館から出なければいけない」
雲助がコルジンとロッテと並んで歩いている僕の肩で踏ん張っている。
「どうして?」
「後で解るけれど、それじゃあ遅い」
「?」
「やあ」
青い色のドアを開けると、三人の学者の中にいるグッテンが挨拶をしてきた。
「今、館の端っこへ行く廊下の埃が、700年前からそのままだったことが解った。古文書に書かれていたんだよ。つまり、あの廊下は700年前から誰も通っていないんだよ!ヨルダン! つまりは私たちだけでの偉業の探索だったのさ!」
「あ、グッテン。ヨルダンはリスヘルになったの。ついさっき」
ロッテが小さい手を交えてさっきの説明をした。
「ほお。あのルージー夫妻の息子になったのか。それはよかった。とても優しい人たちだろう。リスヘル」
「うん。僕はこのおじいちゃんの館に一生いたいから、お義父さんとお義母さんの部屋で暮らすことにしたんだ」
「駄目だ駄目だ! ヨルダン。外へと出なければ」
雲助がまた解らないことを言う。
「あ、でもお義父さんとお義母さんが外へと出たいと言ったらどうしようか」
「まあ、その時はその時だ」
コルジンが明るく言った。
「グッテン。少し付き合ってくれ。ハリーのドアへと行きたいんだ。全員そろっていたほうがいいだろう」
「ああ。いいけど」
グッテンは古文書らしき本をヘルタンに渡し、のっそりと付いてきた。何か考え事をしているようだ。
ハリーおじさんの黒い両開きドアまで行くと、
「あのね。実は……」
僕は雲助の言った。原型館へ行って誰も帰って来てないという事実を話そうとしたら。
「そうか! おかしいと思ってたんだ! 原型館には強力な魔法が掛っていて、水玉のドアには蜘蛛の巣がいっぱいあった。誰かが通ったら蜘蛛の巣が破れるどころか、館の魔法で破れないはず……。つまり、誰も帰って来たものがいないということだ!」
グッテンはやっぱり賢い。この館で有名な学者なのが頷ける。そう僕には解らなかった。
「グッテン。その通りだ。原型館には行ったっきり帰ってくる者がいないんだ。ハリーに騙されたんだな」
雲助が言う。
「やっぱり……」
グッテンがハリーの狂気を見に染みたような表情をする。
「ハリーめ」
さすがのコルジンも怒った顔をした。
「ハリーおじさん。……こ……怖い人」
ロッテは悲しそうな顔をして俯いた。
「開けるよ」
僕は黒い暗黒の両開きドアを開けた。
「いらっしゃーい。よく戻って来たね。それも黄金の至宝まで持って来て」
ハリーおじさんは金色のスーツを着こなし、僕たちを招き入れた。僕の手の黄金の至宝を見つめる。
恐ろしく細い女がハリーの傍に立っている。
「ヨルダン。いや、リスヘル。さっきのこと考えろ。この館から出なければいけない」
雲助がコルジンとロッテと並んで歩いている僕の肩で踏ん張っている。
「どうして?」
「後で解るけれど、それじゃあ遅い」
「?」
「やあ」
青い色のドアを開けると、三人の学者の中にいるグッテンが挨拶をしてきた。
「今、館の端っこへ行く廊下の埃が、700年前からそのままだったことが解った。古文書に書かれていたんだよ。つまり、あの廊下は700年前から誰も通っていないんだよ!ヨルダン! つまりは私たちだけでの偉業の探索だったのさ!」
「あ、グッテン。ヨルダンはリスヘルになったの。ついさっき」
ロッテが小さい手を交えてさっきの説明をした。
「ほお。あのルージー夫妻の息子になったのか。それはよかった。とても優しい人たちだろう。リスヘル」
「うん。僕はこのおじいちゃんの館に一生いたいから、お義父さんとお義母さんの部屋で暮らすことにしたんだ」
「駄目だ駄目だ! ヨルダン。外へと出なければ」
雲助がまた解らないことを言う。
「あ、でもお義父さんとお義母さんが外へと出たいと言ったらどうしようか」
「まあ、その時はその時だ」
コルジンが明るく言った。
「グッテン。少し付き合ってくれ。ハリーのドアへと行きたいんだ。全員そろっていたほうがいいだろう」
「ああ。いいけど」
グッテンは古文書らしき本をヘルタンに渡し、のっそりと付いてきた。何か考え事をしているようだ。
ハリーおじさんの黒い両開きドアまで行くと、
「あのね。実は……」
僕は雲助の言った。原型館へ行って誰も帰って来てないという事実を話そうとしたら。
「そうか! おかしいと思ってたんだ! 原型館には強力な魔法が掛っていて、水玉のドアには蜘蛛の巣がいっぱいあった。誰かが通ったら蜘蛛の巣が破れるどころか、館の魔法で破れないはず……。つまり、誰も帰って来たものがいないということだ!」
グッテンはやっぱり賢い。この館で有名な学者なのが頷ける。そう僕には解らなかった。
「グッテン。その通りだ。原型館には行ったっきり帰ってくる者がいないんだ。ハリーに騙されたんだな」
雲助が言う。
「やっぱり……」
グッテンがハリーの狂気を見に染みたような表情をする。
「ハリーめ」
さすがのコルジンも怒った顔をした。
「ハリーおじさん。……こ……怖い人」
ロッテは悲しそうな顔をして俯いた。
「開けるよ」
僕は黒い暗黒の両開きドアを開けた。
「いらっしゃーい。よく戻って来たね。それも黄金の至宝まで持って来て」
ハリーおじさんは金色のスーツを着こなし、僕たちを招き入れた。僕の手の黄金の至宝を見つめる。
恐ろしく細い女がハリーの傍に立っている。
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