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薄屋のミンリン
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数多の提灯で幻想的な灯りに仄かに照らされた美しい女の人を、東龍が名前はミンリンだと紹介してくれた。
なんでもミンリンは城下町随一の美しさを持つ薄屋の看板娘だという。見た目は19歳くらいの若い女性だったけど、実際には数千年も生きているんだって。黒のロングヘアに淡い水色の中国衣装の漢服(別名ハンフーともいう)が印象的だった。
東龍から数ある恋人候補の一人だとも教えてもらった。
空はもう真っ暗だった。光源は月が三つもあるけど数多の提灯が浮かんでいないと、足元もおぼつかない。それでも、行き交う人々が絶えない。大いに賑わう夜。俺は東龍とミンリンに連れられ薄屋の奥の席へと向かった。
早速、東龍は薄屋の一角に座って豪快に注文すると、向かいの席の俺に酒を勧める。
「武よ。酒は美味いぞ! 騙されたと思って飲んでみろ」
「いや、俺は……」
俺は困って、東龍の隣席の南龍を見た。
南龍はそんな俺にはまったく気付かないかのように、ただひたすら黙々と食べていた。豚の頭。饅頭。ワンタンと白身魚のスープ。坦坦麺。焼酎を二升。ビール。豚足とニラの炒め物など、一気に平らげてしまう。なんとも大食いな。
そんな南龍は少年の姿をしているけど、俺は油断は禁物だと思った。元は1万歳の超巨大な強い龍なんだよな。
でも、俺はなんだか、南龍にも好感が持てた。共に生死を賭けた戦いをしているからか、またはこれからも今度は仲間として共に戦うからか。
喧騒の激しい店内には、大勢の魚人たちがお酒や食べ物にありついている。ここ薄屋は皆にとりわけ好まれているようだ。老舗だけあって、客と客席は十分にあった。
俺は団子と饅頭とを食べながら、お茶で喉に優しく押し込んでいた。団子も饅頭も、これはさすがに美味いな。でも、確かにしっかりと食べているけど、もっぱらいつものことで、ここでも気を極度に集中しながら食べていた。
まだまだ修練をしなくちゃな。
いつだったか。独自で編み出した修練法。これをやると、いざという時に気を開放する場合に有利だ。気が常時体内を充満しているようになるからだ。
なんでもミンリンは城下町随一の美しさを持つ薄屋の看板娘だという。見た目は19歳くらいの若い女性だったけど、実際には数千年も生きているんだって。黒のロングヘアに淡い水色の中国衣装の漢服(別名ハンフーともいう)が印象的だった。
東龍から数ある恋人候補の一人だとも教えてもらった。
空はもう真っ暗だった。光源は月が三つもあるけど数多の提灯が浮かんでいないと、足元もおぼつかない。それでも、行き交う人々が絶えない。大いに賑わう夜。俺は東龍とミンリンに連れられ薄屋の奥の席へと向かった。
早速、東龍は薄屋の一角に座って豪快に注文すると、向かいの席の俺に酒を勧める。
「武よ。酒は美味いぞ! 騙されたと思って飲んでみろ」
「いや、俺は……」
俺は困って、東龍の隣席の南龍を見た。
南龍はそんな俺にはまったく気付かないかのように、ただひたすら黙々と食べていた。豚の頭。饅頭。ワンタンと白身魚のスープ。坦坦麺。焼酎を二升。ビール。豚足とニラの炒め物など、一気に平らげてしまう。なんとも大食いな。
そんな南龍は少年の姿をしているけど、俺は油断は禁物だと思った。元は1万歳の超巨大な強い龍なんだよな。
でも、俺はなんだか、南龍にも好感が持てた。共に生死を賭けた戦いをしているからか、またはこれからも今度は仲間として共に戦うからか。
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俺は団子と饅頭とを食べながら、お茶で喉に優しく押し込んでいた。団子も饅頭も、これはさすがに美味いな。でも、確かにしっかりと食べているけど、もっぱらいつものことで、ここでも気を極度に集中しながら食べていた。
まだまだ修練をしなくちゃな。
いつだったか。独自で編み出した修練法。これをやると、いざという時に気を開放する場合に有利だ。気が常時体内を充満しているようになるからだ。
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