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南米
七番目の者
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カルダは声高らかに呪いの言葉を淡々と話しているが、とても精神が高揚している感がある。
ルゥーダーが槍を私に突き刺した。
…………
空が。闇夜の巨大な赤い月の空に、朝日の日差しを降り注ぐ、明るい空と太陽が東の方から押し寄せてきた。それは天空で境界線を生み出した。
「この男。死なない。いや、死んでいる!」
ルゥーダーが狼狽した。
私は拘束を力強く解き放つ。
空へと。
あの白い雲の朝と星空の夜の境界線のある空へと浮上する。
それと同時にウロボロスという名の蛇が目を覚まし、尾を飲み込み始めた。
「ルゥーダーよ、もう一度殺すのだ!」
カルダはルゥーダーの背中に何かの印を結ぶ。すると、ルゥーダーの背中に巨大な黒い翼が生えた。その姿はまるで黒い死の天使。
「おのれー! もう一度殺す! お前さえいなければ! 俺の母は俺を息子と……!」
ルゥーダーが槍を手放し私を追って羽ばたいた。
私は空中で迎え撃つ。
拳、蹴りなどをルゥーダーに打ち当て、ルーダーも雄々しく応戦するが、私はいきなり飛び蹴りを放つために遥か上空へと昇り、急降下した。
下ではディオや角田、そして渡部が上を向いて騒いでいる。黒い霧は……一体もいなかった。
飛び蹴りは見事。翼の生えたルゥーダーの腹にめり込む。
「う!」
ルゥーダーは吐血して、両手で私の脚を掴んだ。
そして、遥か下方の森へとジャイアントスイングをして、投げる。
私は鬱蒼と茂る森へと、ものすごいスピードで落下する。地面に激突。背中を地面にしたたかに打ち、こちらも血を嫌と言うほど吐いた。
けれど私は起き上がり、片手をルーダーを狙って前に突き出した。ルゥーダーは何とか上空でかわしたが肩が少し破裂した。
「もう一度! もう一度!」
ルゥーダーは苦痛で歪む顔をし、呪文のように同じ言葉を何度も繰り返す。
「俺は夢の世界では死ぬことはない!」
私は一喝し、
今度は渾身の力で両手をを突き出した。
こちらに向かって来たルゥーダーは翼を羽ばたかせ猛スピードで回避しようとする。
私はそれと同時に、飛び蹴りの態勢をしながら、ルゥーダー目掛けて空を飛んだ。
私の足はルゥーダーの腹に再度、直撃。吐血と同時に黒い翼がカルダの闇の力が無くなったかのように薄くなり出した。
ふらふらになったルゥーダー。
私は最後の力を振り絞り両手をルゥーダーへと突き出した。
不思議な力は、翼で防御しようとしたルゥーダーの巨大な翼に当たり片方がどこかへ吹っ飛んだ。
ルゥーダーは下方へと墜落した。
空は今では、眩しい朝日の光が闇夜に打ち勝っていた。天は、太陽の光が降り注ぐ大空へと変わる。
「後はカルダだな」
私はそう言うと、ボロボロのラクダ色のワイシャツを脱ぎ、遥か下方に目を向け、最後の南米の大地へと向かった。
地面に降り立つと、そこはカルダの村。広大だが村人が一人もいない。いるはずのカルダは、薄暗い洞窟の恐らく更に暗い奥の間だ。
私の勝利を見ていたようで、ディオたちや呉林姉妹たちが・・・みんな来た。
「すごい! すごい! ご主人様! ご主人様が心配で真理ちゃんたちと隠れて後を追って来たんです!」
安浦は私を見て、感動して泣きじゃくる。
「さすがに驚いたわ!」
霧画は堪らないといった感じに泣いていた。
「みんな。無事か……」
