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知恵の書
テレパシー
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「ねえ、零。魔術師はどこかしら?」
周囲の暗闇がだいぶ薄くなり光が戻ってくると、隣で埃塗れのハットを叩いている白花がぼくに囁き声で聞いて来た。だけど、ぼくは内心ホッとしていた。
学園長室には魔術師たち二人の姿が消えていた。
室内から忽然と消えた魔術師たちは? ぼくは辺りを見回し、相変わらず大雨の外を覗いたが、黒い服も影も形もない。本当に消えてしまったのなら、やはり何らかの高位の魔術を使ったんだ。
「えー、ナニナニ……。さっき逃げた人が何か頭の中で話してるんですけど? えーーーー、仲間がもうすぐ来るはずだって!」
「凛? それはテレパシーか?!」
「そうよ! 今度はこの学園ごと爆破してしまおう?! って言っているわ!! 早く逃げようよ!! これって、なにかの冗談よね? 」
「冗談ならいいんだけど……どこから逃げよう?」
白花が落ち着いて逃げる算段をしていた。
「私、子供の頃から離れた人の頭の中の声が聞こえるの。あれ? この頭の中の声は学園長ね。直に言うわね。いやー、疲れた。あそこの学園長は美人で胸が大きいが……性格が……。さっさと切り上げて良かったよ。あー、ストレス溜まったなあ。みんなには内緒の本棚に隠してある高級ウイスキーでも飲もうっかなー。って言ってる」
凛が頭を抱えながら普通に話しているが、生体電流が並々ならぬほど周囲に放出されているのがわかる。
「ふふ、もう大丈夫よ。学園長が帰って来るのならね。そう、王者の書を開いた。高位魔術師の私の父がね」
白花は真っ白なハットを目深に被って一安心した。
ぼくも半ば学園長が来てくれることにホッとしていた。
今の初歩的な魔術書の勇気の書だけでは、太刀打ちできないからだ。
周囲の暗闇がだいぶ薄くなり光が戻ってくると、隣で埃塗れのハットを叩いている白花がぼくに囁き声で聞いて来た。だけど、ぼくは内心ホッとしていた。
学園長室には魔術師たち二人の姿が消えていた。
室内から忽然と消えた魔術師たちは? ぼくは辺りを見回し、相変わらず大雨の外を覗いたが、黒い服も影も形もない。本当に消えてしまったのなら、やはり何らかの高位の魔術を使ったんだ。
「えー、ナニナニ……。さっき逃げた人が何か頭の中で話してるんですけど? えーーーー、仲間がもうすぐ来るはずだって!」
「凛? それはテレパシーか?!」
「そうよ! 今度はこの学園ごと爆破してしまおう?! って言っているわ!! 早く逃げようよ!! これって、なにかの冗談よね? 」
「冗談ならいいんだけど……どこから逃げよう?」
白花が落ち着いて逃げる算段をしていた。
「私、子供の頃から離れた人の頭の中の声が聞こえるの。あれ? この頭の中の声は学園長ね。直に言うわね。いやー、疲れた。あそこの学園長は美人で胸が大きいが……性格が……。さっさと切り上げて良かったよ。あー、ストレス溜まったなあ。みんなには内緒の本棚に隠してある高級ウイスキーでも飲もうっかなー。って言ってる」
凛が頭を抱えながら普通に話しているが、生体電流が並々ならぬほど周囲に放出されているのがわかる。
「ふふ、もう大丈夫よ。学園長が帰って来るのならね。そう、王者の書を開いた。高位魔術師の私の父がね」
白花は真っ白なハットを目深に被って一安心した。
ぼくも半ば学園長が来てくれることにホッとしていた。
今の初歩的な魔術書の勇気の書だけでは、太刀打ちできないからだ。
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