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zombie apocalypse (ゾンビアポカリプス)モート編
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「あっちの方角に聖痕の少女がいる。もうすぐ始まるんだ。その時が……。だから、急いだ方がいい」
そう言い残して、赤い馬に乗った男は再び空へと飛び上がった。
透き通った声だった。
モートは誰だろうかと考えた。
その姿が、天から降りしきる無数の赤黒い雹の中へと完全に消えると、モートは首をその男が示した方角へ向けた。
「誰かしら? あれ? モートの知り合い?」
ミリーが、いつまでも赤い馬と共に空へと消えた男の方を見上げていると、
「ミリーお嬢様。恐らくあれは黙示録に登場する。世界の終わりに現れるアポカリプスの四騎士の一人ではないかと……さあ、行きましょう。ノブレス・オブリージュ美術館へは、ここから数ブロック先のバスを使いましょう」
黒いスーツの男の一人が先導し、無事にシンクレアとミリーは、ノブレス・オブリージュ美術館に向かうことができるだろう。
と、モートは思った。
次にモートが向かったのは、赤い馬の男が示したクリフタウンだった。激しい血の雨によって、真っ赤になったホワイトグレートに赤黒い雹が降り続ける。
そこへモートが駆け寄ると、ホワイトグレートの麓の一軒家に、黒い魂を発見した。その黒い魂は一つで、ログハウスの中だ。その近くには一つの黄色い魂があるだけだ。他に周囲には見える魂は何もない。
モートはログハウスへと入った。
中は持ち主が几帳面な性格なのだろう。整った家具が、設置されていて、掃除も行き届いている。木の香りが仄かに漂う。暖かい住居だった。
だが、モートは地下へと続く階段を見つける。
そこに黒い魂と黄色い魂が見える。
地下へとモートは石階段を降りていった。
――――
リリー・フィラデルフィアは暗闇の中で目を覚ました。
今朝も、空から血の雨が降ってきたので、学校は休みだった。都内のノブレス・オブリージュ美術館に遊びに行こうと友達に誘われ、市営バスに乗ったまではいいものの。
その後の記憶が、まったくといっていいほどなかった。
どうやら、身体が固定されているようだ。
パタンっと、ドアの開閉の音が遠くでした。
大男のような大きな足音が徐々に近づいてくる。ぞりぞりとゆっくりと歩くその足音は、どこか片方の足を引きずっているようだ。
そこで、リリーは恐怖した。
だが……パタンっと、もう一つドアの開閉の音がした。
大男のような大きな足音が途切れた。
歩くのを止めたようだ。
引きずる大きな足音の代わりに、静かな足音がこちらへと来る。
いや、違う。
何者かが、こっちへと来る。周囲の元々寒い空間の温度が急激に低下した。リリーはガクガクと震えたが、それは恐怖と寒さも混じっていた。
「大丈夫か?」
非常に冷たい声が聞こえた。
――――
そう言い残して、赤い馬に乗った男は再び空へと飛び上がった。
透き通った声だった。
モートは誰だろうかと考えた。
その姿が、天から降りしきる無数の赤黒い雹の中へと完全に消えると、モートは首をその男が示した方角へ向けた。
「誰かしら? あれ? モートの知り合い?」
ミリーが、いつまでも赤い馬と共に空へと消えた男の方を見上げていると、
「ミリーお嬢様。恐らくあれは黙示録に登場する。世界の終わりに現れるアポカリプスの四騎士の一人ではないかと……さあ、行きましょう。ノブレス・オブリージュ美術館へは、ここから数ブロック先のバスを使いましょう」
黒いスーツの男の一人が先導し、無事にシンクレアとミリーは、ノブレス・オブリージュ美術館に向かうことができるだろう。
と、モートは思った。
次にモートが向かったのは、赤い馬の男が示したクリフタウンだった。激しい血の雨によって、真っ赤になったホワイトグレートに赤黒い雹が降り続ける。
そこへモートが駆け寄ると、ホワイトグレートの麓の一軒家に、黒い魂を発見した。その黒い魂は一つで、ログハウスの中だ。その近くには一つの黄色い魂があるだけだ。他に周囲には見える魂は何もない。
モートはログハウスへと入った。
中は持ち主が几帳面な性格なのだろう。整った家具が、設置されていて、掃除も行き届いている。木の香りが仄かに漂う。暖かい住居だった。
だが、モートは地下へと続く階段を見つける。
そこに黒い魂と黄色い魂が見える。
地下へとモートは石階段を降りていった。
――――
リリー・フィラデルフィアは暗闇の中で目を覚ました。
今朝も、空から血の雨が降ってきたので、学校は休みだった。都内のノブレス・オブリージュ美術館に遊びに行こうと友達に誘われ、市営バスに乗ったまではいいものの。
その後の記憶が、まったくといっていいほどなかった。
どうやら、身体が固定されているようだ。
パタンっと、ドアの開閉の音が遠くでした。
大男のような大きな足音が徐々に近づいてくる。ぞりぞりとゆっくりと歩くその足音は、どこか片方の足を引きずっているようだ。
そこで、リリーは恐怖した。
だが……パタンっと、もう一つドアの開閉の音がした。
大男のような大きな足音が途切れた。
歩くのを止めたようだ。
引きずる大きな足音の代わりに、静かな足音がこちらへと来る。
いや、違う。
何者かが、こっちへと来る。周囲の元々寒い空間の温度が急激に低下した。リリーはガクガクと震えたが、それは恐怖と寒さも混じっていた。
「大丈夫か?」
非常に冷たい声が聞こえた。
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