ディオは満身創痍だが緩んだ顔を真剣にして、みんなの無事を確認した。渡部と角田、そして、ディオは到るところに大きな怪我が目立つが。それでも、瀕死とまでは言えない。
「赤羽さん。いえ、七番目の者」
呉林が冷静な顔で私に近ずく、
「七番目の者って、こんなに凄いのか」
私は不思議と混乱しなかった。心は晴れ間のようにすっきりしている。
「そうよ、神秘的な太陽化する狂気的体験をあなたは今したのよ。つまり、あなたの意識は夢の世界から現実の世界の頂点にある、あの太陽と完全に一体化したのよ……」
呉林は次第に涙声となって私に言った。
「はは、そんなに凄いのか……」
私も泣きたい気分だ。本当にこんな私が世界を救ってしまった。
「そうじゃ。黒幕を何とかせんと。」
ディオはそういうと渋々、ピストルへぼろぼろの靴から取り出した弾丸を込めた。
「みんなで行きましょ!」
涙声を振り払うかのように、呉林は力強く言った。
「呉林……」
「なあに……あなた」
「いや、いい」
しばらく歩くと、カルダの村の森の更に奥、私が拘束されていた場所に着いた。
「これが、ウロボロスの大樹。いえ、ウロボロスの世界樹……」
呉林が静かに言った。みんな顎を上げる。
その木の高さは超高層ビルの高さだった。根の大蛇は人が何十人も丸ごと飲み込めるくらいの大きさ、それが目を覚まし自らの尾を飲み込んでいる。
その木の前に、カルダがいた。
カルダは樹木を後ろに探剣を振り上げている。
「お前らを、殺してしまえば。ウロボロスの世界樹は自らの尾を全て呑み込み……蛇が死んでしまえば。わしの世界が今から誕生するはず!そのための先祖代々の闇の自然の力がわしにはある。オリジン(起源)……からの力がわしに」
カルダは恍惚な顔をしている。今のカルダには現実と夢は全て到底受け入れられない……おぼろげなのだ。
「まだ。言っている。もう悪夢は終わりだ」
私は前に出たが、
「わしがやる。面と向っての人殺しはつらいじゃろう」
ディオはピストルの引き金を引いた。
ルゥーダーが槍を私に突き刺した。
…………
空が。闇夜の巨大な赤い月の空に、朝日の日差しを降り注ぐ、明るい空と太陽が東の方から押し寄せてきた。それは天空で境界線を生み出した。
「この男。死なない。いや、死んでいる!」
ルゥーダーが狼狽した。
私は拘束を力強く解き放つ。
空へと。
あの白い雲の朝と星空の夜の境界線のある空へと浮上する。
それと同時にウロボロスという名の蛇が目を覚まし、尾を飲み込み始めた。
「ルゥーダーよ、もう一度殺すのだ!」
カルダはルゥーダーの背中に何かの印を結ぶ。すると、ルゥーダーの背中に巨大な黒い翼が生えた。その姿はまるで黒い死の天使。
「おのれー! もう一度殺す! お前さえいなければ! 俺の母は俺を息子と……!」
ルゥーダーが槍を手放し私を追って羽ばたいた。
私は空中で迎え撃つ。
拳、蹴りなどをルゥーダーに打ち当て、ルーダーも雄々しく応戦するが、私はいきなり飛び蹴りを放つために遥か上空へと昇り、急降下した。
下ではディオや角田、そして渡部が上を向いて騒いでいる。黒い霧は……一体もいなかった。
飛び蹴りは見事。翼の生えたルゥーダーの腹にめり込む。
「う!」
ルゥーダーは吐血して、両手で私の脚を掴んだ。
そして、遥か下方の森へとジャイアントスイングをして、投げる。
私は鬱蒼と茂る森へと、ものすごいスピードで落下する。地面に激突。背中を地面にしたたかに打ち、こちらも血を嫌と言うほど吐いた。
けれど私は起き上がり、片手をルーダーを狙って前に突き出した。ルゥーダーは何とか上空でかわしたが肩が少し破裂した。
「もう一度! もう一度!」
