学園戦記 ネビュラ・ブルータル

主道 学

文字の大きさ
上 下
8 / 11
前兆現象 バクテリア

2-8

しおりを挟む
 それから、数日が経った。
 そして、光太郎の周囲で異変が起きだした。

 今のところは、無害だが大気は何故かだんだんと緑色がかっていった。
 地上を照らす真っ赤な太陽も緑色で、交差点を歩く人々も、道路を走る車も、どこか緑がかっている。

 つくば市で、最初に生物に異変が起きたのは、野鳥たちだった。空を飛んでいる野鳥だちが、一斉に不気味な鳴き声をするようになった。

 その次は、つくば市の飼育頭数の103万の豚や、飼養されているホルスタイン。ブロイラーなどにも、鳴き声や姿形も変化していった。

 盛んな水稲栽培の水田面積4900ヘクタールも、全て緑色になってしまった。


 光太郎は、ここ天台学校のグラウンドにいた。

 幼馴染の鈴姉がいない今、実家に帰っても辛いだけだった。
 隣の家に住んでいた鈴姉は、もう帰ってこないという事実をいつまでも、光太郎は否定したかった。

「あのさあ。光太郎? 星宗さまは、下山したんじゃ、ないんじゃないかな?」
「ああーん?」
「いつもはどうしてるのか、さっぱりだけどな。きっと、逃げたわけじゃなくて。どこかに隠れてるんじゃないのか?」
「お前……なんで、よく知ってるんだよ? 星宗さまのこと」
「だって、きっと、美人だろ。その星宗さまわ。俺、美人のこととなると一日中考えてしまうんだよ」
「あぶないやつー」
 
 会ってもいない星宗という人物に、ありそうな推理をする佳山に光太郎は、呆れてせせら笑って……ひいた。
 
 佳山も実家が大変になったそうで、天台学校で寝泊まりしている。
 もともと、光太郎と佳山は天文学部で、学校での寝泊まりは苦ではなかった。

 校舎は至って、無事だった。
 
「はい。ホット缶コーヒーよ。私のことを助けてくれたから、アイドルになったら必ず……そうねえ、特等席に座って観ていていいわよ。候補はたくさんいるんだからね。光栄なことよ……それにしても、校舎や友達が無事で良かったわ。ほんと、黒い物体を倒してくれた光太郎のお蔭ねえ」

 藍川がグラウンドの常緑樹の傍の光太郎と佳山に、ホット缶コーヒーをビニール袋から、渡した。4月。春といっても、まだ肌寒い日々が続いている。

 藍川の取り巻きも、光太郎に寄って来た。

「あ、そうだ。藍川? アレやってくれないか?」

 唐突に光太郎は、藍川にいつものヤツを頼んだ。

「え? いいけど?」

 藍川は頷くと、光太郎にゆっくりと手を差し伸べた。
 藍川の取り巻きが騒いだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~

阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。 転生した先は俺がやっていたゲームの世界。 前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。 だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……! そんなとき、街が魔獣に襲撃される。 迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。 だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。 平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。 だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。 隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

処理中です...