35 / 37
zombie apocalypse (ゾンビアポカリプス)モート編
34
しおりを挟む
モートはリリーの拘束を解いた。
体中に頑丈な鎖が巻いてあったのだ。
「君は、聖痕というものを知っているかい? あるいは、どこかにその……不思議な傷はあるかい?」
「……昔、不思議な傷が足の裏にあるって、お医者さんが言った時があるわ……」
「じゃあ。ぼくは次の収穫のところへ行くから」
「……待って! 私の他にも人はいないの? 助けてくれたんでしょ! 私の記憶がなくなる時、覚えているのは今朝のバスの中。バスの中には大勢人が乗っていたの!」
リリーのさっきの態度とは逆の懇願した言葉に、モートはこっくりと頷いた。けれども、すぐに首を横に振った。
「ここにはいないんだ。少なくてもこの周囲には……」
「ここは、どこなの?」
「ホワイトグレートの麓のログハウスだ」
「……ホワイトグレート……?」
「そのログハウスの地下に君はいたんだ」
「リリーよ。リリー・フィラデルフィア」
モートは考えた。
この少女は間違いなく聖痕の持ち主だと。
だが、まだバスから消えた? それとも誘拐? などをされた人たちがいるようだ。
そこで、モートはあることに気がついた。
目に見える魂の色は、当然。
生きていないと、見えないのだ。
なので、恐らくは……。
もうこの世には、いないのだろう。
体中に頑丈な鎖が巻いてあったのだ。
「君は、聖痕というものを知っているかい? あるいは、どこかにその……不思議な傷はあるかい?」
「……昔、不思議な傷が足の裏にあるって、お医者さんが言った時があるわ……」
「じゃあ。ぼくは次の収穫のところへ行くから」
「……待って! 私の他にも人はいないの? 助けてくれたんでしょ! 私の記憶がなくなる時、覚えているのは今朝のバスの中。バスの中には大勢人が乗っていたの!」
リリーのさっきの態度とは逆の懇願した言葉に、モートはこっくりと頷いた。けれども、すぐに首を横に振った。
「ここにはいないんだ。少なくてもこの周囲には……」
「ここは、どこなの?」
「ホワイトグレートの麓のログハウスだ」
「……ホワイトグレート……?」
「そのログハウスの地下に君はいたんだ」
「リリーよ。リリー・フィラデルフィア」
モートは考えた。
この少女は間違いなく聖痕の持ち主だと。
だが、まだバスから消えた? それとも誘拐? などをされた人たちがいるようだ。
そこで、モートはあることに気がついた。
目に見える魂の色は、当然。
生きていないと、見えないのだ。
なので、恐らくは……。
もうこの世には、いないのだろう。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アポリアの林
千年砂漠
ホラー
中学三年生の久住晴彦は学校でのイジメに耐えかねて家出し、プロフィール完全未公開の小説家の羽崎薫に保護された。
しかし羽崎の家で一ヶ月過した後家に戻った晴彦は重大な事件を起こしてしまう。
晴彦の事件を捜査する井川達夫と小宮俊介は、晴彦を保護した羽崎に滞在中の晴彦の話を聞きに行くが、特に不審な点はない。が、羽崎の家のある林の中で赤いワンピースの少女を見た小宮は、少女に示唆され夢で晴彦が事件を起こすまでの日々の追体験をするようになる。
羽崎の態度に引っかかる物を感じた井川は、晴彦のクラスメートで人の意識や感情が見える共感覚の持ち主の原田詩織の助けを得て小宮と共に、羽崎と少女の謎の解明へと乗り出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる