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tears (涙) 7人の少女編
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「もう大丈夫ですよ。探しましたよ。あなたがアンリー・サルギスさんですね。決して銃弾はあなたには当たりません。あ、これは失礼しました。私はオーゼム・バーマインタムという者です。それと、ノブレス・オブリージュ美術館でヘレンさんがお待ちですよ」
礼儀正しいその男は、何故か神々しい雰囲気を醸し出している。さっきの銀髪の男は後ろで、こちらに手を振っていた。
掠ることすらもない嵐のような銃弾が飛ぶ中。真っ白な雪の積もる歩道をしばらく駆けていると、アンリー・サルギスの目の前にやっとノブレス・オブリージュ美術館の正門が見えてきた。
雪を被った正門には、さっき会ったヘレンという人が厚着をして待っていた。
「アンリーさん。早くこの建物の中へ。そして、ようこそノブレス・オブリージュ美術館へ」
そこで、ヘレンという人は白い息を吐いてウインクをした。
「正式に私が招待したということにして、あなたが欲しがっていた絵画のあるサロンへ行きましょうね。もう館内は自由に出入りしてもいいわ。後、あなたにどうしても聞きたいことがあるのよ。さあ、詳しいお話はさっきのサロンでね」
「モートもくるの?」
「ええ。あの人もくるわよ」
「ラッキー! そこで、モートにおばあちゃんから聞いたこと全部話すわ」
「ふう……これで少しはジョンが何をしようとしているのかがわかるかもしれないわね」
ヘレンという人に案内されて、アンリーは館内へ入ると、さっきまでいたサロンへと向かう。
館内は外の吹雪とは違い。とても暖かかった。
「ジョン……あなたは一体? それと……レメゲトンをどう使うのかしら?」
ヘレンという人がアンリーの傍で、独り言をごちた。
人通りのない東館の色とりどりの絵画のある廊下を進むと、二つの螺旋階段のある広大なサロンへ続く扉を見つけた。アンリーは何故かちょっとここへ来ただけなのにノブレス・オブリージュ美術館の館内でどこになんの部屋があり、どんな骨董品や調度品、絵画、銅像などがあるのかも、何故かわかるようになっていた。
「そういえば、もう閉館時間よね」
アンリーは呟くと、だが、明るいサロンは高級な服装の貴族の人達が談笑したり、飲み物や小料理を楽しみ。歌を聴いたりしている社交の場となっていた。
「どうしたの? お嬢さん?」
煌びやかなドレスを着た貴婦人に呼び止められた。
「あ、あの……ここで待っていてって、言われたの」
「あら、ヘレンさんのお知り合い?」
貴婦人はサッと左手を上げると、黒を基調としたボーイが音もなく駆け寄り。トレイに載った日本茶を勧めてきた。
「あなた。何かあったのね。でも、もう大丈夫よ落ち着いて」
「ええ……。ええ、ありがとう」
「ここだけの話。私の叔父はここホワイトシティの市長なの。困ったことがあったら何でも私に聞いていいのよ」
「……そ、そうなの?! ありがとう。でも、もういいわ。あ! モートが来てくれたわ!」
礼儀正しいその男は、何故か神々しい雰囲気を醸し出している。さっきの銀髪の男は後ろで、こちらに手を振っていた。
掠ることすらもない嵐のような銃弾が飛ぶ中。真っ白な雪の積もる歩道をしばらく駆けていると、アンリー・サルギスの目の前にやっとノブレス・オブリージュ美術館の正門が見えてきた。
雪を被った正門には、さっき会ったヘレンという人が厚着をして待っていた。
「アンリーさん。早くこの建物の中へ。そして、ようこそノブレス・オブリージュ美術館へ」
そこで、ヘレンという人は白い息を吐いてウインクをした。
「正式に私が招待したということにして、あなたが欲しがっていた絵画のあるサロンへ行きましょうね。もう館内は自由に出入りしてもいいわ。後、あなたにどうしても聞きたいことがあるのよ。さあ、詳しいお話はさっきのサロンでね」
「モートもくるの?」
「ええ。あの人もくるわよ」
「ラッキー! そこで、モートにおばあちゃんから聞いたこと全部話すわ」
「ふう……これで少しはジョンが何をしようとしているのかがわかるかもしれないわね」
ヘレンという人に案内されて、アンリーは館内へ入ると、さっきまでいたサロンへと向かう。
館内は外の吹雪とは違い。とても暖かかった。
「ジョン……あなたは一体? それと……レメゲトンをどう使うのかしら?」
ヘレンという人がアンリーの傍で、独り言をごちた。
人通りのない東館の色とりどりの絵画のある廊下を進むと、二つの螺旋階段のある広大なサロンへ続く扉を見つけた。アンリーは何故かちょっとここへ来ただけなのにノブレス・オブリージュ美術館の館内でどこになんの部屋があり、どんな骨董品や調度品、絵画、銅像などがあるのかも、何故かわかるようになっていた。
「そういえば、もう閉館時間よね」
アンリーは呟くと、だが、明るいサロンは高級な服装の貴族の人達が談笑したり、飲み物や小料理を楽しみ。歌を聴いたりしている社交の場となっていた。
「どうしたの? お嬢さん?」
煌びやかなドレスを着た貴婦人に呼び止められた。
「あ、あの……ここで待っていてって、言われたの」
「あら、ヘレンさんのお知り合い?」
貴婦人はサッと左手を上げると、黒を基調としたボーイが音もなく駆け寄り。トレイに載った日本茶を勧めてきた。
「あなた。何かあったのね。でも、もう大丈夫よ落ち着いて」
「ええ……。ええ、ありがとう」
「ここだけの話。私の叔父はここホワイトシティの市長なの。困ったことがあったら何でも私に聞いていいのよ」
「……そ、そうなの?! ありがとう。でも、もういいわ。あ! モートが来てくれたわ!」
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