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wolf and sheep (狼と羊)

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 モートは昨日に七つの大罪と世界の終末のことを初めて知ったので、その事について深く考えていた。

 今は早朝の6時。
 後、2時間くらいでアリスが迎えに来るだろう。
 
 天使のオーゼムの言った七つの大罪は、モートにとっては全くの盲点だった。七つの大罪は黒の魂が関与することの根本的な部分だったのだ。
 今日の深夜に狩ったものたちは、長い年月によって、あるものは姦淫。あるものは激怒。あるものは怠惰など皆、魂が黒くなっていたのだ。

 世界の終末は運命なのだろうか? けれども、ここホワイト・シティでは当然受け入れられないが、遠い国からはあらゆる犯罪が流入している。どのみちこの街は滅びる運命だったのだろう。しかし、遠い国にはヘイグランドのような良き若者もいる。世界の終末を避けるには、さすがに世界は広いだろうが、遠い国からの犯罪だけに目を光らせることが肝要だった。実際、今回の狩りの夜には麻薬などの中毒者も大勢いたのだ。

 今ではモートの盲目的な人生は少しは明るくなってきていた。

 考え、いや、方向性が。自分が何を狩ればいいのかという基準が……まるで荒波の航海の中で一つの灯台を見つけたかのように、理解できるようになったのだ。
 モートは自然と微笑んでいた。

 しばらく世界の終末や七つの大罪のことを考えていたが、モートはハッとしてポケットの中の懐中時計を見た。


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