イニシエ 図書館のspellbook

蛇の書

不気味な闘い

　それに本当にこれは、召喚なのだろうか？！
　空間を捻じ曲げて（曲げて）本来、この家には存在していないはずのものを、キッチンへ召喚したのだろうか？

　だとしたら、どうやって？
　
　まずいぞ！
　
　敵は何体も大蛇を召喚できるのかもしれないし、そして、敵の魔術師たちの姿はわからない。相手が一人なのか。それとも、大勢なのかもわからない。
　
　ぼくは勇気の書の初歩的な魔術だけで大蛇を退治できるのだろうか？
　追い払うだけで、やっとなのでは？？

　ズルッズルッ、ズルッズルッっと不快極まりない音が徐々に迫ってくる。
　すぐに大蛇が階段まで這い寄って来てしまっていた。
　真っ赤な舌をシュルシュルと出して、ぼくを威嚇した。
　ぼくは両親がいるであろう二階へと階段を駆け足で上り、一番手前の父の部屋を叩いた。
　
　当然深夜の三時だということを、完全に忘れていた。

「う、もう朝か……零？」
「父さん起きてくれ！　危険が迫っているんだ！　すぐに母さんも起こしてくる！」
「え！？」

　父さんが飛び起きて、着替えをしに早足でクローゼットに向かった。ぼくは隣の部屋も激しく叩くと、ドア越しに母さんの声が微かに聞こえた。

　良かった。二人は今のところ無事だ。

　さて、大蛇との戦いの時間だけとなった。