夜を狩るもの 終末のディストピア seven grimoires 

主道 学

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The End of the World (世界の終末)

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 The end of the world  3

 窓の外はもはや真っ赤に燃え盛る太陽によって灼熱地獄だった。アリスは自分の屋敷の中でヘレンとオーゼムの話に静かに耳を傾けていた。調度品が溶け、家具は至る所から湯気をだし、着ている服が体中の水分でびっしょりになっていた。アリスの強く握った両手からは汗が床に滴り落ちていく。それでも、オーゼムの顔は何かに勝ち誇るかのように明るかった。
「これが世界の終末の直前の事象なんです。ですが、私はモート君に賭けました。恐らく世界の終末は無事に避けられるでしょうね。もちろん勝算はありますよ」
 オーゼムは自信を持った顔を崩さなかった。
「オーゼムさん? 私はどうしても納得がいかないんです。どうして我々人類は世界の終末を迎えるないといけないのでしょう? 人類は何かをしたのでしょうか? あるいは生命のような寿命のようなものが人類にはあって、それが尽きたのでしょうか?」

 ヘレンは汗を拭いながらオーゼムに真摯に尋ねているが、アリスは何事にも寿命があることに身震いした。
「ことの発端はジョンなのですよ。人類は単にその道連れなんです。そして、七冊のグリモワールが鍵なんです。ええと、1年前に遡りますが。その頃からジョンはグリモワールを使って、七つの大罪を世界に広めていたのです」
「せ、世界に……ですか?」
 アリスはジョンという人物を知らなかったが、犯罪を広めていた張本人なことは薄々わかったつもりだった。ジョン……ジョン・ムーア……確かに……よくある名前だが。昔に聞いた印象的な出来事の名前だった。
「オーゼムさん。ジョンはモートを知っていました。何故? モートとの関わりはまったくないはずです」
 ヘレンの問いに、オーゼムはニッコリ微笑んで、
「ジョンはクリフタウンでモート君に一度、ジョンが登山中に凍死寸前だった時に助けられているのですね」
 オーゼムの言葉に、いや、皮肉に、ヘレンはジョンとモートの数奇で歪な運命を感じた。

 The end of the world  4

 ザンッ。一つの首をモートは狩りとった。地獄の番犬ケルベロス。そんな名前がモートの頭に浮き出たていた。太陽の光で焦げたアスファルト上で、二つの口からの牙をモートは寸でのところで躱して隙を伺う。
 猛攻を回避しながらケルベロスの一つの首に首輪がついているのをモートは発見した。どこかにこの巨大な犬の飼い主がいるのだろうか?
 突然、街中に鳴り響く数回の吠え声のあと、こちらにケルベロスが突進してきた。モートは避けると、そのままケルベロスは街を破壊しながら突進する。そのままここイーストタウンの商店街から東の端のウエストタウンまで走り通してしまいそうだった。モートはすぐに後を追いかけた。
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