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 魂の色を観察すると。
  アリスの魂の色は今は白だった。妙だなとモートは思った。鼻をポリポリと掻いて、今夜アリスの家に訪れてみようかと思案した。
 魂の色の区別は、モート自身体験的に分かったことだった。赤が危険。青が普通。黄色は喜び。黒が罪。白は善意だった。
 黒い魂が関係しているのなら、その時は……狩る……ということをする。
 狩りは、 モートの盲目的な人生で、唯一残された救いであった。命を狩ることは、作物の収穫のようなものだった。
 ただモートが女性や子供を狩ることはない。真夜中では何故か狩ることを躊躇してしまうし、罪を犯すこともあるが、大抵は許容範囲内で済ませていた。
 モートは真夜中で罪人以外のいわゆる邪魔者も狩ろうとした時もあるが、美術館のオーナーに固く禁止されていた。
 
 その日の夜。

 ノブレス・オブリージュ美術館のサロンで、着飾った人々の談笑を質素な椅子に座りながら聞き流していたモートは、閉館時間まで辛抱強く待った。
 徐々に人々が帰り始め。閉館時間が迫る。いつもの黒い服装を着たモートが様々な武器が描かれた壁画からずっしりとした大鎌を静かに取り出すと、お客の接待や挨拶などを終えたオーナーが大扉から歩いてきた。 

 モートは一枚の絵画に向かって、「母さん。行ってくるよ」と抑揚がない一声をかけた。
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