イニシエ 図書館のspellbook

主道 学

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蛇の書

大蛇と勇気の書

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 ぼくは急いで自室へと戻り、ベッドの下にある数ある触媒の入ったダンボール箱から一つを取り出した。それはメタンの箱だった。
 この家では、タバコを吸う人はいないし、火の危険がなかった。ぼくはマレフィキウム古代図書館から本が消えた時から、戦いのために色々と触媒集めを心がけていたんだ。

 廊下の手摺りから下を覗くと、大蛇は階段の踊り場まで来てしまっていた。
 ぼくは、ありったけのメタンを掌に収束して、威嚇していた蛇の口の中へと放り込んだ。
 苦しいのか、大蛇がのた打ち回って、階下へと地べたをズルズルと這って逃げていった。

 もう一度、口を開ければ、今度は火を放り込む算段だった。

 バタンと音がした。
 玄関のドアの開閉の音だ!
 誰かが出入りしたんだ!

 恐らく家の外へ出たのだろうと、ぼくは考えた。
 仲間を呼びに行ったのかも知れない?!
 もう、ぐずぐずしていられない!
 ここは危険だ!!
 
 父に召喚が事実なのかを教えてもらうのは後回しにして、ぼくは大蛇を退治することを優先的に考えた。
「おや? まだ私は寝ているのかな? 大きな蛇がいる……一、二、三、四匹も?」
「マレフィキウム図書館の魔術師の仕業ね 。それと、あなた本物よ。これは幻じゃないわ」
 気がつくと父と母がぼくの傍へ来ていた。
 
 珪素。腐食バクテリアなどの触媒も二階のぼくの部屋にはある。
 これなら相手が数匹でも、なんとか勇気の書でも戦えそうだった。
 
 キッチン、いや、この家には古代の魔女である母の魔法障壁が包みこんであって、なかなか頑丈だから、家具や家自体は壊れないんだ。

 ぼくは火を放った。
 火炎渦巻くキッチンでぼくは汗を流していた。
 メタンに発火し、腐食バクテリア、珪素によって、次々と大蛇を蝕んでいく。
 二階から一階のキッチンまでの戦いだ。
 どこからか新たに大蛇が何十匹とキッチンへと這い出てきた。

「早く曲がった空間を何とかしないと!! 無限に召喚されてしまう!!」
 ぼくは叫んだ。
 このままではジリ貧だ!

 切迫した状態の中で父が次々と大蛇が召喚されること自体に冷静に注目していた。
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