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pain (苦痛) ヘレン編
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「オーゼム……? レメゲトンとは……なんだい?」
「作者不明の悪魔を使役することができるグリモワールですよ。『ゴエティア』『テウルギア・ゴエティア』『アルス・パウリナ 』『アルス・アルマデル・サロモニス』『アルス・ノウァ』の五つのグリモワールを一つにしたものです。別名をソロモンの小さな鍵とも呼ばれていますね」
「悪魔を使役する? そんなものが!!」
「ふーむ。これは……悪魔の偽王国でも作ろうとしている。と、考えられますね」
オーゼムの深刻な言葉に、モートもヘレンも走行中のバス内だということを完全に忘れていた。
「ぼくは何をすればいいんだい?」
「さあ、現時点ではさっぱりですねえ」
モートにオーゼムはウインクしてから、深く考えこんでしてしまった。
車窓からは、ここホワイトシティ全体を襲う記録的な猛吹雪は猛威を振るっていた。
車窓から見える吹雪の中で凍結したゴシック調の建造物などを夜の闇が覆ってきた。アリスの贔屓にしているお店レストラン「ビルド」も外観が凍結していた。路面バスは今のところ通常運転をしている。
「そうですねえ。ヘレンさんもレメゲトン以外の調べものをしてみませんか? こちらも調べていますが、ヘレンさんともう一人の方と一緒に、左の手首に浮き出ている聖痕のある人たちを探してほしいのです」
「ええ、いいわよ」
オーゼムが考え事を止めると、隣に座ったヘレンに急に真摯な顔で調べものを頼んだ。モートは車窓から記録的な吹雪が襲う暗黒のホワイトシティを見つめていた。
「ええ、つまりはサルギス。フィラデルフィア。ラオデルキヤという名前の人を探してほしいのです。三人は恐らくは14才の少女だとは思うのですが。まあ、念のために言っておきますが、男の子もいるかも知れませんし、成人、老人かもしれません。それと、危険だと思ったらすぐにモートくんか私に知らせて下さい。後、言っておきますが、私はまったく戦いはできません」
ヘレンは強い意志を持って頷いた。だが、とあることに気が付き顔を上げた。
「オーゼムさん。確か……ノブレス・オブリージュ美術館の館内で、ちょっと変わった子がいたの。その子は美術品の中から何かを探しているようだったわ。でも、ノブレス・オブリージュ美術館の美術品や骨董品、芸術品などの展示物は、どれもとても買えるような普通の値段ではないの。けれども、その子は私に一枚の絵画を今すぐに買いたいと言ったのよ。その子に名前を聞くと……アンリー・サルギスだったわ」
「作者不明の悪魔を使役することができるグリモワールですよ。『ゴエティア』『テウルギア・ゴエティア』『アルス・パウリナ 』『アルス・アルマデル・サロモニス』『アルス・ノウァ』の五つのグリモワールを一つにしたものです。別名をソロモンの小さな鍵とも呼ばれていますね」
「悪魔を使役する? そんなものが!!」
「ふーむ。これは……悪魔の偽王国でも作ろうとしている。と、考えられますね」
オーゼムの深刻な言葉に、モートもヘレンも走行中のバス内だということを完全に忘れていた。
「ぼくは何をすればいいんだい?」
「さあ、現時点ではさっぱりですねえ」
モートにオーゼムはウインクしてから、深く考えこんでしてしまった。
車窓からは、ここホワイトシティ全体を襲う記録的な猛吹雪は猛威を振るっていた。
車窓から見える吹雪の中で凍結したゴシック調の建造物などを夜の闇が覆ってきた。アリスの贔屓にしているお店レストラン「ビルド」も外観が凍結していた。路面バスは今のところ通常運転をしている。
「そうですねえ。ヘレンさんもレメゲトン以外の調べものをしてみませんか? こちらも調べていますが、ヘレンさんともう一人の方と一緒に、左の手首に浮き出ている聖痕のある人たちを探してほしいのです」
「ええ、いいわよ」
オーゼムが考え事を止めると、隣に座ったヘレンに急に真摯な顔で調べものを頼んだ。モートは車窓から記録的な吹雪が襲う暗黒のホワイトシティを見つめていた。
「ええ、つまりはサルギス。フィラデルフィア。ラオデルキヤという名前の人を探してほしいのです。三人は恐らくは14才の少女だとは思うのですが。まあ、念のために言っておきますが、男の子もいるかも知れませんし、成人、老人かもしれません。それと、危険だと思ったらすぐにモートくんか私に知らせて下さい。後、言っておきますが、私はまったく戦いはできません」
ヘレンは強い意志を持って頷いた。だが、とあることに気が付き顔を上げた。
「オーゼムさん。確か……ノブレス・オブリージュ美術館の館内で、ちょっと変わった子がいたの。その子は美術品の中から何かを探しているようだったわ。でも、ノブレス・オブリージュ美術館の美術品や骨董品、芸術品などの展示物は、どれもとても買えるような普通の値段ではないの。けれども、その子は私に一枚の絵画を今すぐに買いたいと言ったのよ。その子に名前を聞くと……アンリー・サルギスだったわ」
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