ルゥーダーは苦痛で歪む顔をし、呪文のように同じ言葉を何度も繰り返す。
「俺は夢の世界では死ぬことはない!」
私は一喝し、
今度は渾身の力で両手をを突き出した。
こちらに向かって来たルゥーダーは翼を羽ばたかせ猛スピードで回避しようとする。
私はそれと同時に、飛び蹴りの態勢をしながら、ルゥーダー目掛けて空を飛んだ。
私の足はルゥーダーの腹に再度、直撃。吐血と同時に黒い翼がカルダの闇の力が無くなったかのように薄くなり出した。
ふらふらになったルゥーダー。
私は最後の力を振り絞り両手をルゥーダーへと突き出した。
不思議な力は、翼で防御しようとしたルゥーダーの巨大な翼に当たり片方がどこかへ吹っ飛んだ。
ルゥーダーは下方へと墜落した。
空は今では、眩しい朝日の光が闇夜に打ち勝っていた。天は、太陽の光が降り注ぐ大空へと変わる。
「後はカルダだな」
私はそう言うと、ボロボロのラクダ色のワイシャツを脱ぎ、遥か下方に目を向け、最後の南米の大地へと向かった。
地面に降り立つと、そこはカルダの村。広大だが村人が一人もいない。いるはずのカルダは、薄暗い洞窟の恐らく更に暗い奥の間だ。
私の勝利を見ていたようで、ディオたちや呉林姉妹たちが・・・みんな来た。
「すごい! すごい! ご主人様! ご主人様が心配で真理ちゃんたちと隠れて後を追って来たんです!」
安浦は私を見て、感動して泣きじゃくる。
「さすがに驚いたわ!」
霧画は堪らないといった感じに泣いていた。
「みんな。無事か……」
ディオは満身創痍だが緩んだ顔を真剣にして、みんなの無事を確認した。渡部と角田、そして、ディオは到るところに大きな怪我が目立つが。それでも、瀕死とまでは言えない。
「赤羽さん。いえ、七番目の者」
呉林が冷静な顔で私に近ずく、
「七番目の者って、こんなに凄いのか」
私は不思議と混乱しなかった。心は晴れ間のようにすっきりしている。
「そうよ、神秘的な太陽化する狂気的体験をあなたは今したのよ。つまり、あなたの意識は夢の世界から現実の世界の頂点にある、あの太陽と完全に一体化したのよ……」
呉林は次第に涙声となって私に言った。
「はは、そんなに凄いのか……」
私も泣きたい気分だ。本当にこんな私が世界を救ってしまった。
「そうじゃ。黒幕を何とかせんと。」
ディオはそういうと渋々、ピストルへぼろぼろの靴から取り出した弾丸を込めた。
「みんなで行きましょ!」
涙声を振り払うかのように、呉林は力強く言った。
「呉林……」
「なあに……あなた」
「いや、いい」
しばらく歩くと、カルダの村の森の更に奥、私が拘束されていた場所に着いた。
「これが、ウロボロスの大樹。いえ、ウロボロスの世界樹……」
呉林が静かに言った。みんな顎を上げる。
その木の高さは超高層ビルの高さだった。根の大蛇は人が何十人も丸ごと飲み込めるくらいの大きさ、それが目を覚まし自らの尾を飲み込んでいる。
その木の前に、カルダがいた。
カルダは樹木を後ろに探剣を振り上げている。
「お前らを、殺してしまえば。ウロボロスの世界樹は自らの尾を全て呑み込み……蛇が死んでしまえば。わしの世界が今から誕生するはず!そのための先祖代々の闇の自然の力がわしにはある。オリジン(起源)……からの力がわしに」
カルダは恍惚な顔をしている。今のカルダには現実と夢は全て到底受け入れられない……おぼろげなのだ。
「まだ。言っている。もう悪夢は終わりだ」
私は前に出たが、
「わしがやる。面と向っての人殺しはつらいじゃろう」
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