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前兆現象 バクテリア

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 それから、数日が経った。
 そして、光太郎の周囲で異変が起きだした。

 今のところは、無害だが大気は何故かだんだんと緑色がかっていった。
 地上を照らす真っ赤な太陽も緑色で、交差点を歩く人々も、道路を走る車も、どこか緑がかっている。

 つくば市で、最初に生物に異変が起きたのは、野鳥たちだった。空を飛んでいる野鳥だちが、一斉に不気味な鳴き声をするようになった。

 その次は、つくば市の飼育頭数の103万の豚や、飼養されているホルスタイン。ブロイラーなどにも、鳴き声や姿形も変化していった。

 盛んな水稲栽培の水田面積4900ヘクタールも、全て緑色になってしまった。


 光太郎は、ここ天台学校のグラウンドにいた。

 幼馴染の鈴姉がいない今、実家に帰っても辛いだけだった。
 隣の家に住んでいた鈴姉は、もう帰ってこないという事実をいつまでも、光太郎は否定したかった。

「あのさあ。光太郎? 星宗さまは、下山したんじゃ、ないんじゃないかな?」
「ああーん?」
「いつもはどうしてるのか、さっぱりだけどな。きっと、逃げたわけじゃなくて。どこかに隠れてるんじゃないのか?」
「お前……なんで、よく知ってるんだよ? 星宗さまのこと」
「だって、きっと、美人だろ。その星宗さまわ。俺、美人のこととなると一日中考えてしまうんだよ」
「あぶないやつー」
 
 会ってもいない星宗という人物に、ありそうな推理をする佳山に光太郎は、呆れてせせら笑って……ひいた。
 
 佳山も実家が大変になったそうで、天台学校で寝泊まりしている。
 もともと、光太郎と佳山は天文学部で、学校での寝泊まりは苦ではなかった。

 校舎は至って、無事だった。
 
「はい。ホット缶コーヒーよ。私のことを助けてくれたから、アイドルになったら必ず……そうねえ、特等席に座って観ていていいわよ。候補はたくさんいるんだからね。光栄なことよ……それにしても、校舎や友達が無事で良かったわ。ほんと、黒い物体を倒してくれた光太郎のお蔭ねえ」

 藍川がグラウンドの常緑樹の傍の光太郎と佳山に、ホット缶コーヒーをビニール袋から、渡した。4月。春といっても、まだ肌寒い日々が続いている。

 藍川の取り巻きも、光太郎に寄って来た。

「あ、そうだ。藍川? アレやってくれないか?」

 唐突に光太郎は、藍川にいつものヤツを頼んだ。

「え? いいけど?」

 藍川は頷くと、光太郎にゆっくりと手を差し伸べた。
 藍川の取り巻きが騒いだ。
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