夜を狩るもの 終末のディストピア seven grimoires 

主道 学

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seven deadly sins (七つの大罪) 

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 女学生のミリーは痩せすぎで、血色が悪く。そばかすばかりの顔だったが、シンクレアに似て美人だった。髪の色は茶髪だが、金髪に近い。ミリーは涙を拭って、話し出した。

「オーゼムさんの言うことをわかりやすく言うと、あのね……。モート……私は実は街の窃盗団のリーダー的な存在だったの……」

 …………

 淹れたてのコーヒー豆をミルで挽いていたオーゼムは、自家製シチューでモートたちに細やかながらおもてなしをしてくれた。
 窓の外は未だに大雪で、ヒューヒューと鳴る風がまるで人の悲鳴のような音に聞こえた。
「ロイヤル・スター・ブレックファースト?」
「そう。この街では有名だったけど、対抗組織の方が大きくなって、存在が小さくなったの……。あまり知られていないけど。今でも大きな活動をしているの。昨日の夜は、お菓子屋の「リッチ・スイーツ」が莫大な売上金を残していてね。従業員は戸締りをした後に早々に帰宅して行ったって、仲間から聞いて……危険だけど夜の街でロイヤル・スターに収集をかけようとしたの……その時はまだダイヤモンドダストなんてなくて……凍死寸前の時にオーゼムさんが歩いてきて……」

 ミリーはたどたどしく言った。

 ホワイト・シティでは夜は命に絶大に危険だった。そして、窃盗団では大きな方だったロイヤル・スター・ブレックファーストのことをモートは思い出した。 
 確かロイヤル・スター・ブレックファーストは子供たちだけの窃盗団で、強盗や殺人など重い罪はしないが、大掛かりな犯罪組織だった。ここホワイト・シティの子供たちの半数は少しは関わっているとも言われていた。

 モートは子供を狩らないので、今まで目を瞑っているが、その組織的犯罪は売春からドラッグにまで至る。七つの大罪に関与しているかも知れなかった。
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