スターライドアイドル

主道 学

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海洋浮上都市アトランティス

アトランティス その1

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「ぴえええええ」
「英瑠璃《えるり》ちゃん。ちょっとは落ち着きなさいよ」
「だってー」

 しばらくして、テロリスト集団はT.W.A.F(ザ・ワールド・アイドル・フェスティバル)2030に参加している人々を、会場のステージ寄りに集めていった。

 特殊な実弾を込めた武器を持つテロリスト集団の男たちは、どこか普通とは違っていた。

 何故かしら?

 その訓練されたような動きだけではなく、歩いている最中でも背からオーラのようなものが微かに浮き出るのだ。

 STARZM・4(スターゼモフォー)のメンバーは、怯えている成川 英瑠璃と、どんな状況でも冷静沈着な大木 利弧利戸《りこりこ》と、あともう一人はここにはいない。 

ーーーー

 会場11番倉庫内。

「ここら辺なら大丈夫だよ。きっと」
「ええ……ありがと」

 STARZM・4(スターゼモフォー)のメンバーの一人。森島 恵美は、推し活の集団に守られていた。

 ちょうど、テロリスト集団が会場へ乱入してきた際。推し活の一人が瞬間移動能力者だったので、今の倉庫内へと避難できたのだ。

 ここは、ダンボール箱が幾つもの棚に積まれているだけの殺風景な場所。

「これからどうする?」
「いや、俺に聞かれても……」
「森島 恵美ちゃんを守ってればいいんだよな?」

 広々とした倉庫内で、20名の推し活と恵美が隅っこで、震えながら縮こまっていた。

「ああー、違うぞー。成川 英瑠璃ちゃんと、大木 利弧利戸ちゃんも守ってだなあ」
「でも、敵は何? 何が目的なんだろう?」
「そりゃ、大金じゃないのか?」

 恵美が痺れを切らして、立ち上がる。

「きっとー、テロリスト集団なんだから、何か核兵器とか関係してるんでしょ」

「恵美ちゃん。賢い!!」
「最高!」
「可愛い!」

 会場11番倉庫内は、賑やかになっていた。

――― 

「Yeah? I can hear people's voices coming from this warehouse.」
(うん? この倉庫から人の話し声? はしゃぎ声が聞こえるな)

「Is that so?」 
(そうなのか?)

 二人組の会場内を見回りをしていたテロリスト集団が、11番倉庫の前で立ち止まり訝しんだ。

―――

 11番倉庫内

「あ! やばい! みんなテロリスト集団が倉庫の外にいる。こっちに来そうだよ」

 推し活の一人。ひょろ長い男は、通常の人間の数十倍の聴覚だった。外の危険に気が付いて、みんなに知らせた。

「みんな! やっつけてやりましょうよ!」 
「いや、イヤー! 恵美ちゃん! 相手が武装してたの見てるんだよ」
「それが何?」
「撃たれると痛いじゃん」
「……」

 推し活のもう一人。その男は短髪で、スポーツタイプのがっしりとした男だった。

「もーう。恵美。涙が出そうよ」
「そんなこと言ったってー」

 強気の恵美のキツい言葉に短髪は、涙ぐんだ。

「あ、ねえ。こんなのはどう?」

 太った男は、みんなに青色のフィールドを展開した。
 そのフィールドは、みんなを音もなく優しく包んでいった。 

 途端にゆっくりと、倉庫へ通じる扉が開いて、テロリスト集団の二人が、そっと入って来た。銃口は今のところ倉庫を向いていない。テロリスト集団の二人は、中の様子を探るために、銃を下へ向けて入ってきていた。
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